
イギリス大学院留学 準備編① 学校選び~合格まで
★目次
・はじめに
・学校比較
・出願代行会社比較
・留学形式比較
・出願書類作成
・奨学金申請
・IELTS受験
・学業面での準備
★はじめに
2022年秋からSussex大学IDSで開発学を勉強することになりました。今回はその準備のうち、学校選びから合格までの流れをご紹介します。ぼんやりと海外大学院進学を意識したのが高校留学の時、具体的に検討・行動に移ったのが大学3年生の就活・進学を悩むタイミングでした(結局社会人を3年半はさみました)。そこから定期的に英国大学フェアや勉強会に参加し、1年前の2021年夏ごろから本格的な準備に入りました。
★学校選び
開発援助・国際協力に関わる仕事でキャリアを進めていくにあたって、多くの先輩方が海外での開発学マスター取得を20代のうちに組み込んでおられ、進学先としてはイギリス・スウェーデン・アメリカが多いように見受けられました。その中でもイギリスは1年で修士号を取得でき、職務経験等も評価してもらえることが自身にとって魅力でした。(スウェーデンは平和構築、アメリカは開発経済に強みを持っている印象を持ちました。)
イギリス国内では第一志望だったSussex大学の他、East Angria大学、Bath大学、York大学も併願で受験しました。それぞれ校風、住環境、研究内容に特色がありますが、卒業生の知り合いの多さと彼らの卒業後の進路、開発学内での評判、体験授業でのフィーリングで志望順位を決めていきました。「開発学」の中にも、教育・環境・経済など専門が細分化されますが、進学先のInstitution of Development Studiesはそれらを総合的に扱いつつ、開発プロジェクトの根幹を担う立案・調査・オーガナイズ・評価モニタリングについて最新の議論ができる点が魅力で、研究先として選びました。
まとめると、
・留学フェア等に参加し担当者とコネクションを作る
・進学先のオープンイベントや相談会に参加する
・実際に留学された先輩方から様子を詳しく聞く
の3つが学校選びの中でも重要なポイントだったと思います。
★出願代行比較
個人でも出願は可能ですが、多くの学生が代理店を利用しての出願を行っていました。メリットは、出願に必要なアカウント作成、提出書類内容の確認、留学情報収集を確実に行えることです。有料のオプションを使うと、ビザ取得のアドバイスや提出書類の添削等もできます。
・SI-UK (利用したほう)
⇒IELTSなどの関連する授業、有料サービスなどの価格面ではBeoを大きくリードしていた印象があります。担当は基本1人の方にずっと対応いただき、相談しやすい雰囲気でした。アドバイスは頂けますが、1人で自己管理をして進めていく必要があります。語学学校へのパイプが強い。
・Beo
⇒授業の質、カウンセラーの数の多さはBeoに軍配が上がりますが、有料サービスの料金は少し高め。出願に関しては期限、タスク等をしっかり管理され、契約後は指示通り動いていけば大丈夫なようです。過去の受験者の出願データが一部閲覧できるのは魅力的な点です。イギリス以外も対応。
まとめると、ある程度情報を知り合いから得られて、自分で好きなタイミングで進めていきたかったらSI-UK、慎重に一から留学準備を進めていきたかったらBeoってとこでしょうか。どちらも出願サービスの利用自体は無料で、イベントも多数開催されています。性格、時期、状況に合わせて比較検討してみるのがいいかと思います。
★留学形式比較
先にも述べたとおり、学部から直接留学するか、社会人経験を積んでから留学するか、オンラインで修士号を取得するかで進学できる学部、お金事情、その後のキャリアが大きく変わってきます。
・学部から留学する場合のメリット
⇒Applyできる奨学金の種類の多さ(出身大学、財団、進学先大学など)
⇒新卒から開発関連の仕事につきやすい
⇒アカデミックな環境に慣れた状態で研究ができる
・社会人経験を積んでから留学する場合のメリット
⇒Applyできる学部の選択肢の多さ(職務経験必須のものも多い)
⇒進学後の授業での議論、研究の具体性が高まる
⇒奨学金が取れない場合でも自己資金調達で留学可能
・オンラインで修士号を獲得するメリット
⇒働きながら、育児をしながら研究を進めることが可能
⇒生活費・渡航費が抑えられる
一長一短ではありますが、様々な国から様々な年齢の様々なバックグラウンドを持った学生たちが議論する点が最大の魅力なので、どんな時期でもきっと実りの多い時間が過ごせるのではないでしょうか??
★出願書類作成
主な出願書類は、出願書・志望理由書・履歴書(CV)・学部卒業証明・学部成績証明・推薦書2~3通(大学担当教員/職場の上長など)・パスポート・英語スコアです。その後のプロセスで学部の論文(英語)、論述問題等を追加で提出した学校もありました。
中でも合否に大きく関わる点が志望理由書と推薦書です。志望理由書は文字数によって内容を変えていく必要がありますが、英国は基本500words (A4 1枚程度)です。学校のカリキュラムや発表されている論文、研究者の先生方をチェックする必要があります。日本での志望動機の順序とは異なり、
①「未来」(将来到達したいゴール)
②「過去」(そう思うようになった原体験)
③「現在」(目標をかなえるために今行っていること)
④「近未来」(ゴールに向けてなぜこの大学院進学が必要か)
の順に記述するようアドバイスを受けました。
推薦書では、教授や上長から見て、定めた目標に対して自主自律して取り組んでいける人物かを記述し、その根拠となる実績を用いて推薦してもらう必要があります。依頼するにあたっては個別に時間を取り、志望理由書の内容をもとに自身の学習・キャリアプランを説明するよう心掛けました。英文かつ直送形式なので、出願の2~3か月前には依頼をしておくのがBestです。
★奨学金申請
必須となる学費300万円~350万円、寮費100万円~150万円、飛行機代往復30~40万円に加え、生活費、ビザ費用、保険、プレセッション、IELTS受験費等も含めると総額500万円以上が必要となる大学院留学。社会人参加であっても奨学金の取得は検討すべきです。
・世銀奨学金
・ロータリー奨学金
・本庄国際奨学金
・伊藤国際奨学金
・重田教育財団奨学金
・JICA開発協力人材育成事業
・JASSO海外大学院支援制度
上記の7つは全額返済不要の奨学金で、海外大学院留学に幅広く対応できるプログラムになっています。募集内容は毎年細かく変わることがあるので注意する必要がありますが、早いものだと前年の夏ごろに募集があるので、早めに計画していく必要があります。書類申請のほか、推薦書や面談のプロセスを経ての選出となります。
★IELTS受験
学部の成績については後からカバーすることが難しいですが、語学スコアは出願後でもアップロードが可能なので、継続してスコアアップを目指せます。学部によって基準は異なりますが、IDSだとトータル7.0 (各技能6.5)のスコアが必要でした。先述の出願代理店が行っている語学クラスやその他英語学習環境をうまく活用し、進めていきました。僕の場合は出願時は6.5 だったので、条件付き合格をもらったのちにプレセッション(英語スコア次点の学生が受講するクラス)を受け、正式合格に至りました。
★学業面での準備
合格確立が一番高いとされる最速出願の場合、出願準備が前年7月から始まり、出願が前年10月になります。その地点で戦える条件をそろえるには、計画的にインターン・社外活動・社業での実績を積んでいく必要があります。僕の場合はパンデミックの影響もあって直近の開発途上国でのプロジェクト参画がなかったため、過去参加したプログラムの担当者とコミュニケーションをとったり、大学やJICA、関係団体の国内イベント等に参加し、実績を補うようにしました。これは志望理由書や論述試験の内容を深めるだけでなく、進学後の授業準備にもつながってきます。大学院の担当教授からは、「私の仕事は何かを教えることではなく議論を進行し事例や理論を提示すること。集まる学生たちがそれぞれの経験や知識を持ち寄り議論し、日々の授業や研究を創っていくのです。」と初日に言われました。アウトプットも多く求められる場だからこそ、できる範囲で行動を重ねていく姿勢が求められています。
今回は以上。パート2は合格から出発までの準備についてです!