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200501 地産地消で地元を救う!都市封鎖の中、フィリピンの農業支援NGOが模索する経営回復プラン

 フィリピン政府は24日、30日までの予定だったルソン島の都市封鎖を5月15日まで延期することを発表した。フィリピンの全人口の半数以上を占める当該地域の封鎖は、農業・漁業を初めとする第一次産業の経済活動に現在も大きな影響を及ぼしている。そんな中ヌエバビスカヤ州で農業ビジネスを展開するNGO「Vizcaya Fresh」 は、ターゲットとなる客層と商品を見つめなおすことで現状打開を目論んでいる。

 地方まで徹底された都市封鎖

 3月中旬にドゥテルテ大統領によって発表された都市封鎖は、州内および各地区内でも徹底されている。ヌエバビスカヤ州内に暮らす住民への聞き取り調査によると、「各家庭につき1人分の外出許可証が発行され、地区を超える場合には提示する必要がある」「市場に行ける時間も地区ごとに区切られていて、間隔をあけて一方通行というルールがある」「乗り合いタクシーは利用停止」といった対策がなされているようだ。このことから住民の行動が大きく制限されていることがわかる。

 またアジア開発銀行から、政府が低所得層や農業従事者向けに食料と融資が配給されているとの発表があった。しかし家族員が多いフィリピンでは共に十分な量の支給とはいえず、戸籍や手続きの漏れなどで受け取れない住民も少なくないのが現状だ。

 高収益を目指したビジネスプランが裏目に

 前述のNGO「Vizcaya Fresh」は農家の生活水準向上を目標に掲げ、都市部の高所得者層に向けたオーガニック野菜の販売を行っている団体だ。同州内にある農機レンタルや農業保険のサポートを行うNGOとも協力して農業ビジネススクールの開講や農民を集めた技術講習会を実施し、収穫物に付加価値を付けることによる収入増を実現していた。

 しかしコロナの影響で物流と行動が制限され、一部の買い付けのお客様を除いては通常の出荷が困難になった。オーガニックであるがゆえに配送時間が延びたり買い手の行動が制限されると品質に問題が出てしまう。また二期作、三期作のシステムを取っているため収穫のスパンが短く、売れなくても収穫しなくてはならない。これらの理由と政府保障の不足が重なって、農業従事者の生活は現在不安定な状態にある。

 状況に対応した新たなビジネスモデル

 上記の状況を改善すべく、NGOのマネージャーが取り組んでいるのが地産地消への原点回帰だ。「州を超えた物流が制限されている今、地元で作られたもので地元の経済・市場を回していかないと食糧が不足します。オンラインサイトを利用した販売やデリバリーサービス、保存できる商品への加工によって都市封鎖下でも住民が困らないように対応していきます」と宣言した。

 また関係者の一人は「新鮮な野菜を新鮮な状態で食べてもらいたい。かつては地産地消が当然だった。利益は普段よりも小さいが、今回がきっかけで手に取ってもらうことで今後の消費者意識の変化があれば我々にとってもメリットは大きい」と語った。

 アフターコロナに向けた課題

 一方首都マニラにある直販店や納入先のレストランの現状は地方よりもさらに深刻で、スーパーでの食料売り切れや調達の遅れが毎日のように見られる。外出制限が出ているため客足は非常に少なく、経営のためにリスクを背負いながら従業員が買い出しやデリバリーを行っている。コロナによる活動制限の長期化が食料の供給を脅かしているのだ。

 このような状況は世界各国で見られる。FAOは食料自給率の高い国が自国民への貯蓄や労働制限によって輸出をストップし、食料を輸入に頼っている国の供給が困難になることに対して警鐘を鳴らした。すでにロシア・カザフスタン・ウクライナが小麦、ベトナム・カンボジア・インドが米の輸出制限を開始している。緊急時に自国の食糧をどう確保するか、パンデミックが各国政府に新たな課題をもたらしている。

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