MMAのバックボーンで最強なのはレスリングだと思った話(後編)
こんにちは!かめきちです!
前回の記事で「レスリングの強み」をメインに執筆しました。そして今回は「MMAにおけるレスリング技術の有効性」にフォーカスを当てて執筆し、私が「MMAにおいてバックボーンはレスリングが最強」という結論に至った理由まで一気に書き上げたいと思います。
前編を読んでいない方はこちらからどうぞ。
MMAの技術は基本的に
「打・投・極」
に分けられ
・打→打撃技術
・投→投げ技、テイクダウン技術
・極→絞め技、関節技
に分けられます。
これら打・投・極の全てを高い水準で有している選手を
「コンプリートファイター」
と呼びます。
柔術の黒帯を取得するだけでも常人なら10年以上かかる程大変なことなのに世界トップクラスのMMA選手は柔術黒帯を有している上で高い打撃技術、テイクダウン技術を有しているような選手が沢山います。
世界最高峰の総合格闘技団体「UFC」の世界チャンピオンになるような選手は正真正銘
「バケモン」
です。
UFCのチャンピオンには様々なタイプのチャンピオンが居ます。
・ストライカータイプ(打撃技術メインに戦う選手)で有名なチャンピオンで言えば
フェザー級、ライト級元二回級制覇王者のコナー・マクレガー選手、最近行われたカウボーイことドナルド・セラーニ選手との対戦の際の「肩パンチ」は衝撃的でしたよね。
UFCのチャンピオンではありませんが、RIZINバンタム級及びBellatorバンタム級の元二団体統一世界チャンピオン堀口恭二選手
私も大好きな堀口恭二選手もバックボーンである伝統派空手の電光石火の如き踏み込みを活かした打撃が武器のストライカータイプの選手です。
もっとも堀口選手はBellator元世界バンタム級チャンピオンであるダリオン・コールドウェル選手とRIZINのリングで対決し
MMA界屈指のレスリング技術を誇るコールドウェル選手からギロチンチョークでタップアウト勝ちしているのでグラウンド技術も高いレベルにあることから「コンプリートファイター」と呼べるかもしれません。
次にグラップラータイプ(テイクダウン、絞め技、関節技を武器に戦う選手)で有名なチャンピオンで言えば
28戦28勝無敗という驚異的な強さでUFC世界ライト級チャンピオンへと登り詰めた
ハビブヌルマゴメドフ選手であったり(ハビブ選手はMMA転向前はロシアのサンボ及びレスリングの強豪選手でした)
MMA界パウンドフォーパウンドと呼び声高い「DJ」こと
デメトリアス・ジョンソン選手もMMA転向前はレスリングの強豪選手でした。
上記に挙げたようにMMAの選手は様々なバックボーンがありそのバックボーンを活かして戦っています。
打撃で敵わないならテイクダウンしてグラウンドの戦いに持ち込めばいい。
逆に打撃で戦いたいのであればテイクダウンされないことに最新の注意を払ってスタンドでの打ち合いに持ち込めばいいなど
相手によって戦い方や戦術を変えるのが総合格闘技の醍醐味であり見どころだと思います。
ではなぜ、私が「MMAにおいてバックボーンはレスリングが最強」だと考えるのか
その理由は
「レスリングがバックボーンのMMA選手の高い勝率」
にあります。
上記で執筆したようにMMAの選手にはストライカータイプやグラップラータイプがいます。
ストライカータイプは打撃技術に優れスタンドでの戦いを優勢に進めることができますが、いかんせん打撃の攻防というのは何が起きるか分かりません。
明らかな打撃技術の差があったとしても何かの拍子にまぐれ的に相手のパンチが入り(俗に言うラッキーパンチ)そこから一気に形成逆転してしまうこともよくあることです。
「何があるかわからない」
これは打撃系格闘技において当たり前のことです。
それを表すかのように
8月18日 RIZIN名古屋大会において行われた
堀口恭二vs朝倉海のノンタイトルマッチにおいて
当時、RIZIN世界バンタム級とBellator世界バンタム級チャンピオンである堀口選手と、アウトサイダー(日本の地下格闘技団体)のチャンピオンである朝倉海選手という明らかな実力差がある試合が組まれました。ネームバリュー的にも実績的にも堀口選手に到底及ばない朝倉選手のオッズはかなり低い状態でした。
誰もが
「堀口の圧勝だろう」
という声がほとんどでした。
そして試合当日、誰もが堀口選手の勝利を信じてやまない中、戦いのゴングは鳴らされました。
結果的には朝倉選手の1R68秒KO勝ちで決着がつきました。
試合開始序盤で朝倉選手のカウンターが堀口選手の顎にクリーンヒットし、そこからペースを崩された堀口選手は一方的にパンチを打ち込まれ結果的に1R68秒で失神KO負けを喫しました。
この歴史に残る大番狂わせは日本中の格闘技ファンを驚愕させ、そして熱狂させました。
堀口選手と朝倉選手の再戦は2019年の大晦日にRIZIN世界バンタム級タイトルマッチとして内定していましたが堀口選手の膝の故障によって中止となり同時に堀口選手のタイトルは剥奪され、代役としてマネル・ケイプ選手と朝倉海選手のタイトルマッチに変更となり試合は行われましたがここで朝倉選手がまさかの2RKO負けを喫してしまいます。
これによりRIZIN世界バンタム級チャンピオンの座はマネル・ケイプ選手に渡りRIZINバンタム級戦線は混沌と化しました。
その他にも今年の6月1日にMSGにおいて行われた
WBA、IBF、WBO世界ヘビー級タイトルマッチ
アンソニー・ジョシュアvsアンディ・ルイス・ジュニア
この試合は試合前からボクシング元五輪金メダリストという肩書きを持つボクシングエリートのジョシュア選手の圧勝という声が多数であり無名のルイス選手が勝つという予想をしていたファンはほぼいないに等しい状態でした。
しかしこの試合も歴史に残る大番狂わせが起こりルイス選手の7回TKO勝ちで戦いの幕は下されました。
上記の2試合からも分かる通り打撃の攻防というものは
「何が起きるか分かりません」
明らかな打撃技術の差があったとしても一瞬のタイミングのズレや油断によって戦況が大きく変わってしまう。それが打撃勝負の怖いところです。
しかし組技の攻防ならどうでしょう?
基本的に組技は技の順序が決まっており片足タックルで例えれば
右手で相手の首に手を回し、右手が首に回ったならば自分側に相手を引いて相手の左足を出させる、左足を出させたならばその足に対して片足タックルを仕掛ける。
という順序です。
組技は理論に基づき作られているためその通り動作を行えば大きなミスというのは生まれにくいです。つまり要するに
「安心確実」
ということです。
スタンドで打ち合うよりもしっかりテイクダウンして相手を死に体にしてからパウンドや踏みつけ等で打撃した方が安全ですし確実です。
レスリング出身の選手が安定した勝率を誇っていることからもその確実性は証明されていると思います。
・ハビブ・ヌルマゴメドフ選手(サンボ、レスリング出身)28戦28勝無敗
・デメトリアス・ジョンソン選手(レスリング出身、34戦30勝)
etc
最近で言えば日本トップレベルのレスリング、グレコローマン選手だった倉本一真選手が30歳を前にしてMMA選手に転向し圧倒的なテイクダウン技術により勝ちを量産、現在7戦7勝無敗というところからもMMAにおけるレスリングの実用性が見て取れます。
倉本一真選手の試合、ジャーマン6連発は衝撃的かつ爽快感MAXなのでぜひ見てみてください。
MMAにおいて相手をテイクダウンしグラウンドを制する能力というのは「勝つ」上で非常に重要な割合を占める能力です。
そしてその能力を高いレベルで有しているのが「レスラー」です。
上記の理由から私は「MMAにおける最強のバックボーンはレスリング」だという結論になりました。
もし周りにレスリング経験者の方がいるならば軽めでいいのでぜひ組み合ってみてください。その制圧力、フィジカル、グラウンドコントロールの上手さに戦慄すると思います。
自分の好きな分野の記事だったのでついつい長く執筆してしまいました。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
今回の記事では「MMAのバックボーンで最強なのはレスリングだと思った話」を執筆させていただきました!
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