独走状態をつくったワークマンの事業戦略!
はじめに
今、最も勢いのある小売企業としてワークマンが注目を集めています。今も昔も「作業服専門店」に変わりはないのですが、近年は、”ワークマン女子”という言葉も聞くようになり、ターゲット層を大きく変え、ブランド転換に成功しています。新型コロナ禍にあっても既存店売上は前年を更新して躍進しています。高機能×低価格を武器に国内店舗数ではユニクロを抜き「ユニクロよりワークマン」というまで地位を確立しつつあります。
成長の理由は、間違いなくマーケティングにあります。
本日はそんなワークマンの戦略について記載します。
ワークマンについて
1982年に群馬県で創業した会社で、「いせや」グループから分社・独立して始まりました。※今でいうカインズのグループです。
冒頭でも記載した通り、建設作業員向けの作業服をFC展開している小売業企業です。もともとこのニッチな市場では売上/店舗数ともに圧倒的No.1でした。2位以下であれば市場シェア率を上げることで企業成長できますが、ワークマンの場合、更なる飛躍のためには事業領域を広げる必要がありました。
ここで、直近の決算内容を記載します。(2020年3月)
営業総収入:923億円(前年比:+37.8%)※FCロイヤリティなども含めたもので売上と考えていいと思います。
営業利益:191億円(前年比:+41.7%)
国内店舗数:868店舗(前年比:+31店舗)※FC比率:96.1%
この数字が示す成長の理由を見ていきます。
戦略について
建設作業服→おしゃれ×高機能なアパレルブランドへと転換するために新ブランド「ワークマンプラス」を立ち上げました。これでターゲット層を一気に広げたわけですが、実は、販売する商品を大きく変えているわけではないのです。コンセプト(見せ方)を変えただけです。
まず、ターゲット層拡大のためSNSマーケティングを取り入れます。これまで吉幾三さんがイメージキャラでしたが、若者に人気のインフルエンサーを活用しています。これは決算説明資料にも載っているくらいなのでかなり力を入れて行ったのでしょう。もともと商品開発力は優れているので高機能×おしゃれ×低価格ということで一気に口コミで広まりました。最近ではアパレル業界でも機能性重視になってきているので時流を捉えているのかもしれませんね。
ただ、以前から高機能×おしゃれ×低価格をうたう同業者は他にもありました。広島の老舗作業着メーカー「自重堂」は、新庄剛志さんをイメージキャラに起用した「Jawin」(ジャウィン)。同じく俳優・市原隼人さんを起用して、スタイリッシュな世界戦略ブランド「Z-DRAGON」(ジィードラゴン)等。
自重堂の場合、高機能×おしゃれ×低価格という部分では同じかもしれませんが、ターゲット層は建設作業員で既存の市場シェアを取りに行く戦略と言えるでしょう。※新庄さんも市原さんも建設業の男社会で人気がありそうです。
業界No.1ならではの戦略で、「建設作業員→女性(若者)」へターゲットを広げたのが勝因ではないでしょうか。
データ主義
ワークマンを語る上で大事なのがFC戦略です。ワークマンは店舗の96.1%がFC店舗です。FCだからこそ、このスピードで出店できていると言えると思います。また、FCで多店舗展開できているということはそれだけ誰でもできる仕組みづくりが出来ているということです。本部では、商品開発するにしても出店基準にしてもすべてABテストを行いデータに基づいた判断を行っています。残業をしなくてもいい仕組み。どの店舗でも集客できる仕組み。店舗責任者(FCオーナー)の能力に依存しない仕組み。というのはFCにおいては最も重要なコトですね。
また、経営方針として『しない経営』が有名です。
①社員のストレスになることはしない(期限/ノルマ/頑張るなど)②ワークマンらしくないことはしない(同業他社のマネ。値引き/顧客管理/毎年の新商品開発)③価値を生まない無駄なことはしない(経営幹部の出社/社内行事)
このことからもデータ主義で合理的な経営をしている会社だとわかります。
まとめ
考え方や切り口を変えるだけで大きくスケールできると思いました。個人的にはワークマンを利用することはあまりないですが、ユニクロの店舗数を超えていると思うとその凄さがわかります。
規模は問わず、どの会社でも強みはあると思います。ワークマンの場合、高機能作業服の商品開発力でした。業界No.1でも新興企業であっても成長が頭打ちになったり、伸び悩むときは来るはずです。そんなときには、ワークマンのように自社の強み(資産)を活用して新たな価値を創りだせるような企業でありたいですね。
感覚的に仕事をしていく天才肌のビジネスマンもいますが、私は、ワークマンのようにデータ(根拠)に基づいた納得いく判断で再現性の高いビジネスをどんどん創っていきたいと思っています。
最後まで読んでいただきありがとうございました(^^)/