
「俺はアル中じゃない」
これ、彼がよく言っていた言葉です。
アルコール依存症は「否認」の病気と言われています。
アルコール依存の人は、お酒を飲む事で心の安定を保っています。
もし自分が病気だと認めてしまえば、
お酒をやめるように周囲から言われ、
心の支えになっていたお酒が飲めなくなり、
心の安定を保てなくなってしまう。
本人にとって、それはもう恐怖でしかないんですよね。
杖がないと歩けないお年寄りから
無理やり杖を奪ってしまうようなイメージといえば
わかりやすいかもしれません。
そして、アル中というレッテルを貼られ
世間から疎外されてしまうという孤立感。
それを分かっているから絶対に最初は認めません。
私も昔、
お酒をやめてほしくて、病院へ行ってほしくて、
何度も何度も彼にお願いしましたが、
「飲む量を減らせば問題ない」と頑なに言われ続けました。
そんな彼が、
長い年月を経てアルコール依存症専門病院につながったのは、
「治療する気がないなら離婚する」
と、私が子供を連れて実家に帰った後でした。
海が見える、広大な敷地の中にある古びた病棟に、
彼はたったひとりで入院しに行ったのです。
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