定期的にアウトプットしたいのですが、バタバタすると書けなくなってしまいますね。
さて、医薬品製造業者が医薬品を製造し、製造販売業者が上市/出荷をし、卸売販売業を経由して、薬局や医療機関が購入し、患者に処方・調剤される、というのが一般的な医薬品の流通として認識されているものと思います。
原則あるところに例外あり。これ以外の流通経路として、どういったものが可能なのでしょうか?
薬機法における業態許可制等を利用した流通規制では、買う側が規制されているのではなく、売る側が規制されています。
すなわち、先程の問いは「どの業態が、誰に売ることが出来るのか?」と言い換えられます。
1)医薬品製造販売業の場合
2002年改正(旧)薬事法において「製造販売」という概念が導入されました。
「製造販売」とは、2002年改正(旧)薬事法以前の「製造行為(=自ら保有する製造所において製造するとともに卸売販売業者等に販売する行為)」から、後半の「製品を出荷・上市する行為=卸売販売業等に販売する行為」を分離して当てはめたものです。
この「製造と製造販売の分離」によって、製造業は単に「製造所で製造をする業態」になりました。
薬機法に置かれている定義は何のことを言っているのか、よく分からないものになっています。
英語で製造販売にあたるものは "Marketing Authorization" です。こちらの方が分かりやすいですね。
「製造と製造販売の分離」により、2002年改正(旧)薬事法以前の「製造承認」は「製造販売承認」になり、「製造販売」を行う業態として許可制の「製造販売業」が新設されました。
この改正は国際的な規制に調和させるためのものでしたが、「製造販売業」という業態は国際的に一般的なものではありません。
「製造販売業」の役割ですが、「製造販売業」に商流が経由しないと、販売業のような最終消費者に売ることのできる業態に製品を流すことができません。
この製造販売業が行う販売行為については、薬機法24条1項但書きに具体的に根拠があります。
また、施行時の通知にはこのようにあります。
https://www.pmda.go.jp/files/000158111.pdf
以上より、製造販売業者は、限定された品目(自らが製造販売した医薬品)につき、薬局開設者/製造販売業者/製造業者/販売業者に販売することができるということが分かります。
2)製造業者の場合
製造業者の行うことができる販売行為についても、薬機法24条1項但書きと前述の通知に記載されています。
さらに、原薬については政令に例外の経過措置がおかれています。
以上より、製造業は、限定された品目(自ら製造した医薬品)につき、製造販売業/製造業に販売することができ、原薬たる医薬品に限れば、限定的に卸売販売業者にも販売することができるということが分かります。
ですが、「医薬品の製造業者がその製造した医薬品を〜」の箇所に疑問が残ります。「製造した医薬品」の指す範囲はどこまでなのでしょうか?
市場出荷前の医薬品を「保管」することは「製造行為」の範疇ですが、であれば製造業の製造所に物流が通れば、製造業者は最終製剤を卸売販売業者から購入し、さらにそれを販売することもできるのでしょうか?
これは承認書の記載も関係してきそうなところです。
3)卸売販売業者の場合
これはもう登場してしまっていますが、薬機法25条1項3号および薬機法施行規則138条に示されています。
この省令で定める者の具体例は、通知(事務連絡「卸売販売業における医薬品の販売等の相手先に関する考え方について」平成23年3月31日)においてさらに具体的に例示されています。
https://www.city.saitama.jp/005/001/013/010/p017752_d/fil/230331jimurenraku.pdf
https://www.city.saitama.jp/005/001/013/010/p017752_d/fil/280329jimurenraku.pdf
以上より、卸売販売業者は、原則として品目の制限なく医薬品を、薬局開設者/製造販売業者/製造業者/小売業者/病院等開設者/その他に販売することができるということが分かります。
卸売販売業の例外的な取扱い(小規模卸/特定品目卸/サンプル卸)については、また別の機会で扱いたいと思います。