優秀な人に仕事が偏ってしまう/しくじりマネジメント
いつの時代も、どの組織にも、この問題は絶えませんよね。
そうです。仕事は優秀な人に集まっていくものなのです。僕も昔の上司に「仕事の報酬は仕事」とよく言われていました。
僕はこの言葉があまり好きではありません。
(正確に言うと、昔は好きでしたが、今は好きではありません)
仕事ができる人に仕事が集まることは仕方がないことだと思ってはいますが、それを経営層や上司が言うのはただの甘えであり、ずるいと思います。自分自身は管理職として、この言葉をメンバーに言わないように、言わなくできるように考えています(それでもうまくできていないこともありますが)
いきなり話が脱線しましたが、では優秀な人に仕事が偏っている状況にある時に上司としてはどうするべきか。どのように組織を変えるのか、僕自身の失敗とそこからの学びを共有したいと思います。
本当に仕事が偏っていることを問題と捉えているか?
さて、始めに問いかけたいのは、仕事がメンバーによって、偏ってしまっていることは本当に問題だと思っているでしょうか?
僕自身も営業組織のマネジャーをしていた時に重要顧客のほとんどがあるメンバーAさんに偏っていました。顧客の要望に応えようと思うと、他のメンバーに担当を変更することがなかなかできず、どんどん取引が大きい顧客はAさんに集中してしまっていたのです。
ですが、当時の僕はどうにかしなきゃとは思いつつ、「どうしようもない」と思考に蓋をしたり、「そうは言ってもAさんの経験にもなるしな」と手前勝手な解釈をしたり、本気でどうにかする気持ちが足りなかったのだと思います。
同じようなことは営業組織だけではなく、その後のスタッフ組織を担当したときにも起こりました。今度は重要顧客ではなく、重要なプロジェクトへのメンバーアサインが偏ってしまったのです。
改めて考えてみたいのは仕事が偏ることは何が問題なのでしょうか?
止まらない負のループ
一部の人に仕事が偏ってしまうと、「なんで、あの人ばかり、いい仕事を回すのか?」とメンバーから不満が出るかもしれません。また、本人からは「仕事がきつい」と不満が出るかもしれません。
個人的には何より下図のとおり、負のループに入ってしまい、組織としての成長が止まることが何よりも問題だと思います。
仕事というのは、常に量が増える。もしくは質的難度が上がるものです。
企業は持続的に成長するものですから、当たり前の話です。
この負のループに陥ってしまうと、組織として成長が止まるにも関わらず、仕事が増え続ける構造になるため、破綻してしまいます。
仕事が偏っていることは何が問題なのか。組織のリーダーである自分自身の立場から見て、何が問題であるのか。まずは偏りを是正することの目的を自分なりにおくことが必要だと思います。
では、目的をおいて、必要性を感じたら、どうすれば良いか。
僕自身の見解をお伝えしたいと思います。
勇気をもって、自分自身の仕事を減らす
やることはシンプルです。
それは自分の仕事を減らすことです。
そして、空いた自分のキャパシティでメンバーをフォローすることを前提に別のメンバーに仕事を振ることです。
先ほどの僕の例(担当顧客の偏り)で言うと、Aさんではなく、他のメンバーに重要顧客を任せ、自分が常に同行したり、一緒に取り組むことによって、少しずつ経験を積ませるということです。
ロミンガーの法則によると人材育成は70:20:10といわれており、成長に寄するのは、70%の「経験」、20%の他者からの「薫陶」、10%の「研修」という調査結果があります。
正確にはこの法則はリーダーとしての成長に関する調査ではありますが、同様だと思います。経験の中でしか学べないことはたくさんあります。
自分の仕事を減らし、自分がメンバーのサポートができる状態をつくり、仕事の偏りを是正していくことが必要です。
メンバーの当事者意識を育む
他のメンバーに仕事を任せたら、次に大事なのは、そのメンバーと役割分担を決めることです。なんでもかんでもフォローしていると、結局上司にフォローしてもらっただけで、そのメンバーの経験になりません。
これはいろんな方法があります。
営業であれば、
・資料作成は巻き取り、プレゼンは任せる
・資料の一部を巻き取り、他は任せる
・企画をつくるところは巻き取り、顧客とのやり取りは全部任せる
いろんなパターンがあるかと思います。
大事なのは、その場その場で判断しないことです。
「ここはフォローするけど、ここは頑張ってみて」と役割分担を明確におき、その後に「ここまで、できたから、次はここまでやってみな」と徐々に任せる領域を増やしていき、当事者意識を育むことが求められます。
その場その場で判断して、フォローする領域に一貫性がないと、そのメンバーの認識は「結局、いろいろ助けてもらった」となってしまい、部分的なフォローでしかないのに、全部フォローしてもらったような錯覚を創り出してしまいます(もちろん、そのメンバーのタイプにもよります)
仕事の偏りを是正するのは簡単なことではないと思います。
だからこそ、それが問題であることを自分なりに理解し、目的をもって、取り組んでいただきたいと思います。
終わりに・・・
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