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Full-Sapim 4-6 (Refinded from "半コンペヨンロク")&UCI World Championship 2024

手組ホイールの世界には、リアホイールの組形として"半コンペ4-6"という組み方があります。

私のリアホイールはその組み方です。

完組ホイールの世界には、所謂「BORA組」がありますが、これは現在特許で保護されている為に、他社のリムがこの組み方に合わせたスポーク穴を作成することは禁じられている為、再現できません。

そんな制約がある中、可能な限り完組ホイールの剛性に近づく為に編み出された組み方が、所謂「半コンペ4-6」です。

ドライブ側をDT SWISS DT COMPETITIONを使用したx4、ノンドライブ側を定番のSapim CX-RAYのx6で組む手法です。

尚、私が使用するHubは、我らが台湾が誇る老舗Bitext社のRAR9です。強度、耐久性共に最高。回転も悪くなく、防水性能はShimano DURA-ACEに匹敵するとの評価があります。勿論、価格も廉価です。
(ベアリングそのものは、ごく普通の日本製のスチールと思われる。私は基本的に日本凄い、日本最高とかの類を口にしたくない人間であるが、ベアリングに関しては文句なしに日本製最強&最高と断言して憚らない。中国製と思われるハブも、バラすとベアリングは日本製だったりする)

この組み方は、ロードバイク乗りの中でも知る人ぞ知る、大阪の「のむラボ」さんが普及させた組み方と言われています。

私がこの組み方を知るきっかけになったのは、20年近くお世話になってきたサイクルベースあさひ某店の元店員さんが大阪出身である為か、当時まだそれほど知られていなかったこの組み方を教えてくれたからです。

さて、そんな中そろそろスポークの組み換え時期かな...と思っていた処、もう一人、私がお世話になっている某店の現役店員さん(熟練の手組職人でもある…こういうプロ中のプロと言うべき、高度な技術を習得している職人さんこそ、もっと世に知られて高い評価と報酬を得ていい筈なのだ。この国は色々と構造がおかしい)から、新たな情報を得ました。

曰く、

丸形スポークを使うなら、コンペよりSAPIMの方がずっと耐久性あるよ。コンペはすぐヘタるよ。昔レースでよく使ってたけど、すぐヘタる。

そのデータ的な裏付けはありませんが、私は彼にも20年お世話になっており、その職人としての技術と経験値には全面的な信頼を置いています。

そこで、次はそのスポーク選択で、ホイールを組む事にしました。つまり、Full-Sapim 4-6組です。

手組ホイールの利点は、何と言ってもランニングコストとメンテナンス性の良さです。

高額なブランド物の完組ホイール…素晴らしいですね。

しかし、そのホイールが破損したり、故障が生じた時、誰がどのように修理できますか ? 補修部品はどうやって入手するか、ルートは確保できていますか ?

そして、ガチガチに固められたメーカー製の完組はいくら手組の達人でも手に負えませんよ ? どこのショップもお手上げですよ ?
(つまり、結局はメーカー送り。全てをメーカーに依存するしかない。補修部品供給が途切れれば、否応なく買い替えさせられる)

尚、私は今のロードバイク市場がド底に冷え込んでいる(次々にユーザーが離れ、中古市場では「引退」したサイクリストたちが出品したハイエンド品が、私のようなベテランサイクリストにとっての掘り出し物化している)原因の一つに、この種の「思考停止 by 使い捨てさせて→買い替えさせる」販売を無神経に推し進めてきた自業自得があると見ています。

そんな無神経な、高額パーツの使い捨てサイクルに付いてこられるのは各業界でインフレが進む昨今、相当の富裕層だけです。一般消費者にそんなサイクル推していたら、皆金銭支出的に付いてこられなくなって、リタイアされるのが当たり前です。

余談ながら、私が信頼する上記の二人は、基本的に「使い捨てしない、させない方法」を伝授し、かつ技術サービスとして提供してくれる人でした。リムハイトを38mmから50mmに変更した時に、スポークを切断して加工し、使い回すことすらやってくれた人たちです。私はその種の、まさにプロの技術に対しては喜んでお金を払い、全面的に敬意を払います。


そこへ行くと、手組ホイールは自由度が高く、トラブル時に様々な「潰し」が効きます。

パーツは全て汎用品です。自分でいくらでも調達できます。更に、規格さえ合致していれば様々なメーカーの様々な部品を、自らの意志で選択できます。極論、手組の技術を習得すれば、自己完結できます。私は、まだその領域にはいませんが…
(ただ、ホイール組みとベアリング打ち換え以外は全て自力でやれます)

さて、明日からいよいよUCI World Championship 2024はRoad Race開幕です。まずは、女子ジュニアから。続いて翌日は男子ジュニア。

UCI Women's WorldTourの充実、TV中継の拡大(WTでは強制義務。違反した場合は則降格。現に過去、女子最高峰である筈のGiro D'Italia RosaがUCIを甘く見たか、女子の中継を怠って1年間Proへの降格を食らった。GJ、UCI !)、賞金の男女平等化実現など、女子サイクリングを取り巻く環境は急速に充実しつつあります。

最高峰のUCI Women's WorldTourであれば、何とか「プロのアスリートとして飯を食っていける」環境が整いつつあるのです。
(…一方、数年前に選手へのセクハラ騒ぎが発覚したチームもあったが、そういう黒い影も含めて、きっちり表面化するのは良い事。ドーピングもそうだ。女子でも陽性やらかす選手はいる。ドーピングに関しては、過去の暗黒時代がそうであったように、ドーピングをやる選手が問題というよりも、ドーピングが組織的に常態化し、かつそれが組織的に隠匿される事の方が問題なのだ。ドーピングそのものはなくならない。人間が人間である限り、不正は存在して当たり前。但し、それが表面化して自浄作用が働いている間は、その組織は健全なのだ)

2015年の世界王者、りじーさん…Elizabeth Deignan氏のように、二度の産休を経てさえもトップで活躍する選手も出てきました。

「Huyの皇帝」あんなさん…Anna van Breggen氏も、結婚後も変わらず現役生活を続け、マリアローザや世界王者にも輝いています。
(りじーさんは結婚して姓が変わったが、あんなさんは姓を変えず、それだとこちらもわかりやすくていい。姓が変わると結構わかりにくいので)  

出産はありませんが、あんねみくさん…Annemiek Van Vleuten氏は40歳までトップフォームを維持したまま引退しました。

これで40歳…何という鉄人か。現役最後の年に、きっちり4回目のマリアローザを獲得していきました。

トレーニング技術の進化は、その年齢までトップコンディションを維持する選手の増加にもつながっています。

40歳になったスペインのMavi Garcia氏も、まだまだ元気ですしね。1Cですが、今年も勝ってるんですよね…凄い。

先だってご紹介した、「日本人唯一のグランツール、ステージ優勝経験者」萩原麻由子氏の現役当時は、様々な面で男子とは待遇差別があった…のがプロトンの現実でした。

元全日本ITT王者、西薗良太氏のsxs radioでの萩原氏登場回は非常に聞き応えがあります。女子プロトンの様々な現実や実情の話とか、日本人では萩原氏にしかわからない世界(与那嶺恵理氏もいるが、まだ現役)ですから。


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