自分なりの美学

目の前に散らばった消したい過去を
二度拭きする
ピカピカには拭き切れなかったけれど
そこに
別れ際のカップルを描こうとした
しかし
何色あっても描き切れない
ファイリングしたい楽しかった想い出も
塗り潰したい辛い時間も
輪郭は描けるのに
中身が決まらない
いっそ連絡しようかと思うけど
負け試合にしたくない
あれだけ決まったと思っている去り際の
輪郭だけはぼやかしたくない
結局素っ気ない床だけが目の前に広がった
そんな部屋を背にして
僕は玄関をあとにする

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?