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noteアカウントも持っていなかったわたしが「恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる」の文庫版解説文を書いてみる
noteアカウントも持っていなかったし、なんなら、noteも知らなかった。そんなわたしがある日を境にnoteアカウントを作り、毎日せっせとnoteをチェックしている。林さんのnoteだ。
15,16年いや、もう少し長いことつきあっている友人に、渋谷の奥にあるbarへ連れて行かれた。
お互いに好みを知り尽くした友人の「おすすめ」は、期待を裏切ることなく、すっかり林さんと彼が営むbar bossaのファンになってしまった。同じく林さんファンの友人にbar bossa来訪の帰り「恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる」を渡された。今思うとこの友人、ケアが手厚い。私は完璧に友人による「林ファン作りルート」に乗っかった。「どはまり」だった。何度も何度も読んだ。
できることならbar bossaに読んだ人たち全員を集めて語り明かしたいくらい、この本のことは永遠に語れるであろうわたしが、800文字以内でわたしなりの楽しみ方を語る。(結局、800文字にはおさまらなかった)
テーマを与えられて、妄想する
「恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる」には、ちょっとずつたくさんのキュンキュンするストーリーが並んでいる。読後感がちょうどいい。「結局そのあと、どうなったの?」ってニュアンスを残す語り口のおかげで、恋愛テーマを与えられて、妄想にふける。
「くず」の余韻もたのしむ
理想ばっかり追ってる男性と超現実的な女性が出てくる。都合良く解釈する男性と、意志が強くて突き進む女性だ。たまに理想的な紳士を描いていると思ったら、あるときはただのくずな人が描かれる。「くず」なんだけど、なぜかそう思わせない、そんな余韻も楽しむ。
なぜか共感を呼ぶ登場人物
実生活で出会ったら、「え?」って嫌悪感たっぷりになる人だってこの本の人たちはいやな思いにさせない。よく考えたら不倫とか正直、突っ込みどころ満載なところを、林さんが文章にすると「あー、わかるよ」って共感してしまう、何でだろう。
何回も違う味わい方をする
この本は、フィクションの恋愛として読んだ後、bar bossaを訪れてから読むと、情景を頭に浮かべて贅沢に味わえる。
季節にうまいことストーリーが溶けてるから、季節ごとに読んだらいい。春に読んだら少し寝かせて冬にまた読んでほしい。
話中に登場する曲をかけながら読むのもいい。そのうち登場する曲をあつめたアルバムが出たらいいなと思っている。
bar bossaがあるおかげで、この本は超リアルだ。妄想がリアル。そして、何度も何度も味わえる。たぶん、こういうことができる本はとても少ない。