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お盆を迎えて思うこと

お盆を迎えると、私は胸が締めつけられる。
毎年、帰省していた古里。その古里は、もう存在しない。正確には古里は現存しているが、私が帰る家がない、ということだ。両親が相次いで他界し、借家だった家は、すぐさま整理し不要な物は全て処分した。
以後、古里には一度も帰っていない。  
家が無くても古里を訪れることはできる。が、今の私にはそれを実行する勇気がない。なぜなら、怖いからだ。仮に、古里の地を踏んだとして、その時に湧き上がる感情に、うまく対処する自信がないのだ。一気に押し寄せてくるであろう、懐かしさと寂しさと溢れる思い出。強烈なノスタルジアだ。それらに感情が嵐の如く、かき乱されるだろうと思うと怖い。それに対処する自信などない。だから当分、古里に帰ることはないだろう。 
あと、どれくらい時が経てば、朗らかな気持ちで古里の地を踏むことができるだろうか? その時がくるまで、私は幾度も目蓋の裏に古里の光景を思い起こすことになるだろう。 

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