
『最後の乗客』にもらったあたたかさ
映画 #最後の乗客 を観てきた(ネタバレなしだけど気になる方はご注意を)
舞台は東日本大震災から10年後、東北のとある小さな街。
大学受験で上京するときに喧嘩別れしたまま連絡をとっていなかった娘(岩田華怜さん)がある晩、父親(冨家ノリマサさん)が運転するタクシーに乗ってきてそこに謎の母娘も加わり…。
物語が進むにつれてなんとも言えない不思議な雰囲気に。それが少しずつ明らかになって“あぁそういうことか!”とわかってからは、切なすぎる事実とやさしさとあたたかさに涙が止まらなくなった。同じ列に誰もいなかったので涙は流れるままにしておいた。映画館でこんなに泣いたのは初めてだ。
私は宮城県出身で、あの日は職場で被災して帰宅困難にはなったけれど大きな被害は受けていない。だけど家や大切なひとや故郷を失う経験をした方にとって3/11は何年経っても区切りでもなんでもなくて、ずっと時間が止まったままなのかもしれない。
宮城県出身の堀江貴監督は東日本大震災を直接経験していないそうだけれどそうは思えないほどたくさんの想いが込められていて、やさしく寄り添ってくれているようでとても心地よかった。
映画の中に出てくる卵のおにぎりのレシピが公式サイト(映画『最後の乗客』公式サイト)に載ってた。おにぎりの具に卵を入れるのは初めて見たけど監督のおふくろの味なんだって。あのシーンにはじーんときたなぁ。また泣いちゃう。
父も娘も素直になれずにすれ違ってしまうんだけど不器用なところがそっくりでなんだか愛おしい。
娘が可愛くて心配でたまらないごく普通のお父さん役を冨家ノリマサさんが好演。 #侍タイムスリッパー でのスター俳優役とは全くちがった印象で、作品ごとに登場人物を演じ分ける冨家さんの引き出しの多さはさすが。侍タイで冨家さんに出会えたことでこの作品ともめぐり逢えた。そうでなければこんなに良い作品を知らないまま通り過ぎるところだった。同時期に上映されていて本当によかった。
そういえば侍タイでも良い場面でおにぎりが出てきたね。
55分という上映時間なので気軽に観られると思う。ぜひ映画館で観てほしい作品です。私ももう一度観たい。(2024/11/30現在)