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イスタンブールにて

かくして、スペイン旅行はもうすぐ終わる。
乾いた風と灼熱の中、アラブとカトリックの支配を激しく混合したレコンキスタ。グラナダ、セビリア、コルドバ、トレドなどでその歴史を感じることができ、独特な混ざり合い。

また近代ではピカソのゲルニカで見て取れる内戦時代があった。それでも気さくで明るい国民性、テレビはスペイン語圏である南米のニュースも流す。サッカー世界一の国というところもあるが、今回大きいのは、妻のおかげで出会えたバルセロナの友人とその彼女と会食し、文化や深い価値観、歴史の話を語り合い、オンラインではあるが同時期にアイルランドを旅しているこれまた外国人の友人とメッセージをやりとりする、という外国人とのコミュニケーションがいつもより多かったのが嬉しい。

また、バルセロナとマドリッドの違いもよくわかった。ガウディ作サグラダファミリアのあるバルセロナ・カタルーニャ地方は独立心が旺盛。フランス寄りの街のため、食事の時店員さんにgraciasではなくメルシーという。

 帰国の際、マドリッドからイスタンブールで乗り換えだった。その機内でもほんの少し意思疎通が図れた。遅れてやった来た隣の席のガーナ人は上司らしき女性からの留守電の指示に悩んでいるらしかったがtake it easyや、最後はgood lackとして、曇った表情が笑顔になるのを見る事ができた。私と履いている靴が似ている様なデザインだったので、’Same kind of shoes’と共通点を見つける事で少し距離が縮まる。

 旅は空港で闊歩する人々や、給仕、清掃する人々も見ることができる。その時、愛おしい感情が湧き起こる。そこには宗教や国境や勤務先などは表面的なことであり、あまり本質的なことではないことを思い出す。

 今この2024年8月のタイミングを地球上で経験し、それぞれが生きている。いつもより日本人として’五色人’を見る感覚がある。西洋人も一部の西洋人にこれまで支配されてきた。それが終わろうとしていることもなんとなく感じる。

 空港では乗り換え時間に誰かと語り合う人、イキイキと仕事を楽しんでいる人、仕事に悩んでいる人、何かを飲む人、食べる人、ネットを楽しむ人、美しい人、放浪している人、音楽を聴いている人、トイレを待つ人。かわいい子供、と見ていて飽きない。

 人は歩き、移動し、出会いと別れを繰り返す生き物。スムーズに過ごし、この経験を共に過ごしたメンバーもまた、それぞれの生活に戻って行く。そしてまた旅に出る。こうして物事は時々刻々と変化して行く。色即是空だということを思い出す。広く大きなイスタンブール空港にて帰国への飛行機を待つ間、次はブエノスアイレスに行ってみたいと思う様になった。

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