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贈与と相続について考える

こんにちは。ホワイトボックス(株)コンサルティング部の阿部です。
以前、仕事ではなく個人として介護サービスを選ぶ立場になったときのことを書いたことがありました。
もちろん、いまも現在進行形でいろいろなことが進行中なのですが、今回は実家という不動産の扱いについてあったことを書いてみたいと思います。

以前書いた記事はコチラ↓


▽実家をどうするか問題

あるとき、母から「この家をどうするか」相談を持ち掛けられました。「名義は私(母)とお父さんの2人になっていると思うのだけどお父さんの認知症が進んできたこともあるから、いまのうちに私に変えておこうかしら?」というので、まずは土地の名義を確認するため法務局で土地の全部事項証明をとりました。

ちなみにこの全部事項証明は、住所がしっかりと分かれば対象とする住所地を管轄する法務局でなくてもどこでも取得することができます。

…で、この書類を確認してみると、名義は父一人であったことが分かりました。

さて、ここで表題の件を考えることになりました。父から母へ、あるいは兄か私に贈与するか…。


▽贈与と相続の違い

その前に、簡単に贈与と相続の違いを知っておく必要がありそうです。
難しい話しはさておき、ひらたく言えば、『贈与』は当人が生きているうちに、財産を第三者へ譲り渡すことで、『相続』は当人が亡くなってから行われる財産の譲渡ということになります。

ただこの贈与と相続、掛かる税金が違ってくるというのが、今回のポイントでした。

以下の表は、母親に説明するために自作した資料ですが、不動産の譲渡を受けた場合、贈与/相続額という行為そのものに係る税金のほか、譲り受けた不動産を登記する登録免許税と不動産取得税というものが掛かり、基本は相続のほうが安い場合が多いことが分かりました。
注)あくまで私たちのケースの場合です。

▽贈与は配偶者特例というものがある

今回のように「父から母に不動産を贈与する(あるいはこの逆)」といった場合、婚姻関係が20年以上ある場合には、「配偶者控除の特例」というものを受けることができるので、父から息子・あるいは孫へ贈与した場合よりも、不動産の所得税は大幅に抑えることができます。

ではなぜ、相続ではなく贈与するか。

これはケースバイケースでしょうが、例えば父が存命のうちにどこか施設へ入ることになったとして、「あいにく手持ちのお金がない」などとなり、やむなく実家を売却すると仮定します。

このような場合、母が存命のうちならまだしも、不動産が父の名義のままだと意思決定に時間を要しスムーズにいかないであろうことが想像できます。また、もし父が母より長生きすることになれば、この問題はより現実味を帯びてしまうことになるかもしれません。

であるならば、「いまのうちに誰かに贈与するのが良い」ということになるのですが、息子たちでは税金が掛かる。しかし、長年寄り添ってきた母への贈与であれば、税金は抑えることができることになるというメリットがあるという結論に至ったのです。

▽人の心は揺れて当たり前

と、ここまで書いたところで、先日母からショートメールが入りました。「税務署にも相談したけど、まだすぐじゃなくても良さそうだから、もう少し先にしようと思います」。

私は「了解しました。また相談はいつでも」とメールを返し、この件は一旦幕間となりました。

長年連れ添ってきた夫婦。子供たちも知らない様々な出来事や思いがあるなかで、簡単に行動に移れないであろうことも想像できます。

贈与と相続。このことについて調べて学んだことは、出来の悪い子供に両親がくれた機会だと感謝して、ここまで費やした時間を収めることにしました。

きっと、まだまだこの話には続きがあることでしょう。また機会があれば、リアルな介護問題を書き留めておきたいと思っています。

2022.04.06 阿部 勇司

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