
「一緒にいたい」と思われるリーダーになる。
【「一緒にいたい」と思われるリーダーになる。】
2019年1月16日 第1刷発行
著者:サイモン・シネック
監訳:鈴木義幸
発行所:ダイヤモンド社
▽読書譚4
こんにちは。ホワイトボックス(株)コンサルティング部の阿部です。仕事柄、多くの組織と関わらせてもらってきました。私自身、転職が多かったものですから、多くの組織に属してもきました。
コンサルティングをしていくなかでは、現状を改善するために新たなことに取り組んでいこうという場面が多々あります。こうしたとき、上手くことが運ぶ組織と、そうではない組織があります。
リーダー次第で組織活動の成果は変わる。そう思わずにはいられないこともあって、リーダーシップ論などの書籍は比較的よく手に取る種類の一つになっています。
▽仲間と喜ぶ
この本は、そうしたなかでもちょっと異色といっても良いのかもしれません。というのも、基本は「絵本」。公園を社会の1単位とみなし、公園というコミュニティで遊ぶ子供たちが現状を飛び出し、違う景色を探す冒険にでるものの、最終的にはまた自分たちのコミュニティに戻る、というSTORYを通して、リーダーとはなにか、を著者は語りかけています。
仲間を探し、仲間に尽くし、仲間に任せ、仲間と成果を喜ぶ。
7つの章立てから構成されたSTORYの6割が仲間について割かれているのも印象的でした。
見開きのページに言葉はシンプルにまとめられ、きっと多くの言葉のなかから余計なものを削ぎ落していくという大変な作業を経て、出来上がったものだと誰もが理解できると思います。
▽リーダー、大変なことしかない思い出
中学生のとき、野球部の主将を務めたことがありました。Jリーグがなかった当時はまだ野球人気は高く、中学校といえども1年生~3年生までを含めたら50名くらいの大所帯だったことを憶えています。
このときが、はじめてチームをまとめるという役割を与えられた時でしたが、当時の私にその自覚があったかと言えば、なかったと即答できてしまいます(笑)。
いま思えば、リーダーシップを学ぶ貴重な機会だったと思いますが、当時は強い個性をもったメンバーたちをまとめるのに大変で、チーム内でケンカすることが日常茶飯事だったように思います。
それでもチーム自体は優秀で、市内の大会ではベスト4が定位置になっていたことを思い出します。
▽失敗と成功について
リーダー論。このときに学んでいたら、その後のことは少し変わっていたように思います。多くの時間をもつことができる学生時代は、毎日が実験場といっても良いのかもしれません。失敗したって、経済的・社会的責任が問われることはないのですから。
著者はストーリーのなかで、「リーダーは挑戦して、失敗する機会を仲間に与える」と話しかけています。「そのあとでもう1回挑戦して、成功する機会を仲間に与える」とも。
▽仲間との思いで
この本を読んで感想をこうして文字にまとめていると、不思議と思いだすのは学生時代のことのほうが多くなってしまうのは、まだまだ私が社会のなかで経験が少ないことの証左なのかもしれません。
組織のなかで、いちプロジェクトのリーダーとして取り組んだこともあることはありますが、社会人になってからのプロジェクトの成功は一場面でしかなく、場面が進行していくなかで成功は風化していきます。
それでも、多くの仲間とプロジェクトについて議論したこと、夜遅くまで作業したこと、そして一定の成果を得られた事実は残ります。
積極的に取り組むことの尊さを多くの人に知ってもらいたいと思うとともに、私自身もそうありたいと思っています。
本書はリーダー論に疲れてしまった人におススメしたい1冊です。
2021.008.07 阿部勇司