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システムが先か、行動変革が先か

 最近DX関連のお話しで「基幹システムがDXの足枷になっている」ということが言われていました。今回はこの辺りの私の見解をお話します。

長年運用されている「基幹システム」が原因なの?

 多くの企業において、アナログな時代からデジタルへとシフトされた1990年代、この頃からデジタルで情報を管理する仕組みや組織は企業の中で次々立ち上がっていきました。部門でいえばそれまで存在しなかった「情報システム部門」、システム自体は企業情報を管理する「基幹システム」です。

 この「基幹システム」が原因でDXが進まない。というお話がありますが、私は「基幹システム」自体が足枷なのではないと感じています。

「基幹システム」はIT導入

 以前からお話していますが、IT導入とDXは切り離して考える必要があります。
 ITはあくまでも手段であり、目的はX、すなわち何を変革するか。です。
 このXが明確化しなければどんな「手段」を使うかの選定ができません。

 旅行に行きたいからからと言っていきなり「飛行機」を買う人はいません。

 飛行機でいける場所かどうか、以前にその飛行機を飛ばせるパイロットや維持費を継続して出せるのかなどそもそも前提条件が何もわからない中で手段となる「飛行機」を買うことはありません。
 飛行機でしか行けない場所で、且つパイロットや駐機場所などの目処が付いてなければ「手段」を手に入れても何もできないからです。

「基幹システム」はいわばこの手段にあたりますが、従来の基幹システムは「オフィスにある鍵付きの書棚がデジタル化したもの」とお話しをしています。
「手段」としてのアクセスを制限した書棚、データを安全に管理できる手段として利用されています。

 実際、紙ファイル&ロッカーの様に、情報が整理され、利用できる鍵を持った人だけが情報を使える部分ではほぼ一致した手段だといえます。

 この長年使われてきた「基幹システム」ですが、「鍵付きファイル書棚」と考えるとその中の情報を自由に使えないため新しいことができない。

 つまりはDXできない。

 と繋がり、「基幹システム」が足枷である。と見えてしまいます。

 しかし、本当にこの「基幹システム」がDXを阻害する要素でしょうか?

「情報を厳密に管理したい」から生まれた「手段」

 そもそも基幹システムには情報を厳密に管理したい。という目的があった筈です。

 紙だと紛失や漏洩などが有り得るため、デジタル上にデータを入れれば、検索などもできる様になり情報を確認するためには最適である。
 目的はしっかり達成でき、アクセスできる人の管理をシステム上で行え、情報を探すことも簡単になりました。

 整理なども紙ファイルに比べれば行いやすいため、「ファイル書棚」で出来なかった「目的」が達成出来ました。
 この「目的」が「X」です。

 では、現在のDXを考えてみましょう。

 現場のありたい姿などの「目的」を実現するために「デジタル」を活用することがそもそもDXになります。この「目的」は書庫のデジタル化の様なものではなくなってきました。背景にはその昔のデジタルから大きく変化を遂げたことが背景にあります。
 単にデジタルは情報を管理する手段だけではなく、現場で様々な便利で効率的なことができる「手段」がたくさん出てきました。

 「基幹システム」の形とは全く異なる「D」がこの30年でたくさん生まれました。

 つまり手段は大きく変わる中「基幹システム」が足枷で「X」が進まない・・・とつながるでしょうか?

「基幹システム」そのものから変化が必要な時代へ

 「デジタル書庫」が「基幹システム」のベースになっている、という前提で考えてみると、現場の「目的」の達成には、「デジタル書庫」が足枷である。という流れになります。実際には、X、つまり現場の目的を達成するにあたり、就業時間の大半を「基幹システム」処理に費やされる現場であれば、足枷になると思われますが、大半はそういう仕事ではありません。

 であれば、現場の「目的」をはっきりさせ、「手段」を選べば良いわけです。

 基幹システムは「手段」の一つですから、それを選ぶかどうかはX次第です。
 実際、基幹システムを手段として使いたい場合は、今時の利用ができるかどうかが鍵になりますが、この辺りは「モダナイゼーション」として各社がお客様に提案をしています。そのままの姿ではXが実現できない訳ですので、手段自体を変化させることが必要となります。
 このモダナイを進める際に昔の仕組みを移行できない。ということが原因でDXが進められないケースもありますが、これは稀なのではないでしょうか?
 全く同じリソースで変化をさせたい。という要望でなければ、昔のシステムより劣る現在のシステムはほぼ無いでしょう。
 また、手段を入れ替える。という手もあります。

 例えば、企業の中でファイル書棚の中の情報を業務上でフル活用し、数十年前の情報まで使いこなしている現場はどれだけあるでしょうか?
 ファイルをダンボールなどに入れて倉庫に仕舞い込んでいる。なんて現場も多いのではないでしょうか。

「手段」はあくまでも「手段」でしかなく、「目的」を作り出すことはありません。
 今足りないのは「手段」に縛られず「目的」を考える「現場力」としての行動力なのかもしれません。

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