見出し画像

古いデジタルと新しいデジタル

 講演などで話していて気づいた事などを毎週執筆していますが、今回はデジタルの捉え方のお話です。どうも一括りで捉えてしまうとうまくいかないのではないか。と感じています。

なんでも「デジタル」で括る

 デジタルは「わからないもの」で「難しいもの」。だから全てをデジタルと括る。
 そういう質問やお話を頂くことが多いですが、全てがデジタル。で括られてしまうことに違和感があります。
 例えば、最近やっと情報媒体として取り扱いをやめようとしている「フロッピーディスク」、1980年代に登場してすでに40年以上続く「デジタル媒体」です。ファクシミリ(FAX)も1980年代に今使われている規格が登場した「デジタル送受信機」です。
 パソコンについても1970年代後半にはもうすでに登場していました。当時は自分でプログラムを書く必要がありましたしOSと呼べるものも実装されていませんでしたが、「デジタル情報処理装置」と呼べる代物でした。
 この様に、デジタルと言えるものは40年以上前から存在しています。これらも含めデジタルではあるのですが、当然最近のデジタルサービスなどと比べると「デジタルとは言え全く別物」と言えます。
 つまり、デジタルそのものはもうすでに40年以上の歴史があり、一括りで表現するには無理があるのです。

ICチップも「デジタル」

 キャッシュカードやクレジットカードに入っているICチップもデジタルです。
 マイナンバーカードもデジタルチップが入ってますし、これらも「デジタル」と呼ばれることがあります。
 確かにデジタル機器を使い、中の情報を読み取ることで本物である。という証明ができる訳ですから「デジタル」と呼ぶこともできます。ただ、これらはあくまでも記憶媒体です。パスワードなどと合わせることで本人や本物である証明を行うものですが、あくまでもICチップによる証明はSUICAの様な非接触チップでも20年、接触型のICチップは20年以上前から使われています。これらもデジタルとして語られることが多いですが、あくまでも磁気ストライプに記載されている情報をチップ化したものです。磁気ストライプも1960年代から利用されているため、50年以上の歴史があります。

 つまり、デジタルって難しいしわからない。デジタル活用を進めたい。などと言われるケースが非常に多いですが、「デジタル」そのものの定義が曖昧過ぎることや古い「デジタル」を指す場合、「デジタル」に関わる仕組みも含め語られることが多いため、厳密に現在のデジタルそのものを指して語られないことが多いものなのです。

デジタルは情報漏洩する

 デジタルは情報が漏れる。ということもよく言われます。セキュリティという言葉とともに「情報漏洩」につながる。という言葉が一人歩きしている様にも思えます。
 厳密にいうと「紙の方が漏洩事故件数は多い」のですが、紙の頃には「セキュリティ」という意識がなく、結果的には「デジタルは危険」と言われることが多いのです。
 ただ、セキュリティという言葉が使われないだけで「防犯」という言葉に変えるとわかりやすいかも知れません。実際悪意ある人が紙の資料を持ち出して名簿屋に売る。なんてことが普通に行われていました。

 ただ、漏れた際にアナログに比べデジタルは簡単に流通しやすい特性を持つことから「危険」と思われることが多いのでしょう。

 こちらも「デジタル」という一括りの中で語られるため、なんだか分からないものになっていています。

「古いデジタル」は更新が必要

 古いデジタルを現在使う続けていると「難しい」「面倒」と感じることも多くありますが、一方で新しいデジタル、例えばスマホなどは今や誰もが便利に使うアイテムになっています。アナログなものもそうですが、古いものの方が使いづらい。新しいものは便利になっています。
 ICチップやフロッピーやFAXももはや古いデジタルです。このあたりを使い続けて「不便」「面倒」と感じることも多いのではないでしょうか?
 古いデジタルを新しいデジタルにアップデートすることで便利を感じることもできるのではないでしょうか。
 また、セキュリティも古い仕組みを継続して使い続けたことで抜け穴が放置されてしまい、情報の盗難や人質にあってしまうのです。

 最近では「モダナイ」という言葉が使われる様になりましたが、古いデジタルの仕組みを引きずっていることで不便に感じることもある訳です。ですから新しいデジタルの仕組みに入れ替えてしまいませんか?ということです。

 デジタルにできることが増え便利になっている中、仕事を行う環境においても最新の「便利」を取り込むことで、「難しい」「面倒」を無くすことができます。

いいなと思ったら応援しよう!