広い街の中の1人 01-03

(えー無くなってたから、思い出しながら、書いてみました。コレで、一応全員すれ違ったはず。)

「久々の登場〜あーこれ私の娘。息子は秋葉に置いてきた。うちのダーが弁当忘れてさ、ついでに、都会で遊ぼうと……平日?良いじゃん〜親の都合で子供やすませたってさ。
おー占い師!久!元気かえ?」

常連さん?小さいけど気合の入ってそうな、大らかそうなおっかさんだこと。若い娘とハイファイブしてるし。
その母の娘と、二人組のウチの一人の女の子…どうも知り合いらしい。あからさまに、いや~な顔になってる。

「げ!はは、友達なの?こんの~私より1歳年下の………」
言い終わる前に、占い師が話し始める。そういえば……あの娘、私も昔あの娘に……寿命聞いた事が…
「部長〜ありゃ。シンデレラの娘さんて、吹奏楽部の先輩じゃないですか〜」
「そういう貴方は副部長。はは、友達は選んだほうが………コイツはいつもいつも…問題提起しては、かき乱すだけかき乱して、私にほっぽり投げるプロだから。だいたい……」
「先輩が頼りになるから、そうしてたんだって。おかげでまとまったじゃん!あの年。」

ワナワナって、怒ると震えるの初めて見た。当面の怒りの対象は見ずに、その友達に肩に手をおいて、話しかけてる。

「…お察しします。さぞや御苦労を。」
友達も、その手を握り、泣き出しそうになる表情……だが、声だけ冷徹に
「なーこの人、あんたが言ってた、使える人?

「そー先輩の調整能力は、半端ないよ。その手離さないで、皆でボックス席で、な~かよーく話しましょ。」
連行されてゆく先輩とやら。気の毒とは思うけど、そういう役回りの人って、いるよね。

「いや~〜!ははのバカー」

奥のボックス席へ、その声が消えていった。
楽しそう〜なシュチュエーションですね~
ここ色んな事が起こります。


ん?
表に背は小さいけど、ヤケに気合の入った男の人が、母親と子供のボックス席を見てます。スーツ姿が、渋いね。

意を決したように
カランコロン
コツコツ

「…久しぶりです。私のことは、忘れて下さい。」

げ!イキナリその台詞?なんだなんだ?

「私、幹部になりました。カタギに戻るつもり、有りません。金用意したのは、謝ります。もっと嫌ってください。マスターに言われたんです。ココにいつも座って、外見てるって。スッカリ田舎にでも帰ったと…」

ヤクザ屋さん…ですか。

「私さ、あんたから"借り"てるんだよね。お金。返さないと、気が済まないんだ。」
「イヤ、それは……」
「貧乏な女へのほどこし?まっぴらごめんだよ。絶対返すから。150?200?あんたが取りに来なさい。」
「ボクの気持ちっす。忘れて下さい。」
「はっ!昔に戻ってるじゃん。ボクだってさ。気付けよ!あんたが取りに来なさい!って、言ってるんだ。バカか!」

完全に母親の方が優位に話が進んでます。これは参考になりますね〜

「ぼ…オレ……ダメです。せっかく街金から逃れた貴方なのに、大元の俺となんか……オレの周りは、騒がしいんだ。貴方に迷惑………」
「もうかかってるんだよ。ここ来る度、ムサシ頼んで、二人で食ってるんだ。5年も…どうしてくれる?責任取れないのか?取る気もないのか?何で忘れてくれって、ここに言いに来てる?気がつけよ。自分の気持ちに!」

まあ確かに。全く気にして無いなら、わざわざ言いに来ないよね。スルー…気合入ってた男が、どぎまぎしてる姿が、ちょいと可愛い。母親有利!っていうか、マウント状態で、コブシぶち込んでる?心無しか楽しそう。

「あーそうだよ。オレは貴方が、大事なんだ!好きなんだ!だから忘れろって、いってんだ!俺の気持ち解かん……」
「ないね。はーやだやだ。女一人守れない極道が幹部?情けねえ〜そんな男に惚れた私も情けないね……ああ年下だけど、ずっと好きだよ。ほら歳上女が頑張って言ってるんだぞ!男なら、極道なら、任侠道なら、どう答える?」

あーあ押し切られそう。ダウンしそう。

「……雇います。月12万で…身の回りの世話して下さい。5万ずつ天引きします。子供、養子縁組します。貴方は、返し終わるまで…ずっと我慢してました。契約これで良いなら、目つぶって下さい。ハン押させて貰います。
目つぶってくれ!"別荘"入ってる最中も、忘れられなかったんだ。オレなんか関わらない方が良いの解ってる。でも…」
「うっさい。溢れた言葉、垂れ流してると、男が下がるぞ。」

ひゃーあぁ!斜め上向いて目つぶってる。人のキスこんなにマジマジ見た事無いな。男の人…泣いてるし。
つい、貰い泣きして拍手始めたら、店中の人が、拍手してるし。
変な店だ、山茶花。

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