【雑感】2024年J1リーグ 第32節 対ガンバ大阪~執念の一撃~
東京ヴェルディ 1-1 ガンバ大阪
スタメン
前節・鳥栖に2-0で勝ち4連勝のヴェルディ。ガンバからの期限付き移籍の山見は契約上出場不可になり代わりに染野がスタメンに入る。それ以外の10名は同じメンバーの13421で臨む。
一方のガンバは前節・京都と2-2の引き分けで7戦未勝利の状況。出場停止明けのダワンがスタメン復帰してこちらも1名を入れ替える。古巣対戦となる山下が右サイドに起用されて14231システム。
前半
34得点と得点こそ少ないが堅い守備(25失点)でここまで5位につけるガンバと4連勝で急浮上して6位につけるヴェルディの6ポイントマッチ。立ち上がりボールを握ったのはホームチーム。14231でスタートして2CB中谷と福岡に2DHダワンと鈴木が絡んで組み立てる。前線はトップの宇佐美を追い越すように両翼の山下とウェルトンが走り出す。これに対してヴェルディは1541で構えて中谷と福岡がボールを持つ時は木村とボールサイドのSH山田楓喜、染野がSBへのパスコースを消しながら外切りでプレスをかける。SB岸本と黒川に対してはWB翁長と宮原が最終ラインから1列2列と縦スライドしてプレス対応。持ち場を離れることでマークがあいてしまう山下とウェルトンには谷口栄斗と綱島悠斗が横スライドする。
ガンバがミドルサードに持ち運ぶと、宮原と翁長はプレスをせずに山下とウェルトンをマークしてSHの山田楓喜と染野がダワンと鈴木を見ながら岸本と黒川も見る。DH齋藤と森田晃樹も黒川、岸本、ダワンと鈴木を見ながらトップ下の山田をケア。1トップの木村だけが2CB中谷と福岡をみるため数的不利でボールを握られるもここは捨ててOKとしてパスが入る山田と宇佐美、中へ絞る山下とウェルトンに対して2DH齋藤と晃樹、3CB悠斗、千田、栄斗の5枚で出足鋭いボールカットや球際の寄せで塞ぎ中を固める。
それでも宇佐美中心に真ん中崩そうと試みるガンバであったが、試合後の城福監督のコメントでもあったように前半は相手に足を振らせることはほとんどなく、ダワンがPA手前からシュートを放ったくらいで守備に関してはヴェルディはよく出来ていた前半であった。
一方でヴェルディの攻撃、ガンバの守備も似たようなものであった。宇佐美と山田の2トップ化で1442でボール非保持時を対応するガンバに対してヴェルディは1343。3バックは数的優位になるのでGKマテウスを使うビルドアップはあまり見られず、2トップのプレスが間に合わないことから3バックの余った悠斗や栄斗からパス供給が目立った。4-2で配置しているも選手距離感は広く中盤までは間、間のスペースでボールを貰うことは出来ており栄斗から晃樹へのパス、千田から齋藤へのパスと縦パスで1stラインを簡単に割って行くことも出来ていた。ただ、中谷と福岡が睨みを利かせていたのか中央突破はあまり多くなくサイドへ展開して外回りの攻撃が多かった。中央で齋藤、晃樹がドリブルで持ち運べばさらに迫力ある攻撃もできたのでは思ってしまう。
サイド攻撃やカウンターから深い位置まで入り込み、クロスやシュートのこぼれに反応した染野や楓喜がシュートを放つも決定機には至らず。前半はスコアレスで折り返す。
後半
お互いにメンバー交代無しで後半を迎える。ヴェルディは前半よりも齋藤が前線まで顔出すことが増える。攻撃時は晃樹と縦関係で最前線に右に左に空いているスペースへ動き、守備時では鈴木をマンマークするようにしっかりと見るようになる。前半は黒川を齋藤もみていたが楓喜がしっかりとみることとなるが対面の福岡の持ち運び気になるため中途半端になっていく。するとフリーになる黒川の攻撃参加が目立ち始め高い位置まで上がってのクロスから山田のヘディングシュート、PA内でのシュートと立て続けにガンバが攻め込む。
一方のヴェルディは左サイド中心に攻め込む。右DH齋藤が縦横無尽にプレーすると、古くからのヴェルディサポーターなら知っている山下の守備の軽さを突きサイドやハーフスペースで上手くフリーの選手を作る。最終ライン千田からの対角へのフィードを左に流れた齋藤が受けてクロス。その流れから木村が立て続けに2回シュート。
ガンバはイエローカードを貰っている岸本と負傷した山田に代えて半田と坂本を投入。ヴェルディも山田楓喜に代えて見木を投入。左ハーフスペースでボールを持った晃樹からの縦パスに抜け出した見木がここまでで最大の決定機を迎えるもシュートに迷いが出たのか打ちきれない。右サイドの悠斗から翁長への展開から仕掛ける場面もあった。
ヴェルディがリズムを掴んで自分たちの時間帯と思ったとき、自陣からのガンバのカウンターが炸裂。抜け出したPA右から山下がシュートを放つもここはマテウスがセーブ。このタイミングで山下に代えてファンアラーノを投入し左サイドになり、宮原に抑えられていたウェルトンが右へ回る。
ここから流れがガンバに傾く。左サイド中心に攻め込むと福岡からのパスを坂本がポスト。落としを宇佐美が繋ぐと後方からダワンが上手く抜け出すとマテウスの動きをよく見てシュートを沈めガンバが先制する。ファンアラーノ投入で両翼入れ替えられてマッチアップが曖昧になった時間帯に決められてしまった。
1点ビハインドのヴェルディがボールを握り敵陣でプレーすると、栄斗からの縦パスを受けた晃樹が反転してそのままドリブル。前が空くと見るや思い切りミドルシュートを放つも一森に防がれる。
ガンバはダワン、ウェルトンに代えて美藤、福田。ヴェルディは宮原、木村に代えて松村、山田剛綺。そのあとには翁長に代えて松橋優安を投入し両者選手交代で試合は終盤へ。
最前線の剛綺が小柄ながらも体幹の強さを活かしたボールキープで深い位置を取るとシュートやCKを獲得し勝利へ圧を高める。後半ATに2回続いたCKから右サイドで齋藤が相手に倒されてFKを獲得。キッカーの見木がアウトスイングのボールを入れると一度はクリアされるもPA外でボールを拾った晃樹が再度ミドルシュート。これが足を伸ばした福岡に当たりコースが変わってゴールイン。土壇場でヴェルディが追いついた。
敵地で同点に追いついたヴェルディは直後の攻撃でもゴール近くまで攻め込むも最後のトラップがズレてシュートには至らずここでタイムアップ。6ポイントマッチは1-1の引き分けで終わった。ヴェルディは連勝は4で止まったものの貴重な勝点1を持ち帰ることに成功した。対してガンバはこれで8戦未勝利となった。
まとめ
この試合ではお互いの攻撃守備は似たところが多く最後のゴール前を人数をかけて固める流れだった。主導権を取れていたなかで一瞬のスキを突かれて先制点を許すもそのあとは攻め続けて最後は執念で得点をもぎ取った。この日も走行距離が1位の齋藤と同点弾を決めた森田晃樹のDHコンビは攻守でとても効いていて試合をコントロールしていた。主将の晃樹は嬉しいJ1初得点になり初挑戦のトップカテゴリーでありながら試合を重ねるごとにプレー強度も上がって逞しい存在である。
ドローとなったガンバは守備陣の出来はさすがであった。特に中谷はラインコントロール、競り合い、シュートへのカバーリングなど随所にみられる好プレーで今季のチームを牽引するのがよくわかるパフォーマンスであった。
今節で4位の鹿島が敗れたことで差は縮まり残り試合でまだまだ上を目指せる。次節湘南戦ではしっかりと勝利したい。