課長への手紙 #17
前略
運命の6月がやって来ました。
これも何かの偶然でしょうか、昨夜課長の夢を見ました。
夢の中で、課長と私は同じオフィスで机を並べています。
私は少し複雑な心境です。いくつかの、相反する感情が同時に渦巻いているような状態と言ったら良いでしょうか。
——懐かしくもあり、好きという気持ちもあり、どうして今なのだろうという疑問や、かつての、課長に対する気持ちを伝えるべきだろうか、それとも黙っているべきだろうか、そんな思いをめぐらせ、尚且つそうした心情を課長に悟られまいと、ヘラヘラ仕事をしている。
そんな夢でした。
それはさておき。課長はいかがお過ごしでしょうか。
本来であれば、ここで昨年の6月を振り返り、私と課長の間に何があったのか、何が始まろうとしていたのか、それら思い出の細部をひとつひとつ取り出しては愛でていく、という時間が訪れるはずでした。
ですが、どうも今回ばかりはそうなりそうにありません。
というのも——
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