スペイン 巡礼の道を歩きたい
この文章を書いている瞬間、一番叶えたい夢は「かなえたい夢 投稿コンテスト」でグランプリを取りギフトカードを頂戴することだが、ここでは「とりあえず今後の人生の中で達成したい夢」をひとつ書いてみようと思う。
何かを求める時、自分はそれを「妄想」「野望」「夢」「目標」「計画」にカテゴライズするが、これから書く「スペイン、巡礼の道を歩く」は、夢から目標へ、そして現在はなんとか計画に移行しようとしている段階のものだ。
1 自分の特性
小さい頃から遠くに行くこと、知らないところに行くことに魅了されていた、というより取り憑かれていたと表現すべきか。幼稚園に上がる前から「油断するとどこかに行っちゃう子」だったようで、何度か箪笥の取手に縛られた記憶もある。(今なら虐待認定かもしれないが、昭和30年代のお話であり、両親が危険人物だったわけではない。)小学生になると、遠くまで歩き、家に帰れなくなって途方に暮れるという経験も何度かある。それでも近くの大人に泣きつくでもなく「どう考えても家はあっちの方角だな」と当たりをつけて、なんとか帰宅できたものだ。一度は帰ったら玄関先の受話器を母親が握っていたことがあった。捜索願いを出す寸前だったという。(こうやって幼少期を振り返ると、母親は随分と難儀をしたことだろう。大変申し訳なく思う。)
中学校に上がると少し分別がついてきたようで、行方不明になることはなかった。夏休みに山形から長井の親戚宅まで50キロほど歩いて行ったのが唯一の冒険か。高校になると部活動で忙しく、ふらふらと出かけることは皆無となった。(人間の記憶は曖昧だし、もしかしたら皆無ではないかもしれない。)
高校を出てからは自転車が遠出のメインとなり、北海道や信州などを野宿しながら巡ったり、仙台東京間を1日で走る挑戦をしたり、それはそれは楽しい期間だった。大学の最後の年にはオーストラリアの内陸部を自転車で走ったりもした。(その時は自分の何倍も体力ある同級生と一緒で、同じペースで走れなかった)
就職、結婚、そして子育てと、自分にしてはまあまあ普通の人生を過ごしてきたが、根っこの部分は何も変わってないと感じている。(現代においては「普通の人生」という表現も何かに抵触しそうで怖いものではある。)
2 なぜスペインの巡礼なのか
なぜスペインなのかは、正直云うと自分でもよくわからない。実際「インカトレイル」「パタゴニア」「ミルフォードトラック」など歩いてみたいところは他にもある。もちろんスペインの巡礼路は、世界中から人が集まるメッカであり巡礼者向けの宿泊施設が充実していることや「クレデンシャル」というスタンプ帳に施設のサインをもらって進むルールの明快さ、ゴールでもらえる証明書の存在など魅力は満載だ。しかし「なぜそこなのだ?」と聞かれたら「それを知ってしまったから」としか答えようがない。夢を実現するのにその意義は大切だが、それに匹敵するか時にはそれ以上に大切なことは「夢を決めたらつべこべ考えずに実現に向けて進むこと」だろう。
もちろん布石はいくつかある。自分は仏教徒だが、キリスト教徒がいったい何を考えてるのか一緒に体験して感じたい気持ちがある。若い頃、旅先で出会ったロシア人女性との会話の中で「あなたの宗教は?」「仏教だけどぶっちゃけあまり信じてない」「そんなことってあるの?信じられない」「あなたは?」「私はクリスチャン 神が私を強くして下さるの」という流れがあって、それ以来「キリスト教って何なん?」と自分なりに興味をもっていろいろ本を読んだりしてたこと。(でも信者ではないし、キリスト教にかなりネガティブな感情を持っているのも事実)
もうひとつは、たまたま何回か旅行したスペインの印象が良かったこと。何回かスペインに行ったなんてブルジョアっぽいけどそんなことはなく、海外の日本人学校に申し込んだらドイツに決まり、3年間ヨーロッパに滞在するという信じられない経験がなせるウルトラCであった。(昔、中学の先生してました) 長期休暇(日本と違って部活とかほぼないから休みが取り易い)に家族で訪れた国は他にもあるが、スペインがベスト3に入るのは間違いない。
とはいえ、結局は「これを目標にしていくとちょっとワクワクするなあ」が理由である。
3 それで、どんな準備をしてきたんだ
「スペインの巡礼路を歩く」という夢を実現するために必要なこと、準備してきたことは次の5点。
(1)時間の確保(2ヶ月程度か コースによっては半年)
(2)資金力(ざっと200万円と見積もっている)
(3)ルートを歩き切る体力
(4)語学力(英語とスペイン語)
(5)情報収集
(1)(2)はとりあえず確保できている。自分は既に社会人を卒業し、今年から年金生活者になる。特に仕事をしているわけでないので時間はあるし、退職金の一部を切り崩せば良いから資金も問題ないだろう。
(3)はかなり不安なところではある。冒険放浪好きだが体力はなく、特に心肺機能が弱いのが辛いところだ。今は「夏は山登り 冬はランニング」を趣味として継続し、体力の維持向上を図っている。
(4)それまでも細々と語学の勉強はしていたが向上する気配がなく、2021年より「本気の語学学習」を宣言し、Twitter(現X)のアカウントを立ち上げて語学の進捗を投稿し始めた、その後語学仲間との学習会や講座などを継続し、現在は英検(3級→準1級)、スペイン語(無資格→西検5級、DELE-A1)まで来ている。巡礼とは関係ないが、DELE(スペインの公式語学検定?)でA2までいけば、移住の最低語学ラインはクリアするという記事を見つけ、なんとかそのレベルに到達することも野望のひとつである。(移住の計画は、ない)
(5)巡礼ルートは、ゴール(ヤコブのお墓があるサンチアゴ・デ・コンポステーラ)だけは決まっているものの、コースはひとつではない。さらに、コースを選んだとしてもどこから歩き出すかというのも個人に任せられる。最低100キロにならないと証明書はもらえないという縛りがあるだけで、200キロにしても5000キロにしても良いのだ。有名な「フランス人の道」はピレネーからスタートする780キロで、ここを踏破する人が多い。でも、中にはローマから2000キロ歩く猛者もいるらしい。さて自分はどうしよう。せっかくならちょっとだけ住んでたフランクフルトをスタートするか、いやいやそれも2000キロある。でも、時間だけはたっぷりあるし、途中で一時帰国して休憩するのも認められてる。これは悩みどころだ。とりあえず「フランクフルトからだと1泊目はここ、次はここまでかな」と地図とにらめっこしながらコースを割り出す作業中。旅って、実行する時と同じくらい計画が楽しいんだよね。
それから、「日本カミーノ・デ・サンチアゴ友の会」にも入会し、体験談を聞きにも行った。いずれは自分の体験を会で話す日がくるだろうか。
4 で、いつ行くんだい?
とりあえずの計画は2027年。とはいえ、自分を取り巻く状況がどうなるかわからんので前後するかもしれない。自由の身ではあるが家には年老いた母がおり、それをうっちゃって行くことはできない。幸い遠く離れて暮らす妹がもうすぐ老後に入るので、半年くらいは面倒みてもらえるように調整するしかあるまい。
あとはそれまで体力と、何よりも行こうと云う気力を維持しなくちゃならない。まだ具体的な形にはなっていないが、「これが達成できたら自分の人生は成功」と認定してやろう。がんばれ自分!
成功した後は・・また次の目標を設定するだけだ。