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今更ながら、NTTの接待問題を考える~総務省らが壊れていた件にどう対処するべきか

こんにちは。今日もお疲れ様です。

先月以前の話で恐縮ですが、国会論戦等を見ていても、結局この問題は
うやむやにされてしまったようですので、総務省他の省庁が壊れていた件を蒸し返します。

1.総務省が壊れていた件

NTT/総務省問題については、評論家の八幡哲郎さんが以下の指摘をして
いて、私はおおむね賛成です。

山田さんなどの豪華接待は、総務省の旧郵政系がみんなで渡れば怖くないになったように見えます。みんなやってるだろうという話では絶対にありません。
①職務権限ありの現職で
②非常識な額の接待を
③出席を断りにくい政治家本人などの同席もなく
④繰り返し行う、
と言うのは何重にも脱線している。上記のうちひとつかふたつなら、これはまずかった、これから気をつけようという話ですが。
これまでもいろんな役所で突出して馬鹿なことをやって刑事事件になった例もたくさんある。ノーパンしゃぶしゃぶだって金額はともかくもあきれた話でした。霞ヶ関のエリート中のエリートがあんなたくさんの人数が脱線したのは恥ずかしいことでした。冷静に考えればやばいとわかるはずなんですが、みんな一緒だとこわくなくなるのはこわいことです。

法治国家なんですから、脱線して法令違反を犯した者は、なんびとと雖も
相応に処罰されなければなりません。

今回の総務省過剰接待問題は、過去に大蔵省幹部がやらかしたノーパン
しゃぶしゃぶ事件と比べて、その反省と再発防止を求めて、公務員倫理規程など、明確に法令が整備された後の話なのですから、国家公務員が、おまけに省庁のトップが、自分たちが守らなければならない法令に、なんと書かれているか知らなかった、あるいは忘れていたというのは、あるいは知って
いて無視したのは、組織として何も学んでませんし、余計に質が悪いです。

そしてなにより、総務省は、そうした自分たちが知っておかなければ
ならない知識や情報を、どうやって伝えるかを考える部署ではありませんか。
自分達は土管屋で、土管の中に何を流そうか知りません、というのは論外
です。
普段、君たちは本当にちゃんと仕事してたの!?と言われても仕方のない
話です。
そんな人たちに、情報通信政策を論じて実施する資格などありません。

従って、関係者を処罰すれば十分、という話では、決してありません。

2.総務省を再建する方策

人間は忘れる動物ですから、重要なことは、忘れてないか定期的にチェックする仕組みを取り入れることが重要かつ必要です。

特に、コンプライアンスは、こうした不祥事が発覚する度に、国民の間でも
大きな議論となって、法令が強化されたりして、昨日までの知識では対応
できなくなってくる場合があるのです。
そのため、民間企業では、人事部から独立したコンプライアンス順守を
社内に徹底する組織を置いて、毎年毎年、社長を含む全従業員に
コンプライアンス研修を実施するのが当然となってきています。
私の勤務先では、研修はオンラインで自分の都合のいい日時に受講可能ですが、受講後の理解度テストに合格しないといけない仕組みになっています。
研修の内容も過激です。コンプライアンス違反を犯してそれが社外に知れ、
炎上して会社の評判を著しく落とす事態になったら懲戒免職、損害賠償責任が発生するからです。

国家公務員の不祥事は、国益を損なうことになる訳ですから、民間よりも
もっと厳格かつ徹底的に、コンプライアンス研修を実施する必然性があり
ます。
せめて、最低年一回。毎年。
そして、全役職員対象。例外なし。大臣、副大臣、政務官、事務次官から、末は新人職員に至るまで、全員対象です。
かつ、研修資料の内容は都度公開して、世間の批評・評価を受けること。
研修資料は、総務省固有のものでなくて、全省庁共通のものをひとつ作成
すれのでもいいです。

少なくとも省庁の職員は、そうした世の中のコンプライアンスへの要求度が、自分達が脱線する度に要求水準がじわじわ高く厳しくなっていくのだ、ということに敏感でなければなりません。

その組織レベルの感受性を、常に磨き続けなければ、省庁の場合は国を
滅ぼします。

3.NTTの問題

上記のFacebook投稿で、八幡哲郎さんは主に総務省官僚側の不備を指摘していますが、さて、NTT側に落ち度などはなかったのでしょうか。

その話をする前に、ちょっと海外の話をします。

携帯業界の創始者で、クレイグ・マッカウ、という米国人が居ます。
最初は東北新社のようなケーブルTV会社の買収に明け暮れていたのですが、携帯電話に目を付け、世界で最初に事業化した人です。
総資産数千億ドル?程築いたことでしょう。
この人の資産だけで、東日本大震災で破損したすべての施設が復旧可能
です。
私は20年前に、この人についての解説本をというか伝記本を、当時オープンしたばかりのアマゾンジャパンのサイトで購入しました。

この人はジェット機の操縦ライセンスを持ってて、週末になると、
プライベートジェット機を運転するのが趣味です。

こんな人が、もしたまたま自家用飛行機で日本にやって来たら、
当然NTTは、この人と会食しないといけませんよね?

まさか、ソフトバンクの孫正義さんに任せっぱなしには絶対に
できないでしょう。

世界の通信業界には、この人以外にもこんな億万長者が山ほど居るのです
から、日本の通信業界の代表として、今回問題になったような施設を
使っているのは、仮にもし百歩譲って悪いことだとしても、必要悪で
しょう。

そしてNTTの秘書室は、東北新社と違い、また海外の要人を接待する場合と違い、国家公務員と経営者の会食を行う際には、公務員倫理規程など関係
法令をしっかり調べて、総務省官僚と接待にならない会食方法を確認し、
その場でうっかりしたことを出席者が発言したら利害関係者になってしまうおそれがあるので、NGの話題等も事前に関係者全員でしっかり確認し、問題ないか顧問弁護士にも確認をするべきですし、していた筈です。

そしたら、事前に届け出をしてなければならなかった総務省のトップ達が、それをさぼって会食に来てしまった、というのが実態ではないでしょうか。

と、かねがね思っていたのですが、3月5日の谷脇康彦審議官(当時)の答弁で、それが一気に瓦解してしまいました。

谷脇康彦審議官は、「全体額がどれくらいかもその時点では分からず、参加費として応分負担したと認識していた」と答弁しましたが、これでNTT側の不備が露呈してしまったのです。
何が不備かと申しますと、それは、NTTの秘書室が事前に公務員倫理規程を調べて、上限を確認し、正確に応分負担を谷脇審議官に求め、その上限の
範疇で会食をしなければいけなかったのに、それをやっていなかった、と
いうことです。

いくら自前の会食施設の使い勝手がよいとか言っても、会食相手に法令違反を犯させてしまうのであれば、会食した意味自体がなくなってしまいます。

NTTの中枢が、こんなに愚かだったとは思いもよりませんでした。

本当に、残念な話です。

4.ダメな省庁は総務省だけではなかった件

総務省と時期を同じくして、農水省の事務方トップらも、不適切接待で処分をくらいました。

これは、大臣に誘われて会食に参加したら、大臣が払ってくれたと思って
たらそうではなかった、ということで、一般の人から見たら同情の余地が
あるかも知れませんが、民間企業人から見たら、そんな基本的なこと、
どうして一言ちゃんと確認しなかったのか、唖然とする話です。

厚労省に至っては、職員23人で大宴会をやらかした上、パワハラ対策担当者がパワハラ暴言で処分されるという、多重事故を同時に発生させています。

それでもう終わりでは決してなく、その23人の中から新型コロナウィルス
感染者まで出してしまいました。

こうなってくると、全省庁、規律が緩んでいると思われても仕方ないことでしょう。

総務省よ、コンプライアンス研修をしっかり実施せよ、という私の上記の
主張は、これら省庁へも、当然そのまま当てはまります。

トップの不祥事で、若手を含め組織の全員に負担迷惑がかかるので、年配者はとくに留意してください。

そして、これら一連の不祥事の中でも、厚労省のパワハラ対策担当者が暴言で処分された、という件は、そんな担当者がそもそも居たのか、どうして
そんな担当者を間違った部署に配属したのか、つくづく厚労省は人材育成も人員配置も満足にできない、情けない組織だな、としか思えません。

だからコロナ過にも満足できる対策が取れなかったのだろう、これからも、満足できる対策は取れないだろうな、と容易に推察されます。

5.官僚が接待を受けてしまう理由

青山社中代表で、元官僚の朝比奈一郎さんが、官僚がこのように接待を受けてしまう理由について、最近アップされた動画で語っておられました。

情報収集にお金がかかることは理解しますが、接待・会食だけが重要な情報ソースである現状は、いかがなかものかと思います。
その気になれば、日中のオンラインミーティングでも、同じレベル、品質、鮮度の情報が入手できるのではないでしょうか。

コロナ禍は、少なくともそのことだけは私たちに教えてくれたのだと思い
ます。

6.まとめ

ルール作りをする官僚が、同じ官僚が作ったルールを守れないのは論外です。

民間企業が実施しているコンプライアンス研修を、省庁はより真剣に実施すべきです。

以上になります。

では、また。

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