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第36回ほっこり法話カフェ
11月2日 第36回ほっこり法話カフェ レポート①
今月の講師は、静岡県車イス友の会掛川支部長の横山博則さん。
いつも明るい笑顔を絶やさず、「横さん」の愛称で皆に親しまれている横山さんのお人柄そのままに、ほっこり温かく和やかで、それでいて「今こここに在る自分」についてしっかりと考えさせられる、素晴らしいお話でした。
「ただ受け身で聞くのではなく、自分や家族がそうなったらどうするか、どう接するかを考えながら聞いてくださいね」という言葉から、横山さんのお話は始まりました。
子ども達に話をするとき、障碍者は皆の身近にいることを感じて欲しいと思っている。
掛川市には5,000人以上の障碍を持つ方々が暮らしている。
見た目は違っても同じ人間。障碍があると不便は多いが、「可哀そう」ではない。
悩み苦しみを持っているのは誰でも一緒。
障碍を抱えた生活の不便さ大変さを伝えると同時に、「障碍者だから助ける」のではなく、困っている人は誰でも助けてあげてと伝えている。
横山さんご自身、幼くして下半身が麻痺し、母一人子一人、転々とする苦しい生活の中、悲惨な苛めや差別も体験。
痛みや悲しみや辛さや不満など、終わりの見えない悩みの中で、次第に外へ出ず閉じこもるようになった。
自ずと考えも狭くなり、心も歪んでしまう。自分の身体や表面的なものを見せるのが怖かった。
「障碍者という枠の中に自分を押し込めていたんですね」。
就職して社会に出ても、コミュニケーションが取れず苦労した。
障碍のある仲間や先生・家族だけとの生活が長かったので、日常生活が違いすぎる同僚とは話題も合わない。
職場の隅で与えられた仕事を淡々とこなすだけの日々が1年くらい続いたが、和太鼓の会に入り小太鼓を始めたことで、周囲から励まされたりアドバイスをもらったりしながら、次第に笑顔で接することができるようになっていった。
環境のせいにしていてはダメ。自分が本気で向き合わないと何も変わらないと気付いた。
苦しみもがきながら前進することの積み重ねが、自分の生きていく扉を開く。
自分の夢をもち、誰かのためになっているという希望をもって生きること。
今を頑張って、過去の暗かった光を未来に向けていけば、明るい人生になる。
今は結婚し子どもにも恵まれ人並みの生活に幸せを感じているという横山さんにも、迷い苦しみ泣き続けた過程があってこそ、輝く今がある。
「泣」という字には「立」という字が入っているように、いろいろなサポートや励ましを受けながらも、最終的には自分の意思で立ち上がるしかない。
「待っていてはダメなんですね」
強い気持ちと優しい気持ちで、「自分にできること」を武器にこれからも活動したいと微笑む横山さん。
障碍者が一歩まちに出て、皆で手をつないで掛川の通りを集団で走るくらいの、そんな先駆者になれたら嬉しい。
新しくできた商業施設we+138の「we」の中には、私たち障碍者も入っている。
同じ人間として、掛川をもっといい街にできるよう頑張っていきたいです。
活動的でどこにでも出かけていき、お酒も大好きだという横山さん。ご友人がつけてくれた「不良身体障碍者」という渾名も気に入っていらっしゃるご様子(^^)
掛川の街をさっそうと車いすで走っていたり、様々なイベントに参加されたりしているご様子から、脚がお悪いけれど日常生活はご自分でこなせる方なのだろうと勝手に思っていましたが、車いすを降りるとご自分の上半身を起こしておくことも大変で、お家では横になっていることのほうが多いのですよと伺って、ほんとうに驚きました。
おかげさまで健康で、これといった不自由や不満もなく生かしていただいている身でありながら、私には無理、とか、どうせ~~~だから、と簡単にあきらめてしまうことの多い自分を反省し、わが身に悩みのないことに深く感謝し、周囲の方々のためになることを考えなくてはと思います。
横山さんの活動のお話にもありましたが、駅や交通の便を含め、掛川の街中もまだまだバリアフリーには程遠い部分が多いようです。
自分が妊婦の時や子育てをしている期間には不便に思ったことも、身軽になると感じなくなってしまうもの。
でも、病気やけがや高齢化で、いつまた自分に大きな不自由が訪れるかはわかりません。
不自由に気付かない今から、周囲の方々の不便に気付けるようなまなざしと思いやりを持って生きたいと感じました。
そしていつか、大きな壁にぶつかったときには、横山さんのお話と笑顔を思い出して、自分の意思で立ち向かい乗り越えられるよう、強い気持ちと優しい気持ちを育てていけたらと思います。
横山さん、素敵なお話をありがとうございました(#^^#)
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