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最強の“境界線”を手に入れた自然なまなざし。ソフィー・マルソー

なんでもない毎日を、少しでも楽しくするには、“境界線を自分で決めること” だと私は思っている。マイルールと言ってもいい。大きなことでなくていい。

本来の目的を忘れてしまったような「日常」の動作に、「ここまで」という境界線を引く。それを意識する、ということだ。

ファッションでの境界線とは、ずばり『ネックライン』。

特に夏から秋にかけて。真冬の寒さが来る前に(寒さを凌ぐ一番は襟元を閉める事なのだ)、“自分史最高の自分”を引き出すネックラインに出逢えたら、精神的にも大きな自信につながるのではないか、と思う。

そこで登場の女優は、フランス女優。フランス製のシャツの第二釦の位置は均一ではない。そう、第二釦まで開けたときに、一番セクシーに見える位置、にこだわるブランドがある。

顔に一番近い衣服の部分・衿元。特に女性にとって、衿元をどこまで開けるのか、それも衿なしのときの「ネックライン」は、印象を操作する一番の部分であることマチガイナシ。

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1980年代すでに目覚めていた方なら映画『ラ・ブーム』のソフィー・マルソー(Sophie Marceau)を覚えているだろう。どこかアジアチックな幼い印象のソフィー。映画に目覚めてはいても、すでにひねくれていた私は、「童顔・青春学園もの」とは当時距離を置いていて、興味をもったのはつい最近。

40代後半になってからの彼女の素敵さといったら!

ドタバタともいえるコメディ映画、監督もこなしているサスペンス、自伝とも言える執筆。

童顔を持って生まれたのなら、「素敵な大人」になるのには、きっと大変な努力が必要だったと思うに、10代で一世を風靡してしまった女性らしからぬ「オリジナルで成熟した知性ある魅力」の実現がソフィー・マルソーなのだ。

お得意のドタバタコメディを観ていて、私は彼女のネックラインに注目した。ただセクシー優先にたくさん開いていればいい、のではない。それは、カーブなのかシャープなのか。自身のどの筋肉まで見せるのか。

いうなれば、ネックラインは女性の「内(精神)と外(外見)との境界線」。それを、意識を持って操作させることによって、持って生まれた顔を超えた存在感が、完成する。

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鈴木 郁子(Ikuko Suzuki)
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