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【厩舎菓子】わらしべクッキー*夏みかんのシチリアンクッキー

 夏じゃないのに、夏みかんをいただいた。2月は、いわゆる夏みかんと呼ばれる、大きくて皮の厚いみかんの収穫期。私自身、庭の木が実をつけるまでしらなかった。その木もまあ若くて、また実をつけるのをやめてしまったから、頂くようになるまで実感としてわからなかった。今年もその季節がやってきた。

 そういえば、昨年も2月にみかんをたっぷりいただいた。ご近所さんとの関係が良好だと、あげる方ももらう方も遠慮はない。散歩をしていると、「歯医者帰りにいただいちゃったのよ」と困り顔で声をかけられた。「こんなにたくさんマーマレード作らなくちゃいけないのかしら」と言って4っつほど置いていかれた。「助けてね」とウインクして仰るから、ちょうど大胆に剪定したローズマリーを大ぶりのリボンで束ねてお返しにお渡した。そのミカンは数日で胃袋にきえた。あの黄色くて爽やかな芳香を放つ果物は人気者なのだ。

 しかしいくら人気者とはいえ、一週間を空けずまたいただくと、なかなか消化しきれない。そこで、今日の厩舎菓子はシシリーのオレンジクッキーにした。以前作った時にはアメリカ産のオレンジをわざわざ購入したが、今回は国産である。しかも、無農薬。これ以上の素材はない!
 いただいたままのを一つレジ袋から取り出し、思い切り棕櫚タワシで擦る。見る見る爽やかな黄色が現れた。もちろんオレンジ色とも違う、柚子の黄色とも違う。こんなに淡い色だったかと見惚れた。
 アーモンドフラワーに粉砂糖、冷凍保存していた卵白を卵二個分、優しく混ぜて手で丸める。成形したクッキーを再度粉砂糖を全体にまとわせ、180度で12、3分焼く。それだけなのだが、冷めると外は固まり中はしっとりの贅沢な香りのクッキーになる。

 このクッキーの原型、シチリアのオレンジクッキーはアーモンドパウダーを使うところも砂糖じゃなく粉糖を使うところも、スペインのポロボロンやフランスのプールドネージュと同じなのに、手軽で失敗が少ない。卵白を使っているためまとまりやすい。そして柑橘の香りがアクセントになってとても美味しい。リピ決定のお菓子だ。

 バレンタインのチョコレートに飽きた舌にもウケるだろう。 


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