何清漣★欧米の対露制裁の有効性について 2022/03/11
ロシア・ウクライナ戦争は世界の軍事地図を変えただけではなく、米国のグローバリゼーションによってうちたてた金融覇権、ハイテク覇権が巨大な威力を発揮しました。
2月26日、米国と欧州連合(EU)、英国、カナダは共同声明で、ロシアの複数の大手銀行の国際決済システム(SWIFT)利用禁止を発表しました。
ジョー・バイデン米大統領はインタビューの中で、「第三次世界大戦」を回避するためには、対露制裁が唯一の選択肢であると主張し、NATOとEUの足並みを揃えることが目標だとも言いました。
そして、制裁発動の数日後、世界はそれが「半分海、半分火」のシナリオであることを知りました。(訳注;「半分海、半分火」は中国の小説、映画。詳細は知らないが「どっちもひどい有様」の意味か)
★欧米の対ロシア経済制裁は諸刃の剣
米国をはじめとする西側諸国は、制裁を通じて、世界のエネルギーと農業のサプライチェーンを再構築し、ロシアを孤立させ、力を弱め、最終的にプーチンを屈服させることを目指しています。これは部分的には達成されているといえます。
ロシアは経済制裁によってジリジリと炙られています。
ロシアがこの侵略戦争を仕掛ける前は、1ドルは約70ルーブルだったのが、今では1ドルが170ルーブルに近づいています。
ただ、中国、インド、イランは制裁の対象外であり、特に中国はロシアに人民元決済ルートを開放したため、SWIFT停止という「経済核爆弾」の抑止効果は「巨大爆弾」程度になってしまいました。
GDP総額でロシアの実力と米国の実力の差が異常に大きいにもかかわらず、ロシアを対象としているという点で、今回の制裁はこれまでの小国に対する制裁とは異なります。
2021年のロシアのGDP総額は1兆4900億ドルで世界のトップ10にも入りません。米国の経済規模は16兆9000億ドルで依然として「リーダー」であり、ロシアの約11倍もあるのです。
しかし、ロシアは世界の原油・天然ガス市場において、最も重要な供給源の一つです。石油輸出国機構(OPEC)と非OPEC生産国で構成される「OPEC+グループ」においても重要な地位を占めています。
このことは、2021年にロシアが世界の原油輸出の35%、ガス輸出の25%に寄与し、最近のOPEC+の増産の主役となっていることからも明らかです。
石油エネルギー供給において、欧州は長年ロシアに依存してきました。天然ガスだけとっても、EU加盟27カ国のうち、メンバーの40%がロシアに依存しています。ですから、対露制裁の結果は、米国が以前おこなった十数ヶ国への制裁などとは比べ物になりません。
例えば、米国のキューバ制裁、ミャンマー制裁、クリミア制裁、イラン、イラク、レバノンなどに対して行った短期、長期の制裁では、米国国内では全く痛痒を感じないですんだケースとは、世界経済との関係の広さ、深さ、欧米のエネルギー依存度ともに全く違います。
これらの結びつきは、ソ連崩壊後の30年間に築かれたものが、もし今後、ロシアがグローバリズムの秩序から外れた場合、世界は以前とはまるで違った損失ダメージに耐えなければなりません。
★対露エネルギー輸出制裁した場合のドイツの痛み
CNNは反対に、ロシアも欧州の資金を必要としているといいます。
ロイターによれば、ロシアの2021年の石油天然ガス収入は、推定9兆1000億ルーブルで1月の為替レートで換算すると約1190億米ドル、ロシア国家予算の36%を占めるとされています。
「ロシアの石油を購入継続すればプーチンに戦費を供給することになる」との考えから、欧米は対露全面制裁を開始しするべく、精神的な準備を整えています。
ブリューゲル国際経済研究所(ベルギー)によると、国別では、ドイツはガス輸入の55%、石炭輸入の50%、石油輸入の35%をロシアに依存するロシア最大の顧客です。
2021年12月、ドイツの物価は前年比5.7%上昇し、1990年代以降の最高値に迫りました。エネルギー価格は前年同期比18.3%上昇し、政府は貧困家庭への支援を約束せざるを得ませんでした。今年2月26日の制裁発表から数日のうちに、欧州のガス価格は70%も上昇し、まっさきに落ち着いていられなくなったのはドイツの政治家でした。
ドイツのロベルト・ハーベック経済相(緑の党党首)は3日、ベルリンでドイツの業界関係者と会談した後、記者団に「ロシアからの化石燃料の輸入禁止はドイツ社会を脅かすものだから、支持しない。反対する」「ドイツ企業に最大200億ユーロの損失をもたらす可能性がある」と語りました。
3月7日には、社会民主党のショルツ首相は、「欧州における暖房、輸送、電力供給、産業用エネルギー供給を確保するためには、これ以外に方法はない」と述べ、エネルギー供給の確保は「市民の生存と日常生活に不可欠である」と言いました。
ショルツ氏は、ドイツ連邦政府とEU内外のパートナーは、代替エネルギーの為に数カ月間努力してきたが、「しかし一夜にしてできることではない」ので、ロシアとのエネルギー供給を継続を決定した、と強調しました。
他の多くの国々もこうした状況です。ハンガリーのオルバン首相は、ロシアが仕掛けたウクライナへの侵略戦争にも明確に反対していますが、ハンガリーとロシアの間のエネルギー取引に影響を及ぼすべきではないと述べました。
NATO加盟国であるトルコはウクライナの同盟国であり、ロシアとウクライナが戦争に突入してからはウクライナに戦闘用無人機を提供しています。しかし、観光、小麦、エネルギー供給で大きく依存しているロシアとの関係も維持しています。
★制裁の影響を受ける米国の消費者
今回の対ロシア制裁では、アメリカはほとんど世論が一致しています。
ペロシ下院議長はロシアの石油輸入禁止に「大賛成」と述べ、ウエストバージニア州のジョー・マンチン上院議員(民主党)は3月3日の記者会見で「1ガロン10セントの追加料金を払ってもいい」と発言しました。
ホワイトハウスのレオナルド・プサキ報道官は3月4日、記者団に対し、米国は世界の原油供給を安定させながら、ロシアの原油輸入を減らす方法を模索しているとしています。
しかし、数日後に問題がおきました。ガソリンが高騰しました。米国自動車協会(AAA)によると、3月7日のレギュラーガソリンの全国平均価格は1ガロンあたり4.173ドルに達し、2000年以来の高水準になりました。
この価格は前週より15%、前月より21%高いのです。
最も高いカリフォルニア州では、1ガロンあたり5.444ドルにまで高騰しています。米国は「タイヤ上の国」「ガソリンに浮いている国」と呼ばれ、その影響は社会のほぼ全域に及んでいます。
昨年の米国の石油・精製品輸入の約8%(日量67万2000バレル)がロシアからの輸入だといわれます。このうち、ロシア産の原油は米国の輸入量の約3%、日量にして約20万バレルです。ただ、米国の原油の大半はカナダ、メキシコ、サウジアラビア、中南米の小国や西アフリカからですが。
わずか10日でエネルギー価格の上昇にみまわれた中で、ずっとバイデン政府支持を続けるCNNは「ウクライナ支援の価格が上昇している」という記事を何度もだしています。
グリーンエネルギー政策を堅持するバイデン政権は、シェールオイルの採掘を解禁する代わりに、2019年に国交を断絶したベネズエラに石油供給を求めることを現時点では考えているようです。
★グローバリストの世界が真っ二つに
国際石油価格の高騰は、農業機械用の油や肥料の価格も上昇させ、作物の生産コストの上昇を招き、世界の食料価格もさらに押し上げられることになります。
専門家によると、ウクライナ戦争により、世界は「破滅的」な世界食糧危機に向かっており、食糧価格は「地獄のような」状況になるといわれます。
IMFは3月5日、ウクライナ問題が全世界に壊滅的な経済的影響を及ぼすと発表しました。両国の衝突そのもののほか、ロシアに対する制裁措置がグローバル経済と金融市場に重大な影響を与えます。
他の国々の生産に影響をあたえ、エネルギーと原材料は高騰し、パンデミックから脱却した世界のインフレスパイクを悪化させると論じています。
ロシアとウクライナの戦争が本格化し、ウクライナの多くの都市がすでに廃墟と化し、激しい戦闘が待ち受けている中、バイデンは制裁がプーチンを大きく打ち負かす効果があると今でも考えています。
実際には、米欧の対露制裁の最大の効果は、欧米の多国籍企業や欧米政府が苦労して築いてきた統一的な世界市場を、ロシアを拒絶する欧米市場と、経済関係を維持するアジア・アフリカ・ラテンアメリカ市場に二分することなのです。
制裁の「海水」はたしかにロシア経済の首を絞めるでしょう。しかし、同時に自国民をも悪性のインフレの火で炙ることになります。ましてや、米国のインフレ率はすでに7%であり、ドイツ、英国や欧州国家の状況も似たようなものなのですから。(おわり)
何清涟:欧美对俄制裁:半是海水半火焰
2022-03-11
2022乌俄战争除了改变世界军事版图之外,美国全球化进程中建立的金融霸权、科技霸权这次亦显示了巨大的威力。2月26日,美国和欧盟、英国及加拿大发表联合声明,宣布禁止俄罗斯的几家主要银行使用环球同业银行金融电讯协会(SWIFT)国际结算系统。美国总统拜登在接受采访时声称,发动对俄制裁是避免“第三次世界大战”的唯一选择。并称他的目标是确保北约和欧盟保持一致。
制裁启动几天之后,世界发现这一制裁竟然成了“半是海水半火焰”的格局。
欧美对俄经济制裁是把双刃剑
通过制裁,美国等西方国家希望重塑世界能源、农产品供应链,孤立俄罗斯,让俄罗斯经济尽快陷入困境,严重削弱俄罗斯国力,最后让普京陷入失败,应该说,这算是部分达到目标了,俄罗斯目前正被经济制裁的火焰炙烤。
俄国发动侵略战争前,大约70卢布换1美元,现在的汇率接近170卢布换1美元。但因为中、印、伊朗等国未参与制裁,特别是中国为俄罗斯开启了人民币结算这条通道,因此,关闭Swift这枚“经济核弹”的震慑力最后成了一枚巨型炸弹。
但是这轮制裁与以往制裁小国不一样,因为制裁对象是俄罗斯,尽管俄罗斯按GDP总量,与美国的实力差距异常巨大:2021年,俄罗斯GDP总量为1.49万亿美元,连前十都未入;美国以16.9万亿美元仍居“领头羊”之位,经济规模约为俄罗斯的11倍。但在全球的原油以及天然气市场中,俄罗斯占有重要地位,是最重要的供应来源之一,同时也在石油输出国组织(OPEC)以及非OPEC产油国组成的“OPEC+”中占据重要位置。以下数据可证:2021年,俄罗斯贡献了全球原油出口总量的35%、全球天然气出口总量的25%,并且是近期“OPEC+”增产的主力。
在油气能源供应方面,欧洲对俄罗斯有经年累月的依赖。仅就天然气而言,欧盟27个成员国40%的需求依赖俄罗斯。因此,制裁俄罗斯的后果,远非美国曾制裁过的几十个小国的后果可以相比,比如美国曾对古巴、缅甸、克里米亚地区、伊朗、伊拉克及黎巴嫩等国实行过或长或短的经济制裁,美国本土几乎感受不到损失。但俄罗斯不同,无论是与世界经济联系的广度与深度,还是欧美对其能源的依赖度,都非这些小国可以相比。这种联系是苏联解体之后的30年内建立的,也因此,要想将俄罗斯从全球主义的秩序中剔除出去,世界都将忍受格局变动带来的损失。
对俄能源出口制裁与德国之痛
CNN称,反过来,俄罗斯也需要欧洲的资金。据路透社报导,俄罗斯2021年的油气收入约为9.1万亿卢布,按今年1月汇率换算作约1,190亿美元,占据了俄罗斯国家预算的36%。欧美基于“继续购买俄罗斯的能源就是为普金提供战争资金”这一考虑,发起对俄罗斯全方位经济制裁,尽管知道此举将给欧洲的能源供应安全带来更多的不确定性和风险,也做了精神准备。
就国家而言,德国是俄罗斯天然气最大的客户,比利时布勒哲尔国际经济研究所(Bruegel)数据显示,德国55%的天然气进口、50%的煤炭进口和35%的石油进口都依赖从俄罗斯进口。由于德国实施绿能战略多年,油价每年持续上升。2021年12月,德国物价同比上涨5.7%,接近90年代以来的最高水平;能源价格较上年同期上涨18.3%,这迫使政府承诺为较贫困家庭提供援助。自今年2月26日宣布制裁以后,几天之内,欧洲天然气价格上涨70%,最先坐不住的是德国政客们。
3月3日,德国经济部长罗伯特‧哈贝克(Robert Habeck,绿党领导人)在柏林与德国工业界官员会晤后告诉记者,“我不会支持从俄罗斯进口化石燃料的禁令,……我甚至会公开反对它,因为这样做会威胁到德国社会”,“可能给德国企业带来价值高达200亿欧元的损失”。
3月7日,社民党籍的德国总理肖尔茨表示,“目前无其它途径可确保欧洲的取暖、交通、电力供应和工业能源供应”,而确保能源供应“对于生存和公民的日常生活至关重要”。肖尔茨强调,数月来,德国联邦政府及其在欧盟内外的合作伙伴已在全力开发俄罗斯能源的替代品,“但它不可能一蹴而就”,因此,我们有意识地决定继续与俄在能源供应方面的商务活动。
陷入这种纠结的还有不少国家。例如匈牙利总理欧尔班表示,也明确反对俄罗斯发动的侵略乌克兰战争。但他表示,这不应该对匈牙利和俄罗斯之间的能源交易产生影响。作为北约成员国,土耳其是乌克兰的盟友,俄乌开战后,土耳其向乌克兰提供作战无人机,但同时也维系与俄罗斯的关系,因为土耳其在旅游业、小麦和能源供应上都严重依赖俄罗斯。
美国消费者受到制裁影响
美国这次对制裁俄罗斯几乎没有分歧,两党都同意。美国众议院议长佩洛西表示她“完全赞成”禁止俄罗斯石油进口,西弗吉尼亚州民主党参议员乔‧曼钦(Joe Manchin)在3月3日的新闻发布会上表示,“我很乐意每加仑多支付10美分的费用。”白宫新闻秘书普萨基3月4日告诉媒体记者,美国正在想办法减少进口俄罗斯石油,同时确保维持全球原油供应稳定。
但是几天以后问题来了,每加仑汽油增加的是10美分的N倍。据美国汽车协会(AAA)的数据,3月7日,全美普通汽油均价触及每加仑4.173美元,为2000年以来的最高水平,该价格较前一周上涨15%,较前一个月上涨了21%。在油价最贵的加州,每加仑已经飙升到5.444美元。美国号称“车轮上的国家”,或者“浮在汽油上的国家”,影响之大几乎覆盖全社会。
休斯顿Lipow Oil Associates(LLC)的总裁Andy Lipow援引能源情报署(Energy Information Administration,简称EIA)的数据称,去年美国进口的石油和成品油约有8%(67.2万桶/日)来自俄罗斯。其中,俄罗斯原油约占美国进口量的3%,约为20万桶/日。不过,美国进口的原油大部分来自加拿大、墨西哥和沙特阿拉伯。拉丁美洲以及西非的小国向美国输送的原油通常也超过俄罗斯。
面对能源价格在短短十多天内猛升之局,一向特别支持拜登政府的CNN连发数文:支持乌克兰的代价正在上升。但坚持绿色能源政策的拜登政府此时想到的不是解除页岩油开采的禁制,而是去与2019年断交的委内瑞拉寻求石油供应。
全球主义者打造的全球化市场分裂成两半
国际油价飙升,也带动农机用油及化肥价格上涨,造成农作物生产成本抬升,这也将进一步推高全球食品价格。据专家称,由于乌克兰战争,世界正走向一场“灾难性”的全球粮食危机,这将导致食品价格“人间地狱”。
3月5日,国际货币基金组织(IMF)发表声明警告说,乌克兰冲突升级将在全球范围内造成“毁灭性”的经济后果。除了冲突本身以外,对俄罗斯实施的制裁将对全球经济和金融市场产生重大影响,并对其它国家产生附带影响。IMF认为,能源和原材料价格飙升,加剧了全球在走出大流行之际正在经历的通胀飙升。
俄乌战争在开打,乌克兰不少城市已经沦为废墟,前方战事激烈,拜登还以为制裁就能达到大败普京的效果。其实,美欧对俄制裁的最大效果是将西方跨国公司与西方各国政府努力建成的全球统一市场分裂成两半,一个是拒绝俄罗斯的西方市场,另一个是保持与俄罗斯经济联系的亚非拉美市场。制裁的海水确实让俄罗斯呛水难受,难以呼吸,但同时却将本国的公民放在物价恶性上张的高通胀火焰上炙烤,更何况,美国的通胀已经高达7%,德国、英国等欧盟国家的情况也与美国类似。
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