見出し画像

屠蘇器と屠蘇の話

はじめに
我が家では、子どもたちの成長と合わせて、毎年歳神様をお迎えして、ご挨拶の後に屠蘇(とそ)をいただいてきました。ここでこの屠蘇についてお話しいたします。

屠蘇は、家族で一年の健康を祈るお正月の風習です。作法はそれほど難しくなく、年少者から順に飲むことや、健康と幸せを願う気持ちが重要です。
伝統を尊重しながら、自分たちに合った形で楽しむことが大切ですね。

我が家では、水出しの屠蘇をこどもたちのために準備をします。健康と長寿を願う伝統的な風習です。

元旦に服用する延命長寿の漢方薬は、山椒(さんしょう)・防風・白朮(びゃくじゅつ)・桔梗(ききょう)・桂皮などを砕いて調合したものたそうです。
我が家は、毎年、多賀大社から頂く延寿屠蘇で祝います。

多賀大社から頂く延寿屠蘇

地域によって異なる部分を含みつつ、日本の美しい正月文化の一端を伝えるものです。
日本のお正月に飲まれる薬酒の一種で、その意味や作法を簡単に説明します。

屠蘇の作法

  1. 酒器の選択

    • 本来は屠蘇器(朱塗りのお銚子と三段重ねの盃)を用いますが、現代の家庭では最もお正月らしい器や盃を選んで代用します。

  2. 東を向く

    • 家族全員が「東の方角」を向いて飲むのが正式です。東は太陽が昇る方角で、新しい年の始まりを象徴します。

  3. 注ぐ順番

    • 飲む人の右側から注ぎます。

    • 年少者から年長者へと順番を進めるのが伝統です。

    • これは若者の生気を長寿の源として取り入れるという願いや、毒見の名残とされています。

  4. 盃の使い方

    • 本来は三段重ねの盃を使い、小→中→大と3つの盃を順に使用します。

    • 略式では、1つの盃に3回に分けて注ぎ、3回に分けて飲み干します。

  5. 厄年の人の順番

    • 厄年の人は厄を祓う力を他の人からもらうために最後に飲むとされています。


願いの言葉
屠蘇を飲む際に唱える言葉として、「一人これ飲めば一家苦しみなく、一家これ飲めば一里病なし」との言い伝えが地域に伝わっていることがあります。
この言葉の意味

  • 「一人が屠蘇を飲むと一家が平和で苦しみがない」

  • 「一家が屠蘇を飲むと、その周囲(里)にも病気が広がらない」
    という内容で、屠蘇の薬効と魔除けの力を象徴しています。


地方性について
屠蘇の作法や唱える言葉は、地方ごとに異なることがあります。

  • 唱え言葉:地方や家庭の伝統によって内容が変わる場合が多いです。たとえば、近畿地方や東北地方では、異なる祈願文を唱えることもあります。

  • 飲む順序:厄年の扱いや飲む方角も地域性が出るポイントです。


現代家庭向けアレンジ
屠蘇を楽しむ際には、厳密な形式にとらわれすぎず、ご家庭のスタイルに合わせて取り入れるのが良いでしょう。

  • 方角を意識する場合には、簡易的なコンパスやスマートフォンを利用して「東」を確認できます。

  • 家族で言葉を唱える場合は、伝統的な祈りの文に加えて、ご自身の願いを込めても素敵です。

屠蘇は日本の正月文化の一部として、健康や幸福を願う儀式の象徴です。地域性を尊重しつつ、楽しい新年のひとときをお過ごしください。

我が家の屠蘇器としつらえ

いいなと思ったら応援しよう!