タフティングガンの解剖学
はじめまして、つちやと申します。
「タフティング」と呼ばれるファブリック製造技法を軸に据えて、制作・調査・制作支援を行うことを目的としたNeutuft(ノイタフト)という活動を主宰しています。
Neutuftでは、タフティングに関する種々のサービス・コンテンツを運用しています。最近、運用の中でタフティングに使用する道具の細かいパーツに対して、共通で使用する名称があったほうが便利になる機会が増えてきました。
そこで、本記事では、タフティングガン(AK-1カットパイルタイプ)の各部の名称を簡単なはたらきとともにご紹介し定義をしていきます。
自宅ではじめるホームタフティング入門
自宅やワークスペースで“個人的に”タフティングを楽しむ、いわば“ホームタフティング”を行う人が増えてきました。本マガジンでは実践にあたって必要な知識・情報をまとめています。
1.全体 - Body
ハンドル:ガンの先端部を安定させる。射角を調整する。
グリップ:ガンの方向をコントロールする。射角を調整する。
ヤーンガイド:植え込む繊維がガンに巻き込まれないように誘導する。
フット:ガンの先端を布に刺す際のストッパー。パイルの高さの基準。
2.電気系 - Electrical Module
通電インジケータ:通電状態を通知する。
電源インジケータ:電源スイッチのオン/オフ状態を通知する。
出力調整ねじ:基本の出力(スピード)を調整する。
電源スイッチ:電源のオン/オフを切り替える。
3.動力系 - Power Module
速度調整ノブ:ガンの動作スピードを調整する。
トリガー:モーターを動作させる。
モーター:回転して、ピストン機構に動力を供給する。
4.ピストン機構 - Piston Module
ギア:モーターの回転をアッパーシャフト/ロワーシャフトに伝える。回転運動を往復運動に変換する。
クランクアーム:回転運動を往復運動に変換する。
※クランクアームは機種によっては、代替としてクランクディスク(ディスク状の同機能のパーツ)が採用されていることがあります
アッパーシャフト:ニードルユニットに動力を伝える。ヤーンホールの最高到達地点を前後に調整する。
ロワーシャフト:シザースユニットに動力を伝える。シザースエッジの最高到達地点を前後に調整する。
シザースユニット:スライダー+ハサミで構成されるユニット。シャフトと連動し前後にスライドする。ニードルによって通された繊維を押し出して、パイルの高さをつくる。
シザース:はさみ。繊維をカットする。
シザースエッジ:シザースを開いた際の内側の平たい部分。パイルの高さ設定時の基準点。
キャンバススプリング:シザースを支える金具。パイルの高さ設定時に前後に調節する。
ニードルユニット:スライダー+ニードルで構成されるユニット。ガンにセットされた繊維を布の向こう側に通す。
ニードル:針。布に繊維を通す。
ヤーンホール:繊維をセッティングする穴。パイルの高さ設定時の基準点。
スライダー:シャフトと連動し前後にスライドする。
5.シザース開閉機構 - Scissors Module
シザースクローザー:シザースに干渉してはさみを閉じる。また、閉じる際の前後の位置・閉じ具合を中央のスライダーで調整する。
シザースオープナー:シザースに干渉してはさみを開く。また、開く際の前後の位置・開き具合を取り付け位置の前後で調整する。
命名および翻訳の方針について
本記事は、当方の公開するコンテンツおよびサービス内で使用される表記・定義を統一することを目的として掲載しています。
命名にあたっては各種取扱業者の提供する取扱説明書についても参考としていますが、直感的なイメージのしやすさやを優先し、メーカーの使用する正式呼称とは異なる名称を採用している部分があります。
また、海外取扱業者の提供する取扱説明書を翻訳する場合、日本語での名称としての馴染み深さなども考慮した上で、直訳とは異なる名称を採用している部分があります。
おわりに
以上、本記事では、タフティングガン(AK-1カットパイルタイプ)の各部名称についてご紹介しました。これからタフティングをはじめたいという方に参考になれば幸いです。
なおNeutuft(ノイタフト)では、毎週末に都内のアトリエでタフティングワークショップを開催しています。
小規模な内容とはなりますが、ご興味を持たれた方はよろしければオンラインストアの方で受付を行っておりますのでこっそり覗いてみてください。
Neutuftとは?
Neutuft(ノイタフト)は、タフティングを中心に“DIYによる創作活動をより身近にできたらな”という思いで始めた「制作支援」を軸とした活動です。