冬の始まり、私の心も冬模様【エッセイ】
体の芯から冷える風が吹いて感じた感情を一旦飲み込んだ。デンマークの冬が始まった。太陽は一体どこへ行ってしまったのか。それと同時に私の心にも雲がかかりはじめた。太陽の光に触れないだけでこんなにも元気がなくなってしまうのか。噂には聞いていたけど想像以上でなかなかキツイ。気休めにしかならないかもしれないけれど日本で買っておいたビタミンDをここぞとばかりに飲む。薄暗い光の元で色づいた葉たちが音もなく落ちてゆく。
理由のない不安が一気に増えてしまった。ずっとモヤモヤする。何かあったわけではないのに。むしろ何かあってくれたほうが、その事象を解決するという手が打てるから楽というものだ。理由のある悩みを持っていた自分をうらやましく思うぐらいにはモヤモヤしている。少し前までは理由のない自信に満ちあふれていたけれど、今やそんなものは数億光年昔の遥か彼方においてきてしまったかのような感覚だ。
でもだからといってイヤダイヤダと反抗期のようなことを言っていても状況が好転するわけではない。この寒くて暗い冬を乗り越える術を身に付けたら私はさらにパワーアップするのではないか? と思い始めたので無理のない範囲で楽しみたいと思う。私はもしかしたらもう二度と冬のデンマークにふれることはないのかもしれないのだから。だからこの瞬間もきちんと味わいたい。
一つ良かったなと思うのは、暗くなるのが早いので、もう9時ぐらいかな?と思ってもまだ7時ぐらいだったりすること。
街はクリスマスに向けて色づき始めている。きらびやかな装飾に照らされたとき少しホッとする。子どもたちがツリーの元で遊んでいた。スーパーにたくさん並んでいるアドベントキャンドル、せっかくだから私も買ってみようかな。少しでもデンマークにいるということを心にも刻んでおきたいし。