2022年皐月賞 出走馬についてPart2
こんにちは、part2となります。
想定上位人気順に書いていってる背景もあり、こちらは穴サイドの馬の紹介になります。
part1と併せて、面白かったらSNSで拡散して頂けると嬉しいです。
↓part1はこれ
https://note.com/1919pipi/n/n7511dd0f9de4
■ジャスティンパレス
父ディープインパクト×母パレスルーマー(Royal Anthem)
母パレスルーマーは北米5勝、繁殖としては2013年ベルモントS覇者Palace Malice、2021年ステイヤーズS、2022年阪神大賞典2着のアイアンバローズを輩出。
母父Royal Anthemはカナダ、イギリス、アメリカの3ヵ国で芝中距離GⅠ3勝。半姉にはサンタアニタオークス等アメリカGⅠ7勝Sharp Cat。
最も日本ダービー制覇に近い種牡馬であり、種付け料も最終的に4000万円と噂されるほど高騰したディープインパクトの産駒だけあって、本馬もセレクトセールで2億円超えの高額馬だ。
新馬が5頭、黄菊賞が6頭と少頭数の競馬を勝ち上がり、初の多頭数となったホープフルSは4番人気2着好走。
少々縦長の隊列だったものの、内外に馬を置いて我慢の効いた競馬が出来たのは収穫だっただろう。
1着馬キラーアビリティの1列後ろながら、早めに仕掛けだした前走を見るに、加速には少し時間を要するタイプか。
皐月賞で勝ち負けまで持っていくには地力で一歩劣る感は否めないが、トライアルの消耗を避けた直行ローテで馬に成長があれば希望は持てる、そこに注目したい。
■ジャスティンロック
父リオンディーズ×母フラワーロック(アッミラーレ)
昨年の京都2歳S覇者
父リオンディーズはデビューから29日目でGⅠ朝日杯FSを制覇する異例のキャリアの持ち主。クラシック戦線でも見せ場を作ったが故障の為、日本ダービー5着を最後に引退。
半兄は菊花賞馬エピファネイア、半弟は皐月賞馬サートゥルナーリアという超良血馬。
母フラワーロックはJRA芝ダートで4勝の準オープン馬。主にマイル前後が主戦場だった。
母父アッミラーレはJRA6勝のオープン馬。喉鳴りに苦しみ重賞勝ちは叶わなかったが、個人所有という形で種牡馬入り。少ないながらも産駒の出来が良かった事で、戦績は地味ながら種牡馬として一定の地位を確立する事が出来た。
ジャスティンパレスとはオーナーが同じ。
芝中長距離を意識してか2000mの新馬戦でデビュー、キャリア4走中3走で上がり最速でラストはきっちり伸びてくる。
前走の弥生賞はスタート後に少し掛かる動作を見せたが以降の折り合い面は見た限りスムーズ。しかし3角入り口でジョッキーが腰を上げてしまう程度の不利を被ってしまったのは痛恨だった。
重賞馬なので既に賞金は足りており、前走が皐月賞の試走であればここで上昇もありそうだが、代打とはいえ川田を用意した辺り弥生賞のタイトルを狙っていたのでは…という邪推もしてしまう。
ここまでの好走は全て外を回してのものなので、ここも出来れば外伸び馬場になって欲しいところ。
■サトノヘリオス
父エピファネイア×母エアマグダラ(サンデーサイレンス)
父エピファネイアは2013年菊花賞、2014年ジャパンカップ勝ち馬で種牡馬としてもデアリングタクト、エフフォーリア、サークルオブライフ等活躍馬多数。
母エアマグダラはJRA4勝、2018年函館記念勝ちエアアンセムを輩出、牝系は所謂「エア一族」でエアシャカール、エアメサイア、エアシェイディ等を輩出した名門。
母父サンデーサイレンスは1989年のアメリカ2冠馬で日本で種牡馬入り、その後数え切れないほどの活躍馬を輩出し、日本競馬を世界レベルに押し上げた歴史的スーパーサイアー。これ以上は長くなるので省略。
サトノヘリオスの特徴的な部分としては、サンデーサイレンスの4×2という比較的強いクロス(インブリード)が入っている点だ。
これがレースに関係あるのか?と問われたら「知らん」という回答になってしまうのだが、血統を少し知っていると、競馬というコンテンツの沼の深さを体感できるので、興味があれば種牡馬の名前をなんとなく眺めるところから始めてみてほしい。noteでも血統について知ってる事思ってる事を書く機会が出来ればいいなと思ってます。(需要があれば。)
話は逸れたが、サトノヘリオスは速い馬場への対応力が武器の一つで、勝ち鞍のある未勝利、エリカ賞はいずれも2歳コースレコード。
大敗したホープフルSは外を回しながらも4角までは勢いがあったが、最後はパッタリ止まってしまった。当日の馬場は良馬場ながら開催が進みパワーを要する馬場となっていたので、時計勝負向きの本馬には合わなかったのだろう。
前走スプリングSは稍重ながら3着好走、これは課題克服というよりホープフルSとの比較で相手弱化とスローペースに恵まれたと考えた方が正解に近いかもしれない。
好走にはJRAの魔法で高速馬場になるのを祈るか、後方ポツン等の思い切った乗り方をするか…
■ダンテスヴュー
父キングカメハメハ×母クロウキャニオン(フレンチデピュティ)
母クロウキャニオンは有名な繁殖でここまでデビューした産駒13頭は全てJRAで勝ち上がりという驚異的な堅実さ。
クラシック前哨戦にも定評があり、ストーンリッジ→ヨーホーレイク→ダンテスヴューと兄弟で3年連続きさらぎ賞2着という珍記録を生み出した。
母父フレンチデピュティは現役時アメリカGⅡ1勝と派手さは無かったが、父としてノボジャック、クロフネ、アドマイヤジュピタ、ピンクカメオ等、芝ダート短距離長距離問わずマルチな産駒を輩出した名種牡馬、母父としてもゴールドドリーム、マルシュロレーヌ、マカヒキが出ており、こちらも非常に優秀
4戦1勝2着2回と、この血統らしい堅実さを見せているが、どこかワンパンチ足りない感があるのも兄姉と同様。
本馬は父がキングカメハメハになった所からも、より道悪適性や持久力にパラメータを振った感があり、速い時計になりやすいダービーより、皐月賞向けと言える。
ただ、戦ってきた相手関係を見た限りは正攻法で上位に食い込むのは難しいメンバー構成で、当日の馬場が重くなる事を祈りたい。
■ビーアストニッシド
父アメリカンペイトリオット×母マオリオ(ネオユニヴァース)
今年のスプリングS覇者。
父アメリカンペイトリオットは2017年アメリカ芝マイルGⅠメーカーズ46マイルステークス(現:メーカーズマークマイルステークス)勝ち馬で、現3歳が初年度産駒。
母マオリオは不出走で繁殖入り。
母父ネオユニヴァースは2003年のクラシック2冠馬で種牡馬としてロジユニヴァース、ヴィクトワールピサ、サウンズオブアース、アンライバルド等を輩出、母父としてもアエロリット、ルヴァンスレーヴが出ている。
近年、レースを絞って馬に負荷を掛けないローテを組む陣営が多い中、シンザン記念→共同通信杯→スプリングSと重賞を連戦しクラシックに辿り着いたタフな男。
表現が適切か自信はないが、走っても走っても人気にならないタイプで、重賞勝ち馬なのにも関わらずこれまで4番人気以上に支持された事がないという穴党の味方。
戦術は逃げが中心で展開を握る馬になる事は間違いないが、普段からテンションに課題があるらしく、主戦騎手が乗らない点がどうだろうか。馬に任せて大逃げの形を取ったら急坂まで踏ん張れるかもしれない。
■マテンロウレオ
父ハーツクライ×母サラトガヴィーナス(ブライアンズタイム)
今年のきさらぎ賞覇者。
母サラトガヴィーナスはJRA3勝、主にダート短距離を主戦場としていた。牝系を辿るとマイスタイル、サウンドバリアー、ビリーヴなどの名前が浮かんでくる。
母父ブライアンズタイムはフロリダダービーの勝ち馬で、90年代はサンデーサイレンス、トニービンに負けず劣らずの有力種牡馬だった。
いとこの間柄である北米芝チャンピオン、サンシャインフォーエヴァーの代替種牡馬として導入されたという経緯もある。
ホープフルSでは0.5差の6着、きさらぎ賞は外目を回して差し切り、前走の弥生賞は内で我慢していたが脚色は冴えず10着敗退。
中山コースが合わないという結論を出すのはまだ早いが、前走は終始掛かり気味だった事を考えるとあまり馬群で競馬するのは良くなかったのかもしれない。
今回は何より外枠+初ブリンカー、前走と同じ競馬にはまずならないだろうし、一発の魅力は十分だ。
■ボーンディスウェイ
父ハーツクライ×母ウィンドハック(プラティニ)
母ウィンドハックはイタリアGⅡ1000ギニーの勝ち馬。
母父プラティニはドイツ生産馬で、ドイツ、イタリアでGⅠ2勝。
1993年のジャパンカップで来日した事もある。
国内でこれと言った代表産駒はいないが、エイシンフラッシュの母父として、血統表で目にしたことがある人は多いと思う。
弥生賞で3着に入り、堂々と皐月賞の権利を掴んだ本馬だが、戦績でも示す通り、中山巧者である可能性が高い。
未勝利 →3人気1着
1勝クラス →4人気1着
ホープフルS →10人気5着
弥生賞 →9人気3着
先行力や立ち回りの巧さは馬柱に書いている数字だけで解釈するには難しいところがあるためか人気の盲点になりやすく、ビーアストニッシドと同様で走っても人気になりにくい側面がある。(トップジョッキーが絡むと話は変わるけど)
血統イメージ通り、キレず垂れずの持久力が売りで、時計が掛かる馬場になれば尚いいのかもしれないが、これまで通りの先行粘りこみの競馬に持ち込んでいきたいところ。
■ラーグルフ
父モーリス×母アバンドーネ(ファルブラヴ)
父モーリスは安田記念、香港マイル、天皇賞秋等GⅠ6勝。
代表産駒はピクシーナイト、ジャックドールなどで、スピードの持続力をよく伝える。
母アバンドーネはJRA未勝利、牝系を遡るとやや遠いが、皐月賞で単勝万馬券を演出したノーリーズンの名前が浮かぶ。
母父ファルブラヴはイタリア、イギリス、フランス、日本、香港の5カ国でGⅠ勝ちをしたアイルランド産馬。
国内の産駒においては牝馬、セン馬の活躍が目立つ。
母父としてはハープスター、ステルヴィオ等を輩出。
8番人気ながらホープフルS3着と地力の高さを見せた形だが、弥生賞は不利を受けたドウデュースに巻き込まれる形で勝負どころで加速できず敗戦。
着順ほど負けてはいないが、ドウデュースが2着に入ったことからも、世代トップとは少し実力の差があるように感じる。
Sadler's Wells、Fairy Kingの全兄弟クロスという血統背景から道悪で上昇を期待したい1頭。ひょっとしたらノーリーズンの再来もあるかもしれない。
■グランドライン
父ドゥラメンテ×母グランシャルム(Dylan Thomas)
父ドゥラメンテは日本の2冠馬で同期はキタサンブラックやサトノクラウン、リアルスティールと強豪揃い。
8歳という若さで昨年亡くなってしまったが、産駒からは早くもタイトルホルダー、バーデンヴァイラー、アリーヴォ、スターズオンアースと大物多数。
母グランシャルムはJRA未勝利、母母ロイヤルファンタジーはフランスGⅠヴェルメイユ賞2着馬。
母父Dylan Thomasは2007年欧州年度代表馬でアイリッシュダービーや凱旋門賞等ビッグレースを制している。
1勝馬の立場だが、同レースに出走するラーグルフ、ボーンディスウェイとは同タイムで走破した経験があるので全くの格下とまでは思わない、しかし重賞戦線ではこれまで跳ね返され続けているのが現状で、勝ち負けというよりは5着以内に入って日本ダービーへの権利取りを目指したい、と言った立ち位置なのが正直なところだろう。
末脚勝負では一歩劣るので、先行策で4コーナーを先頭で迎えるような展開を期待したい。
■トーセンヴァンノ
父ヴァンキッシュラン×母トーセンソニア(ファンタスティックライト)
父ヴァンキッシュランは青葉賞勝ち馬、血統背景からも古馬になってどうなるかが楽しみだったが、残念ながら屈腱炎により日本ダービーが最後のレースとなってしまった。
母トーセンソニアはJRA1勝、芝のマイル前後を主戦場としていた。
母父ファンタスティックライトは2001年の欧州年度代表馬で、エクリプス賞最優秀芝牡馬。
アメリカ、香港、アイルランド、イギリスでGⅠ勝ち、当時はまだGⅠでは無かったが2000年のドバイシーマクラシックも制している。
新馬戦は後に阪神JFで好走するラブリイユアアイズの2着、格上挑戦となったコスモス賞で初勝利、札幌2歳Sでも3着と先々が楽しみになる戦績だったが、以降は続々とデビューする強豪に遅れを取ってしまっているのが現状。
皐月賞で早くもキャリア12戦目、これはメンバー最多出走数で馬なりには頑張ってはいるがこの舞台でどこまでやれるだろうか…