戦場の野獣ママ
2024年、10月未明。
「ゆうすけ、どこにいるんだら?」
凡そヒトとは言えない醜悪な顔。不釣合いなほど巨大な乳房。汚らしくギラギラ光る脂ぎった肌。男性器が存在せず、女性器が存在する股間。異様に濃い胸毛、脇毛、脛毛。
そう、野獣ママだ。しかしここはゆうすけ(それは まぎれもなく あなた)の寝室でもない。ゆうすけの学校でもない。
彼(彼女)は、ウクライナとロシアの国境近くにいるのだ。
「早く姿見せてくれよな~頼むよ~」
「オォン…アォン…」
「ファッ!?」
しかも1体や2体では無い。野獣ママは泥沼化する戦争に対し、日本が極秘裏に秘密兵器として送り込み、前線に投下されたのだ。
野獣ママがウクライナに届けられた際、コンテナに詰め込まれた野獣ママはもはや言葉も忘れ発情期の豚のような鳴き声を上げ、底に満たされた野獣ママミルクと糞尿を喰らい生きていた。不幸なことに、コンテナが開けられた際近くにいた6人のウクライナ軍兵士を「ゆうすけ」と認識し襲いかかり、幸いにも6人とも命に別状は無かったものの、全員が廃人化、若しくは強いPTSDを抱えている。インタビュー可能だった1人によると、
「野獣ママは凄まじい悪臭を放っていた。コンテナを開ける前から、中にはトラック内の物資みてぇにギチギチに詰め込まれた野獣ママが呻いたり叫んだりするのがわかった。俺は臆病だから後ろで銃に手をかけてたんだ。そこからは一瞬だったよ。コンテナを開けた瞬間、野獣ママの何体かがこちらを見て、目が不気味に光った。「ゆうすけ?」奴は確かにそう言った。「ゆうすけ?」「ゆうすけだら?」「早起きしてるの偉いっすねぇ」野獣ママはよく分からない言葉を喋りながらコンテナを開けた3人に襲いかかったんだ。あいつらは咄嗟に拳銃を抜いて野獣ママを撃った。けど奴らは全く気にしてなかった。そしてまず1人が捕まった。「ゆうすけ何するんだら?」野獣ママはそう言って、あいつの服を脱がせて…そこからはもう直視出来なかった。俺は這い出す野獣ママ目掛けて無茶苦茶に銃を撃った。けど全く効いてないんだ。そして俺の前に近づいてきて、「ゆうすけ?」って…そして俺は顔に巻いてたスカーフを剥がされ、野獣ママの紫色の唇が…」
彼はここまで話した後パニックに陥ってしまった。
野獣ママは日本の下北沢、南事江伊研究所にて生み出された生物である。男性を「ゆうすけ」と認識し襲いかかる不死身の怪物だ。日本政府は戦争を終わらせるための最善手として注目、それを送り込んだのだ。
両軍に野獣ママの出現情報が届き、緊張が走る。先に野獣ママと遭遇したのはロシア軍側だった。
「民間人だ」
「捕まえて尋問するか?」
「おかしいぜ、なんであいつ全裸なんだ…」
民間人への攻撃は戦時国際法に抵触する。ロシア兵は不安と不信感を覚えながらも野獣ママへ接近する。
「こちらロシア軍、民間人は…」
「ゆうすけ?」
野獣ママが反応した。
「何を―」
「ゆうすけだら?何してんだら?」
野獣ママが走る。人のように走るのではない。出来損ないの犬のように四足で、唾液と糞尿、野獣ママミルクを撒き散らすのだ。
「う、うわぁぁぁ!」
ロシア兵は「それ」が人間では無いと知り、各々がアサルトライフルや拳銃に手をかけ、野獣ママを撃つ。しかし一切効き目は無い。そして一人が捉えられた。
「ゆうすけ、変な遊びしてんだら?」
野獣ママはそう言いながら捕まえたロシア兵の衣服を引き剥がす。野獣ママは紫の唇でロシア兵に口付けした。ロシア兵は卒倒しそうになりながらも堪える。そして口に野獣ママの乳首が近づく。汚らしく黒ずみ、異様に肥大化した乳首からは白濁の野獣ママミルクが流れる。不幸にもそれを口に含んでしまった彼は、その意志とは反して股間が怒張するのが分かった。
「ゆうすけ、溜まってんだら?しょうがねぇなぁ~(GKU)、チンポもシコシコしてやるからな~」
シコシコとは何なのか、野獣ママは彼の怒張した一物を掴み、不気味な色合いでぬらぬらと光る股間に導いた。
「ママーッ!」
ロシア兵はほとばしるような叫び声を上げ射精し、気絶した。たまげたなぁ。
野獣ママの被害は拡大し続け、砲撃や機銃掃射、爆撃、火炎放射なども一切効果を表さなかった。
両軍は一時停戦し、共に野獣ママを殲滅しようと試みるも全て失敗に終わり、両軍は最終手段に出た。犯罪者等を用い、野獣ママを誘導し、そこに核攻撃をするというものだ。
中央の複数人の「ゆうすけ」。
群がる数百体の野獣ママ。
強烈な熱線。
凄まじい爆風。
「ゆうすけ」は跡形もなく吹き飛んだ。
更地と化した湿地帯。
爆心地には吹き飛ばされ倒れ込む無数の野獣ママ。
死んだと思われた野獣ママの手が、微かに動く。
「ゆうすけ?」
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