欧州旅行記 ロンドン編その2
ロンドン2日目はハリーポッタースタジオとオペラ座の怪人観劇でお届けいたします。
前回の記事はこちら。
~今回の旅行の楽しい仲間たち~
友人A:海外経験あり。英語が話せる。行動力の化身。ハリーポッターが好き。
友人B:海外経験あり。行動力の化身。ハリーポッターが好き。
友人C:ロンドン旅行歴戦の強者。英語が話せる。ハリーポッターが好き。
私:海外は初めて。英語が話せない。ミュージカル「オペラ座の怪人」とハリーポッターが好き。
2日目のはじまり
前日にベイカーストリートから帰ったのち夜8時に爆睡した私は、翌朝7時くらいに起きました。それでもおいそれと疲労が取れてくれるわけでもなく、少なくとも今日の活動はこなせそうなくらいの体調は取り戻しました。
ホテルの朝食が美味しくて「ここはイギリスのはずでは……?」と女子4人組でざわつきました。君たちはイギリスの食べ物を何だと思っているんだ。ちなみにそのあと友人1名がベジマイトを試して悶絶してました。
ロンドン初日は思いのほか暖かく、「重装備で来たけど全然寒くないじゃん!」と思ったノリでこの日も出たら普通に寒い。昨日のぬるさはどこへ行った。気温がツンデレなのか?(どういうこと)
ついでにご存じの方も多いかもしれませんが、ロンドンの地下鉄の話をしますね。
ロンドンではかの有名な『オイスターカード』で地下鉄を行き来しました(オイスターって聞くと『瀕死の探偵』でのホームズのセリフを思い出すのですがそれはさておき)。日本でいうPASMOみたいなやつです。券売機で購入してチャージしながら使っていきます。いちいち切符を買わずにすんで便利でした。ただし残高には注意です! 残高の計算を間違えた私との約束ですよ!
ハリーポッタースタジオへ
ホテルの最寄り駅からワトフォードという駅へ。そこからスタジオへ行くバスに乗っていきます。バスの運賃が3ポンドなので途中でスーパーに寄って札を崩しました。
ちなみにバスの待機列にいる間もスタジオのチケットを確認されます。
私たちの前に並んでいたアジア系の大学生集団がオンラインチケットを出すのに手間取っていたらしく、係員のおじさんに「君のスマホの回線何? 2Gか1Gなの?」と言われていました。
「うーん、たぶん2Gかな!」
いやどんだけ回線遅いんだよ。まあポケットWiFiも調子の良しあしがあるのでしょう。
いざスタジオにつくとまず荷物検査。それをパスして中に入ると広大なロビーが広がっています。学校行事か何かで来たと思わしき児童たちもちらほら。
中に進んでいきちょっとした展示やショートムービーを観た後にいよいよ中へ。
肖像画たちや、
9と4分の3番線。私はまだホグワーツからの入学許可書待ってます。
グリンゴッツのシャンデリアなど、さまざまな展示が。
私と友人Cは2時間弱ほどで見学を終えてロビーに出てきました。あとの行動力の化身組が出てくるまで、昼食の野菜スティックを食べるなどして時間をつぶしました。ここでホームシックが爆発した私は親からのLINEを見てめそめそしました。赤ちゃんかな? 今まで親と一番離れていたのがせいぜい高校の修学泊旅行3泊4日程度だったのでごにょごにょ。
ちなみにスタジオのロビーにある売店で昼食を買ったのですが、レジのお姉さんの対応がびっくりするほどさっぱりしていて、えっ私なんかした!? 私のこと嫌い!? とビビりました。日本の接客業への要求水準がいかに高いかを実感しました。さっぱり対応は慣れればなんてことはないとは思います。
そして私と友人Cが出てきて2時間後、行動力の化身組も出てきました。じっくり4時間観て回ったのか……すごいな……。
「イギリスに来たらフィッシュアンドチップスがどんな味か調べるのが夢だった」と豪語する友人A。いざ売店で買ってきて食べると「あれ? 美味しい」
君たちはイギリスの食べ物を何だと思っているんだ(リプライズ)。
ハリーポッタースタジオを辞去した私たちはそのままハーマジェスティーズシアターに行くべく電車を乗り継いでいきました。現地時間は夕方。時差ボケが治らずに眠くて眠くてしょうがない。そしてホテルと機内が乾燥していたのか猛烈にドライアイ。いまにも瞼の自由落下が始まりそうです。しかし「海外の公共交通機関で寝るな、死ぬぞ」という警告をさんざん見かけていたので、鉄の意志で目を開きました。でも脳内半分くらい寝てた気がする。現にどういうルートでハーマジェにたどり着いたか記憶が怪しいです。
ちなみに途中で見かけた「小さいホームズのシルエットでできたホームズのシルエット」。ベイカーストリートはターミナル駅のようで、乗り換えに何度も使いました。利便性の良いところに住んでるなあ、ホームズ。
ここで少し話がそれますが、私の好きな映画の話をいたしましょう。
私はかのスパイ映画『007』シリーズが好きです。
23作目の『スカイフォール』に、主人公が敵を追いかけて地下鉄に乗り込むシーンがあります。ちょうどラッシュアワーの時間帯で車内が混み合っているという描写がされているのですが、これを観た私は当初「え、これがラッシュアワーなの?」と拍子抜けしました。どう考えても日頃の首都圏のすし詰め状態に感覚を毒されています。今回ロンドンを訪れるに至りましたが、そのイメージもあって「まあ電車での移動はそんなに苦ではないだろう」と思っていました。
甘かった。
ハーマジェスティーズシアターへ向かう途中、ベイカールーラインに乗りました。おそらく。ルートを改めて調べたらほぼベイカールーラインが表示されたので乗ったものと思われます。
ホームでしばらく待ち、やってきた電車に乗ろうとしたら、ドアの向こうに広がっていたのは日本のそれと遜色ない満員電車でした。
いくら車両がもともと小ぶりとはいえ、乗ってみたら普通にぎゅうぎゅうです。しかも周りに掴めるものがなく日々培った脚力で耐えるしかない。
夕方のベイカールーライン、朝の東西線だった。
『オペラ座の怪人』観劇
これから! 私の人生を狂わせたミュージカルを観に行くぞ! と意気揚々と下車。
道はさんざん予習したので、ピカデリーサーカス駅の4番出口からゆるやかな坂を下りていくと……
ありました。
ほ、ほんとにハーマジェスティーズシアターだ……実在したんだ……。
ドア前で荷物検査をしたあとはロビーへ。
天井もおしゃれ。
日生や帝劇のノリで来るとロビーの狭さに驚きます。ちなみにキャスボはここにあったのですが、最初は気が付かずに帰りに撮影しました。
ロビーから地下に行く階段を降りると、バーのような休憩スペースやお手洗いなどがあります。写真撮りそびれましたけども! 照明がほんのり暗くて雰囲気があります。クリスティーヌの衣装のスケッチも飾られていました。
売店があったのでパンフレットとプログラムを購入。
チケットは公式サイトで購入し、メールで送られてきたチケットの画像を提示して客席内へ。念のため紙媒体でも印刷して持ってきましたが無くても大丈夫でした。
席は最前列センター。やや下手側に着席。友人たちのうち2人が自費でミュージカル観るの初めて! とのことなので、一応「音が響くから私語や物音に気を付けてね」「この劇場だと客席内の写真撮影は開演前だけOKだよ」などなど説明。わからない点があったら「これってやってもOK?」と確認を取ってくれる友人たち、好きだぞ!!!! LOVEだぞ!!! いやしかし初観劇がハーマジェスティーズシアターのオペラ座の怪人で最前列センターってすごいな。
ちなみに日本でこれまでに観劇したノリで「客席内での飲食は控えたほうがいいと思う」と伝えていたのですが、ハーマジェ、客席内でワイン売ってました。ちょっとびっくりしたのですが、開演前や休憩中ならいいのかな。
席から見上げた構図。この中心にシャンデリアが収まります。
観劇感想はこちらのツイートにも勢いでまとめてありますが、あらためて少し内容が被らなそうな部分を書こうかなと。記憶の大部分は客席に置いてきてしまいましたが……。以下、オペラ座の怪人オタクによる観劇メモです。ネタバレ大量にあり! 未見の方向けのストーリーの説明などは無し! のアクセル全開でまいります!!
オークションのシーンを見ていてもなんだか「夢見てるんじゃないか?」という気持ちが抜けませんでした。時差ボケで眠かったのもありますけども。
目の前でシャンデリアが光ってゆっくりと上がっていくさまは鳥肌立ちながら見ていました。ただ、天井に行くまでを目で追いかけようとしたら座席の都合上イナバウアー状態になりましたが!!
そして最前列で浴びるオーヴァーチュア。これから展開される物語を一幅の壮麗な絵巻物として眺めているような気分になるあの曲。物語の美しさ、哀しさ、華やかな19世紀末のオペラ座、はるか深く闇に包まれた地下、すべてが複雑に絡み合うようなあの旋律。いや私音楽の知識はからっきしなので、妄想でつづっているんですけれども。
夢見心地でぼんやりしていた私の意識を「起きろ!!!!!!」と言わんばかりに覚醒させてくれたのはカルロッタでした。あのスコーーーン!!と飛んでいくソプラノに鼓膜がびりびりしました。すごい。””圧””だ。プリマドンナだ。イメージとしては、2004年映画版オペラ座の怪人の冒頭でカルロッタが歌い始めたときに耳栓をし始めたスタッフがいたじゃないですか、あんな感じです。声でグラスを割れそうなほどのビブラート。
そして進んでいくハンニバルのリハーサル。いつも家で25周年記念公演版ばっかり見ていたので象のセットが新鮮でした。
そしてThink of Me。クリスティーヌのお声がとても好きでした。澄んでいて柔らかいソプラノ。それでいて芯があってどんな高音でも力強く伸びる。ラストの伸ばしがどこまでも伸びていきそうだった。
記憶が感情の高まりとともに消失していったのを感じます。ええと。
Music of the Nightは「自らの領域にクリスティーヌをいざなう」というよりも「クリスティーヌに切望し、訴える」という印象の方が強かったかな……。ファントムの歌い方が、なにか零れ落ち溢れそうな感情を秘めていて、それをそっと音に乗せているような感じだったので。自分以外に伝わらないであろう表現で恐縮なのですが。観劇直後の走り書きに「母親に縋って見捨てられることを恐れる子供」と残っているのでたぶんそういうことだ(?)
花嫁人形見て気絶するクリスティーヌを素早く軽々とお姫様抱っこしていてときめきました。
観客の反応で印象的だったのは1幕支配人のオフィス。ラウルの「And what is it that I'm meant to have sent? (日本語歌詞:手紙を見せてごらん)」のあと、集まったメンバーが自分の横の人間に順に視線をやるシーンなんか結構笑い声が上がっていて新鮮でした。日本ではどうだろう。私が最初で最後に日本でオペラ座の怪人を観たのが四季の横浜公演の一度なのですが、笑い声が上がるような反応はなかった気がします。
All I Ask of You。クリスティーヌとラウルが心を通わせる様子をほほえましく思いつつ、ファントム贔屓の私の心はボロボロです。ここでファントムが天使像にいるとの話を聞いており、その辺りを見上げたのですが見つけられず。後日、天使像が故障中だった(代わりにファントムは五番ボックスに居たとか)という話を教えていただき納得。
最前列で見るマスカレードは大迫力でした。レッドデスが登場した後、人々が口々に「クリスティーヌ…!」と言うのを知らなかったのでちょっと驚きました。
Wishing You Were Somehow Here Againはラストの盛り上がりにかけての声量の上がり方に圧倒されました。過去との決別を決めたクリスティーヌの成長や力強さが歌に裏付けられるようで好きです。その余韻に浸っていたらファントムの火柱攻撃がすっかり頭から抜けていて熱っ!!!?ってなりました。最前列はもはやアトラクションか何かの座席かもしれない。
劇中オペラ「ドン・ファンの勝利」本番前のシーンで、警官(発砲してラウルに怒られる人)がちょうどマエストロと入れ替わる形でオーケストラピットに登場なさったのでびっくりしました。マエストロの真後ろに座っていた友人がいたく驚いていました。
ところで私が観た回でラウルだった俳優さんは普段、そのラウルに怒られる警官の役をなさっているみたいです。いつもは怒られる側が怒る側ってどんな気分なんでしょう……。
Point of No Return。これまでのナンバーがどれもややテンポ早めな印象でしたが、ここでゆったりになって最高だなと思いました。だからこそ終盤への急展開がいきるのだろうな、となんとなく思います。緩急をつけるというか。
2幕地下はファントムが癇癪を爆発させる子供に見えて辛かったです。愛さなかった子供のころのまま心の年齢が止まってしまっているように思えて。愛されたかっただけなのにな……どうしてこうなっちゃったんだろうな……。このファントムを観て以来「クリスティーヌのキスって母性愛に近い意味合いもあるのでは?」と自分の中で新たな解釈が生まれました。本当にロンドン行ってよかった。
それと、私は映画とかミュージカルでたびたび見られる、ある動作や場面の反復構造が好きなんですよ(例えばキャプラの『素晴らしき哉、人生!』で繰り返される、主人公が階段の装飾をうっかり取ってしまう動作とか)。
2幕地下は俳優さんによって演じ方が変わると思うんですが、私が観たときは、ボートで去るラウルとクリスティーヌの歌声を聞いたファントムが耳を塞ごうとするんです。1幕終わりAIAOYの動作の反復だ!!!! 好き!!!と思いました。塞ごうとしてこの時は結局塞ぎませんでした。ラウルとクリスティーヌの関係とその事実を受け入れたのでしょう。先述のように1幕AIAOYでのファントムは残念ながら見逃したのですけど、ここは耳を塞ぐ俳優さんが多いように思うので反復だと信じたいです。確認するためにまた観に行かなきゃ。
他に覚えていることや感想はあらかたツイートしてしまったのでそちらにゆだねようかと思います(丸投げ) オペラ座の怪人を生で観た回数がまだまだ少ないのでファントムを追っていっぱいいっぱいになってしまいました。また観劇に行きたいです。
あと幕間に聞いた友人たちの感想も面白かったです。
「ボートのシーン好き!」
わかる。あれは全人類好き。たぶん遺伝子レベルであのシーンを好むように作られているんだと思う(真顔)。
「ファントムかっこいい」
わかる。もともと私がファントム贔屓なのを差し引いても若めでハンサムなファントムだと思った。
「陰キャと陽キャの対立って感じがする」
予習なしで観に来てちゃんとクリスティーヌを巡った男たちの対立構図を理解したのすごいと思う。そういう構図に当てはめることもできるのか、という観点からも新鮮だった。まあ……確かにラウルは白昼堂々いろんなところに行ったり人と交流しても許されるけど、ファントムはそういう生き方が許されないしな……。
観劇を終えて帰路についたところで私は感想まき散らし女になりました。ちゃんと受け止めてくれた友人たち、好きだぞ!!!
ホテルに着いてとにかく疲労困憊だったので夕飯を食べる余裕もなく寝ました。昨日も夕飯食べそびれましたよねあなた??
というわけでロンドン編はひとまず終了です。次行く機会があればゆっくり市内を回ってみたいです。次からいざ華の都パリへ!
お付き合いいただきありがとうございました。
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