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異次元その223◉連荘させるために鳴く


現在ラス目の12000点持ちで南2局西家だとする。親は3着目で16000点持ち。上の連中を捲るにはなんとしても親番を頑張るしかないという状況。ドラは5。
 私としてもオーラスの親があるとは言え、毎局毎局しっかりチャンスをとらえて行かなければ逆転勝ちは難しい。そんな時来た配牌がまあ悪かった…。中の対子こそあるけどあとはもうなんも才能ない。唯一きれいなのは67というドラ受けリャンメンターツだけ。そんな時、3巡目に上家から8が出る。

これはチー!

このチーは普通ならありえない判断だ。まず、唯一のリャンメンターツをバラバラの手から鳴くアホはいない。それでも前進だからいいじゃんて?まさかそんな事は言わんよな。チーするってことは次のツモ番が目前まで来たのにそれをパスするということでもあるんだ。その代わりとして上家が捨てた牌を使わせてもらえるっていうルールだろ?バラバラってことはこのチーはスルーすることでもっと欲しい牌を入手する可能性が充分ある手だと言うこと。それをわざわざ?門前崩して、ましてや安めを3巡目に鳴く?どうかしてるわ。そんなのは。

しかし、それをやる。するとどうなるか。
これを見た親の思考はこうだ。
(まずいな、西家はドラ対子以上ある勝負手で手もだいぶ整っているようだ。まだ序盤だから門前でしっかりチャンス手を育てようと思ってたけどそんな猶予はないらしい、こちらも仕掛けて速攻で連荘を目標と定めよう、打点は二の次だ)となる。

ということで、このチーにより親はセカセカと動き出して500オールをツモ。予定通りの動きをしてくれたのだ。私は価値の低い手で局を進めている猶予はないので親の安連荘はとてもありがたい。結果、一本場に私はハネツモを決めてラスを回避。オーラスもきちんと仕上げてトップになったのだった。

点数がない時は局をムダに進めてはいけない、親に安手で連荘させて局を進行させずにチャンスをもう一度もらうこと。それを誘導するためだけの鳴きというのもあるのだ。

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