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異次元その21◉別色ホンイツ

東3局西家でドラ七とし次の配牌

六122245799東東白

ここに第1ツモで白を重ねる。
とんでもない好配牌だ。

とりあえず全く要らない六があるがまだ切らない。まずは1から切る。それは誰でもやるだろう。目立ってしまってはこの好配牌が回避されるリスクを高めてしまう。これを空振りするのは大損害だ。
なので、私はこの手は数牌は鳴かない。
数牌からは鳴かないのではなく数牌は絶対に晒さないのだ。
そしてテンパイする時まで六は切らない。
これが私のホンイツだ。

この時、祈ることが2つある。それは

萬子は引くな!
あとなるべく上家も萬子を切ってくるな!

という2点、これが叶わないのであればこの計略は御破算となる。

だがもし祈り通じて萬子を引かず、上家にも1〜2枚しか切られずテンパイしたら?

2224599(白白白)ポン(東東東)ポン

切り出しは1→7→六という作品となる。
これは読めば読むほど萬子ホンイツが本線だ。巡目が深くなればなっただけそうとしか見えなくなる。

少なくとも萬子が本命でなければ六を引っ張ったことの説明がつかない。

理外の六。だから囮として使うのだ。
ホンイツはホンイツでも別色のホンイツだと思わせてしまえば押し出されるようにその他の牌は出てくる。そこを狙えば決着は目の前だ。
危険なドラ表示牌をテンパイするまで維持するというリスクと引き換えに、死角で待てる勝負手を手にすることができるというのは悪い取引きではないだろう。

仮に六を囮ではないかと鋭く疑ったとしても萬子本命説を否定はできないため萬子を勝負するリスクは取りにくい。
結果、3-6は押し出される牌となるのは変わらない。六を通した時点でこの手は作戦勝ちなのだ。
もし、それでもこの手が成就しないとし、よしんば放銃となったとしても私は恥じない、胸を張る。
この局、私は最も私らしいリスクを選択した。
その結果が負けなら、それもまた面白い。


魔神の父から一言
☆☆☆☆★(☆4)

 
 今回はホンイツの迷彩についての内容です。特に目新しい話ではないようにも見えますが,実戦で六を残す人は,中々居ないと思います。
 昔巷の雀荘で,そこの勝ち頭だった人の後ろで見ていた時のことです。13枚が筒子1枚が萬子のその手牌から,彼は何と筒子を抜き打ちました。
それも結構脂っこい所を。彼はその筒子は不要と判断したのです。彼はその後筒子を引いて聴牌。手出しの萬子に誘われたか,他家が筒子を放縦して終わりました。
その時の牌姿はもう覚えていませんが,ぜい肉を切り取る素晴らしさには本当に感動しました。この項では1と7がぜい肉ですね。
 話は少し変わりますが,この項で目を引いた文章が一つあります。それは「この時,祈ることが2つある」です。「祈る」という動作は,自力ではどうにもならないことで行う動作です。
麻雀というゲームには祈りが必要とは,まさに本質をついているのではないでしょうか。
 話は更に逸れますが,松本零士の「キャプテンハーロック」の名言を思い出したので紹介しておきます。絶体絶命のピンチでのハーロックの言葉です。
「男にはな、何をやってもダメという時がある。いいか台場、そういう時男はな、黙ってただ寝てればいいんだ。」

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テツヤSSS【狂雀士による異次元麻雀指南】
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