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異次元その85◉あえて一発を消さない

南家からリーチが入った。私は西家だ。
すると対面の36000点持ちトップ目の親の顔が一瞬曇った。それを私は見逃さなかった。

局面は南1局。

トップ目以外はダンゴ状態
大差ない点棒状況の7巡目。ドラは⑤。

南家の切ったリーチ宣言牌は2。正直鳴ける。
私の手は

六七⑤⑤345678(二二二)ポン

このようなタンヤオドラ2テンパイ

南家の捨て牌には宣言牌の2の他に2巡目に8と5巡目に五がある。
私はスライドチーして打8で安全に現張りテンパイキープは可能ではあるが、今回だけはツモ山に手を伸ばした。

ツモ2。

親の前巡の切りは④。表示牌である。

下家の捨て牌には8がある。8を切っても2を切っても同じようなものだが、あえて下家が鳴かない方を選び、打8。

そうして、一発が生きてる状態でトップ目の親にツモ番を回す。
つまり、あえて一発のプレッシャーを消さないでツモ番を回してベタオリを選択させる。

親は前巡④を捨てている。ドラ周辺の愚形を払い落として行こうという最中だったのではないだろうか。
つまり、残っているターツは強いターツなはずだ。ある程度条件が整えば反撃もするだろう。
しかし、一発が生きてるタイミングでドラ周辺牌は切りにくい。トップ目なら尚更だ。
浮かせてしまった②?⑥?どちらかはわからないがそれを払うのはもう諦めて現物を抜こうという思考に切り替える。

そして、私は現物待ちなのでアガれるという筋書き。

時にはノーリスクで消せる一発をあえて消さない事もある。それはただお人好しなのではなく、全て勝つための戦略なのだ。

魔神の父から一言
☆☆☆☆★(☆4)

これはまた,実に狂雀士さんらしい戦術です。まずリーチに対して親の顔が曇ったのを見て,親は危険牌が浮いているのではないかと推測しました。
そして親が降りを選択するように,一発のツモ番を回したのです。その結果親は現物降り→狂雀士さんは現物待ちなのでアガれる。というわけです。
トップ目がリーチに一発で危険牌を切ることはまず考えられないという判断です。
これは地味だけど怖い戦術です。思い出すのは「金と銀」の第11話「ヘルエッジロード」でアタリ牌を送り込まれた森田の言葉。
「送り込んだ・・・オレにロンハイを・・そっと・・・死神を手渡すように・・・!」
ここでは
「送り込んだ・・一発が生きているツモ番を・・そっと・・死神を手渡すように・・!」
となるわけですね。ぴったりのイメージです。
それでは逆に親の立場に立ってみましょう。この罠はどうしたら回避できるでしょうか。ここでは桜井章一さんの「リーチ一発で現物を切っているようじゃあだめなんだ」という言葉が生きてきます。
浮いている危険牌がリーチに対して通るかどうかを判断し,「勝負!」も選択肢に入れる。これですね。確かにこういう打ち手はやっかいだと思います。

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テツヤSSS【狂雀士による異次元麻雀指南】
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