狂雀士の徒然麻雀録その22
◉バギクロス
おれがまだ20歳だった頃雀荘で出会った学生がいた、彼はまあ多少は麻雀を打てるようだったがフリーで通用するような段階ではなくセットの勝ち頭という次元であった。荒くて雑で運任せ。隙の多い攻めだが決まれば勝てるという、そんな程度。
その彼が言い放った一言が今でも忘れられない。
麻雀なんてこんなもん所詮運ゲーだから。
これを聞いて自分でも引くぐらい頭に来たのはハッキリ覚えている。おまえごとき小僧が言えるセリフじゃねえだろうが、と。
キミはおどる宝石かなんかだろ?レベル7が上限のモンスター。キミにとっての麻雀はもうこれ以上育てようがないんだろ?
で、バギクロス覚えたからもう最強だとか勘違いしてるわけだ。勘違いするな、一般的にはまだ成長するんだよ。キミに才能がないだけだ。可哀想な程に伸びしろがないだけ。
沖本瞬なみの苦笑が溢れて
ふっ
と言うおれ。
なんだあいつ感じ悪いなくらい思ったと思うけどその時は別に何も無かった。
後日、彼はフリーで打っていた。
勝ったり負けたりを繰り返す普通の人レベル。ただ、弱いリーチが多くてそれが彼らしい打ち方でもあった。
数日過ぎて、彼は少しも勝てなくなっていた。はなからおれの相手ではなかったし、愚形リーチの多さに皆気付いていてリーチにオリてくれる人がいなくなってたからだ。
リーチ負けだついてない
テンパイしてたし仕方ない
何度そのセリフを彼から聞いたかわからない。バギクロスだけ打てばいいと思ってるとこうなるっていういい反面教師だった。
彼のその後は知らない。
ただ、麻雀なんてこんなもん所詮運ゲー
などと小僧にほざかれることはあってはならない。そう思っておれは戦術を書き上げることを始めた。
おれのやってることは
おれの仕事は知的戦略ゲームであり運ゲーではない。それを証明するための証人作りなのである。
あなたもその証拠となる麻雀打ちになってくれ。博打打ちではない。我らは職人なんだと示してくれ。
圧倒的な実力差を彼に見せてやらないと!!
そんな思いで今もまだ研鑽してる。
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