デジハリ入学予定者が寄席で落語を聴きに行った話。
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……。
………。
えぇっ?! 落語!?!?
友人に「今度の大学の課題は落語をテーマにしてやるんだ~」と言うと間違いなくこんな反応されるんですよね(笑)
私は昔から「笑点」の大喜利コーナーが大好きで、ある時ふっと「本業の落語も聴いてみたいな~」と軽く思い始めたのがきっかけです。物は試しにYoutubeで三遊亭円楽師匠の落語を聴いてみたところ、これが面白いのなんの!
開口早々歌丸師匠イジリから始まるという予想の斜め上の面白さをはじめ、落語にすっかりハマってしまいました。それからいろいろな落語を聴いているうちに、「生でも聴いてみたい!」と思い立ったが吉日、寄席に行ったというわけです。
▲『そもそも落語って何? 全然知らないんだけど…』という方はよければご覧ください。芸歴40年以上の現役落語家・金原亭世之介師匠が落語についてわかりやすく丁寧に教えてくださっています。
早速寄席へLet's Go!!
今回私が行ったのは、神奈川県横浜市中区にある「横浜にぎわい座」。笑点の名司会者・桂歌丸師匠が建設に携わった大衆芸能専門館です。JR根岸線・横浜市営地下鉄線「桜木町駅」から徒歩6分と交通アクセスも良く、横浜市在住の私にとってはとても通いやすい距離。
最初、私は『若者が寄席に行くイメージなんてないし、18歳の若造が寄席に座るのはちょっと気まずいな…』なんて思っていましたが、実際に行ってみると案外そうでもありませんでした。20代ぐらいの女性や家族連れのお子さんまでもいて、一人静かに安堵していました(笑)。
公演内容。
この日観たのは、2月4日の14:00~16:00の公演。噺家による落語はもちろんのこと、奇術(マジック)やジャグリングなど、いつも以上にバラエティに富んだ公演でした。なお、寄席内は撮影・録音ともに禁止だったため、ここから先は私の記憶を頼りに執筆していきます。
1.開口一番・桂枝平(前座)
ドンドコドン♪…と調子のいい太鼓の音が鳴り、まず初めに高座に上がってきたのは前座の桂枝平。前座が短い噺を演じる『開口一番』から公演は始まります。
何の演目を演じたのかは分かりませんでしたが、「父親と一緒に夏祭りにやってきた江戸っ子が、何とかして父親に飴や水ヨーヨーを買わせる」という古典落語でした。
正直な感想としては、決して下手じゃないけど上手いかと言われたらそうでもないような、ごく普通の噺でした。まあ噺家は一生が勉強ですから、これからの将来に期待です!
2.落語・柳亭市若(二ツ目)
続いて高座に上がってきたのは、二ツ目の柳亭市若。太っていてとても優しそうな噺家というのが第一印象でした。なんとなく察してはいたのですが、最初の5分ぐらいはずっと食事の話でした(笑)にぎわい座の近くのレストランの料理が美味い、コンビニで売られているチャーハンおにぎりもやっぱり美味い…。 聴いてるうちにだんだん私もお腹が空いてきちゃいました。
演じられた演目は「猫と金魚」という新作落語。金魚鉢の中にいる金魚が猫にいたずらさせるといけないから、金魚鉢ごと高いところに置いてほしいと仲間に頼む会話から始まる滑稽話でした。
3.奇術・小泉ポロン
実際に寄席で落語を聴いているとよくわかるのですが、長時間聴き続けていると少しずつ脳が疲れてくるんですよね。そんな疲れを癒してくれたのが、小泉ポロンのマジックでした。
特に面白かったのは「積みマジ」。これは「買ったんだけど難しくてできなかったり使いどころが意味不明だったりしてやらないで積んであるマジック」というもの。
『このタネも仕掛けもないブタのぬいぐるみ、一瞬にしてなんとスイカになるんです~!…意味が分かりませ~ん!!』
斬新すぎるマジックに、寄席内は爆笑の渦に巻き込まれていました。
4.落語・春風亭伯枝(真打)
ここで真打の登場です。その名も、春風亭伯枝師匠。
歌丸師匠から直に教わった古典落語『質屋庫』を演じられました。近所の質屋の蔵に化け物が出るという噂があるので質屋庫を調べに行くよう仲間に命ずる滑稽話でした。
結論、やはり真打の噺は上手い。 目を閉じても何の違和感もなく自然と噺の風景が広がっていって…、言葉に表せない魅力がありました。さすが師匠…恐れ入りました。
5.ジャグリング・ストレート松浦
10分間の休憩を挟んで出てきたのは、ジャグラーのストレート松浦。
登場してすぐにパフォーマンスが始まりました。3個のボールを使ったジャグリングでボールを頭の上へ転がして…、あまりの凄さに声も出ない観客に、ストレート松浦が一言。
『あの…もう始まってますよ笑』思わず大笑いしてしまいました。ごめん松浦さん。
高さ数メートル越えの皿回しをする大技を披露されたところで終了。会場もかなり盛り上がっていました。
6.落語・柳亭燕路(真打)
この公演のトリは、柳亭燕路師匠。国立演芸場花形演芸会で金賞を受賞するなど、複数の受賞歴を持つ実力派の噺家です。今回演じられたのは『夜鷹蕎麦』という新作落語。人情噺でした。屋台の蕎麦屋を営む年寄り夫婦が子供が出来なかったことを嘆いている所に飛び込んできた若い男との物語です。期待通り、燕路師匠がダントツに上手かったです! 言葉遣いの一つ一つが上品で、蕎麦を『ズズズ~ッ』とすする演技もリアルでした。
燕路師匠の噺が終わった瞬間、寄席内は拍手喝采! 幕がおろされ、この日の公演はすべて終了しました。いや~、楽しかった。
感想。
デジタルの創作活動はもちろん楽しいけれど、伝統的なアナログの世界も独特の魅力があって良い。そう思えた一日でした。
制限された生活を強いられているコロナ禍、ロシアによるウクライナの侵攻…。暗くて物騒な世の中が続いていますが、どんな時代でも変わらず平和で明るい「笑い」を届け続ける寄席へ、今こそいろんな人に行ってほしい。そう思いながらこのレポートを執筆しました。
みなさんも、ぜひ一度寄席に行ってみてはいかがでしょうか?
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