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【5分で読める】「制約がある方がオモシロイ。」グラフィックも人生も(木戸)

※博報堂時代の『心・技・体』…体その⑦

今回も、心技体のタイとして、博報堂時代の『対(タイ)人関係』をテーマに、様々な仲間とお仕事をさせていただいた中で、最も長くお仕事をさせてもらったアート・ディレクター(AD)の先輩デザイナーさんに学んだことをシェアさせていただきます。

先輩デザイナーのSさん。ちなみに、このデザイナーさんも、商品パッケージのデザインなどで広告賞をとっている超売れっ子デザイナーさんです。

※ちなみに、TOPの写真はそのSさんにつくってもらったウェルカムボードです。笑

前回のキムトーさんといい、今回のSさんといい、優秀なクリエイティブの方とお仕事をさせていただいた経験は、僕の宝だなと改めて感じています。

ただ、このADさんは、広告業界でよくいるタイプの、職人気質なデザイナーさんです。言葉数は少なく、不器用ですから、といった高倉健タイプです。

Sさんとのエピソードを振り返るといつも思い出すのが、プレゼンの際に、だいたいいつも、営業としてクライアント担当者とSさんの板ばさみになっていたことです。

と、言うのも、いつもグラフィックのプレゼンの際、営業である僕と、デザイナーさんと2人でクライアントにプレゼンに行くのですが、、、

例えばクライアントさんはだいたい、商品パッケージについている「新発売」という丸いマークをもっと目立たせたいがために「もっと大きく、もっと大きく!」という要求をされるのですが、目立てば目立つほどデザインとして下品(スーパーのチラシのようなデザインに近づく)になってしまうので避けたくてゆずれないラインを主張するデザイナーとの間にはさまれていました。

そんな板ばさみにあった帰り道で、Sさんに聞いたことがありました。
「こんなに思うようにならないなら、芸術家としてやった方が自由で楽しくないんですか?」

「でも、制約があるからオモシロイんでしょ。」


カッケーーー!!笑


クライアントのオリエン(オーダー)でこうしたいという制約、タレントさんのOKカットしか使えないという制約、ブランドのトーン&マナーという制約、そういう制約があるからこそ、クリエイティビティを最大限発揮する必要があってオモシロイ。

グラフィック(広告)とアート(芸術)の違いと面白さを一言で言い切ったADさんのカッコよさが印象的でした。

実際、Sさんと最も長く仕事をさせてもらったことで、一番成長させてもらったと感じています。

日々、そのような板ばさみがあったおかげ様で、いつもプレゼン前にシミュレーションを繰り返して、クライアントのリアクション、ツッコミどころ、どんな要求がくるかをひたすら予想しました。

その要求をふまえたうえで、どう着地させるかを計画し、そこに促す力がつきました。

「制約がある方がオモシロイ」というのは、障がいも同じです。

僕は「バリアアドベンチャー」という考え方を提唱しています。

バリアアドベンチャー

要するに、バリアがあればあるほどオモシロイ。ということです。
一番象徴的な例としては、ビジネスホテルに泊まるシーンです。

いつも、東横インに泊まるのですが、空いているときは、バリアフリーである”ハートフルルーム”を使用します。(写真↓)

ハートフルツイン2

でも、特に都内では空いていないこともあるので、その場合はシングルルームに泊まります。非常に狭く、バリアだらけです。(写真↓)

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もちろん、ハートフルルームよりは不便と言えば不便ですが、それまた良し。攻略するのが楽しかったりもします。

①例えば、段差のあるトイレ
ウイリーして前輪を上げる”キャスター上げ”という技術で段差に前輪をひっかけてトイレに飛び移ります。

段差

②トイレの頭上のタオル
必ず頭上のとれない位置にあるタオルを、電動歯ブラシや採尿するために常備しているペットボトルを使ってゲット。(サルみたいでしょ。笑)

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さらに、写真のように、最もあぶないとされる浴槽は・・・

浴槽

お湯をためれば、セーフティーネットの出来上がり。ポチャンと浸かれば、安全に、気持ちよく入浴ができます。

浴槽2

こんな感じです。

こうして、バリアをアイデアと技術で乗り越えていく。制約を、アイデアと技術で乗り越えていくデザインと同じです。

「制約がある方がオモシロイ」というのは、人生も同じです。

そう思えるからこそ、雨が降ろうと、槍が降ろうと、今日という日を生き抜く勇気が湧いてきます。

あの時、先輩デザイナーのSさんの教えは、今でも僕の人生で生きています。(木戸)

このnoteでは、★色んな働き方、生き方があるということをシェアして、結果的に、多くの人が目の前の仕事に忙殺されるだけの人生ではなく、自分の意志で取捨選択した人生やキャリアを歩める世の中になることを願って書こうと思います。僕にとっては、博報堂時代のサラリーマン人生も、その後のフリーの木戸俊介としての経験も、どちらも欠かすことはできません。両方あるから、今の木戸俊介がいると思っています。そういう意味では、特に、今後の将来に対する期待と不安が入り混じる同世代、★29歳~38歳の企業マンに向けて話すつもりで書けたら良いなと思っています。

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