【5分で読める】流れをつかむためのShare Of Voice(木戸)
*博報堂時代の『心・技・体』…技その④
こんばんは、HUMAN DEVELOPMENT ACADEMYの木戸です。
今回は、タイトルの通り、博報堂時代に、毎週まとめてクライアントにレポートしていた『Share Of Voice(シェア・オブ・ボイス)』について紹介します。
Share Of Voice(以下SOV)は、直訳すると、『声のシェア』ですが、ここでいうSOVが何の声のシェアか?というと、自社と競合他社の広告活動の量を集計し比較することで、ザックリとその業界においてどの程度”存在感”を示しているかを把握するための指標です。
僕の場合は、アルコール・飲料メーカーを担当していたので、アルコール・飲料業界にしぼり、広告出稿量を抽出するため6大メディア(テレビ・新聞・雑誌・ラジオ・屋外・インターネット)の出稿量を調べていました。
出稿量の調べ方は、博報堂社内のシステムで、各メディアの出稿量や内容を(ほぼ全て)抽出できるので、毎月、同じ条件で広告出稿量を検索し、集計していました。
それらを時系列で見ていると、変化に敏感になります。大手は基本新しい施策や商品がうまくいっても、他社もすぐ追随すべく対抗するので、パイの取り合いです。変化に敏感になることで、対策を講じやすくなります。
例えば、注目する変化のポイントはいくつかあって・・・
A.時節柄の変化(お歳暮、年末年始などの最盛期)なのか
B.キャンペーン(各社の施策)によるものなのか
C.景気や行政施策によるもの(広告規制や規制緩和)なのか
AやCであれば、外部環境によるものなので、自社も他社も変わらないのである程度無視して良いと思いますが、Bの場合は他社の動きを察知して、追随するのか様子を見るのか、いずれにしても、相手の動きを把握しておくべきです。
そういう意味で、SOVを時系列で追う目的は、以下の3つ。
●市場と感覚がズレないように
●敵の動きを察知する
●自社の”攻め”のタイミングを図る
●市場と感覚がズレないように
個人的には、コレが一番大きいと思います。大きな流れを把握することで、自社がどの程度の存在感を発揮しているのか、広告量の過不足を判断できます。
元々、シェア1位であれば、維持できているのか。
元々下位で、追い上げたい局面であれば、シェアを上げられているか。
例えば、SOVが1位。要するに、広告出稿量が1位なのに、ブランド認知や販売につながっていない場合・・・
↓
広告内容が響いてない、もしくは効果的にターゲットリーチできるようなメディアを選定できていない可能性があります。
↓
そこから、仮説を立て、必要に応じて調査などによって、もっと細かく評価測定していきます。
もちろん、最終的には数字で測れるような検証につなげるのですが、その入り口となる”感覚”、もっと言うと嗅覚みたいなものを敏感に研いでおくためのものです。
●敵の動きを察知する
例えば、他者が継続的にシェアを上げていっているとします。と、なると、何らかの狙いをもって、出稿量を増やしている=広告攻勢を仕掛けてきている可能性が高い。
そういった他者の動きを、時系列で追っておくことで、単に、「CMがおもしろいかどうか」ではなく、相手の動きを可視化できます。
守備をするにも、攻撃をするにも、相手の動きを正確に把握することは非常に重要ですから。
●自社の”攻め”のタイミングを図る
もちろん、時節柄、重要になる時期は自ずと各社広告出稿がさかんになります。なので、ブランドの特性やキャンペーンのコンセプトがうまく季節の行事と合致するような場合は、そのタイミングに合わせて広告出稿します。
ただ、なかなか、ちょうど良い季節の行事ごとが無い場合、商品のローンチや、キャンペーンのリリースをどのタイミングにするのかは、意外に悩むことも多いです。
レッドオーシャンに飛び込むか、ブルーオーシャンを狙うか。よく、PRの担当者と議論することがあります。
行事ごとにタイムリーにリリースタイミングを当てるのは正攻法ですが、その分、業界内外でライバルも多いわけですから、結果的に、人気のある枠の取り合いになります。
特に、テレビや新聞など、大きなメディアは、広告枠も限られているので、人気の枠の獲得を狙えば必要な予算も上がります。
それなら、いっそライバルの少ないタイミングにリリースして、確実にヒットを狙いにいこうか、みたいな選択肢も出てきます。
大企業だと予算が豊富にあるのでレッドオーシャンと分かっていても、飛び込んで1位をもぎ取ることを求められ、中小企業だと、タイミングをズラしてヒットを狙いにいく傾向にあります。
こんな感じで、週報として、SOVを集計し、得意先にレポートを報告することで、我々も感覚を研ぎ澄ましていました。
こうした、SOVを見て大きな流れをつかむことは、広告の世界以外でも、結構つかえます。
個人的には、人生、生活リズムにおいても、時間の使い方という意味で多いに活用しています。次回は、そのあたりを紹介します。(木戸)
このnoteでは、★色んな働き方、生き方があるということをシェアして、結果的に、多くの人が目の前の仕事に忙殺されるだけの人生ではなく、自分の意志で取捨選択した人生やキャリアを歩める世の中になることを願って書こうと思います。僕にとっては、博報堂時代のサラリーマン人生も、その後のフリーの木戸俊介としての経験も、どちらも欠かすことはできません。両方あるから、今の木戸俊介がいると思っています。そういう意味では、特に、今後の将来に対する期待と不安が入り混じる同世代、★29歳~38歳の企業マンに向けて話すつもりで書けたら良いなと思っています。
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