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VT-X7(Osteal Therapeutics)
ブレイクスルー指定品みてたら、VT-X7っていう面白そうな治療キット見つけた👀
— チクチク@製薬ブログ (@mrnetinfo) January 21, 2024
人工関節周囲感染症治療用に開発されてて、バンコマイシンとトブラマイシンを人工関節をルート代わりにして感染した関節空間に直接送り届ける薬剤・装置の組み合わせキット👀
スゲェ😳😳😳https://t.co/9QlvwFvcdP pic.twitter.com/aMqJr042MD
今回はこちらのポストで紹介したVT-X7を掘っていきます!ブレイクスルーセラピー指定品です。
概要
VT-X7は、Osteal Therapeuticsによって開発された、人工関節周囲感染症(PJI)の治療用の新しい薬剤-デバイスの組み合わせです。
股関節や膝のPJI対象に開発が進んでいる関節内に留置するスペーサーとバンコマイシン塩酸塩とトブラマイシン硫酸塩という、広範囲の細菌に効果的な2種類の抗生物質を組み合わせたものです。
この組み合わせは、感染した関節空間へ直接抗生物質を投与するために設計されています。
人工関節周囲感染症
人工関節周囲感染症(PJI)は、人工関節に感染が起こる状態です。感染すると、バイオフィルムが形成されることで抗菌薬の効果が低下し、病状が進行すると骨融解や関節のゆるみが生じることがあります。このため、治療には抗菌薬の投与や、症状に応じて再手術が必要になることがあります。
PJIの治療には、一期的再置換術と二期的再置換術の2つの方法があります。一期的再置換術は、抜去・洗浄と同時に再置換術を実施します。つまり良い条件が揃った場合に考慮されます。一方、二期的再置換術では、抜去後に抗菌薬が含まれるセメントスペーサーやビーズを挿入し、感染の沈静化を待ってから再置換術を行います。二期的再置換術はより慎重な治療が望ましい場合に適用されます
疾患自体の問題点もあるみたいで、開発元によると
Periprosthetic joint infection (PJI) is the most common cause of failed joint replacements. PJIs are rare, with a risk of 1-3% over the life of a prosthesis, yet they affect over 40,000 patients per year in the U.S. alone. These infections are difficult to treat and can have devastating consequences for the 50% of patients who fail treatment under the current standard of care. VT-X7 has the potential to facilitate rapid, reliable resolution of infection.
PJIはまれで、義足の寿命全体で1〜3%のリスクがありる。それでもアメリカ国内だけで毎年40,000人以上の患者に影響。
これらの感染症は治療が難しく、現在の標準治療法で治療が失敗する患者の50%にとって壊滅的な結果につながる…って感じでしょうか?
治療成績の向上が待たれる領域なわけですね!
VT-X7はこの二期的再置換術の治療成績を上げよう!というコンセプトの製品です。
標準治療との違い
作用機序…は従来の標準治療との違いを解説したほうがイメージしやすいかと思いますので、その方向で進めます。
標準治療
感染したインプラントの除去
抗菌薬入りの一時的スペーサー挿入
最低6週間の静脈内抗菌薬投与
新しい恒久的な関節置換の手術
ここまで約16週間
要は感染部位を取り除いて、一時的に関節を埋めるスペーサーを入れて、抗菌薬で感染叩いて、新しい人工関節いれる!ってプロセスですね!
ではVT-X7はどうか?というと…
VT-X7セラピー
感染したインプラントの除去
VT-X7スペーサー挿入
7日間にわたり関節空間に抗菌薬を灌流
新しい恒久的な関節置換の手術
ここまで1週間
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要はスペーサーの中を通して直接、抗菌薬を流してやろう!というアプローチです。
器具をよくみると穴が無数に空いてますので、外から伸びる管+穴を通して関節内に直接抗菌薬を投与するのだと思います。
専用の自動投与デバイスで7日間150回投与されるみたいですね。静脈内投与ではなく、直接塗布するわけで、手術までの治療期間も1/16になっているのは驚きです。
VT-X7のメリット
治療期間の短縮だけがメリットかというと、そんなことはありません!箇条書きでメリットをまとめます!
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