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Casgevy(Vertex Pharmaceuticals&CRISPR Therapeutics)
今回はFDAで承認された初のCRISPR治療薬Casgevyを掘っていきます!
【大ニュース🎊】
— チクチク@製薬ブログ (@mrnetinfo) December 9, 2023
FDAがCRISPR/Cas9とレンチウイルスベクタータイプの遺伝子編集薬を同時承認👏#製薬プレス解説
製品名前はCasgevyとLyfgenia。2剤は『12歳以上の鎌状赤血球症(SCD)患者』に対する米国初の遺伝子編集療法。… pic.twitter.com/egL0IgKwx2
概要
Casgevy(カスゲビー)、Vertex PharmaceuticalsとCRISPR Therapeuticsによって開発された、鎌状細胞性疾患(SCD)および輸血依存型ベータサラセミア(TDT)のための革新的な自己遺伝子療法です。
この治療法はCRISPR/Cas9技術を利用して患者自身の幹細胞のDNAを編集し、胎児ヘモグロビンの産生を高めます。
この治療法は、繰り返しの血管閉塞危機を経験する12歳以上のSCD患者に対して示されており、HLA適合した関連ドナーが利用できない場合に使われます。また輸血依存型ベータサラセミア(TDT)の治療にも使用されます。
なお競合Lyfgeniaも合わせて見ていただくと、理解がより深まるかと思います。
作用機序
Casgevyの治療法では、患者自身の特定の血液幹細胞(CD34+ヒト造血幹細胞および前駆細胞)を遺伝子編集します。この過程で、CRISPR/Cas9という先進的な技術を使用して、血液幹細胞のDNA内の特定の遺伝子(BCL11A遺伝子)に小さな変更を加えます。
BCL11A遺伝子は、赤血球の発達に重要な役割を持ち、特に胎児ヘモグロビンの産生を調節する役割があります。
胎児ヘモグロビンは、新生児に見られる酸素を運ぶための特別なタイプのヘモグロビンです。大人になると通常、このタイプのヘモグロビンは減少し、異なるタイプのヘモグロビンに置き換わります。
Casgevyでは、CRISPR/Cas9を使ってBCL11A遺伝子の赤血球特異的エンハンサー領域にあるGATA1結合部位を狙います。ここを正確に切断することで、胎児ヘモグロビンの産生を止める働きを持つ「調節因子」を無効化します。
その結果、血液幹細胞は再び胎児ヘモグロビンを産生し始め、これが鎌状赤血球症やβ-サラセミアのような血液疾患の治療に役立ちます。
要するに、Casgevyは患者自身の血液幹細胞を編集して、通常は生後間もなく減少する胎児ヘモグロビンの産生を再開させることで、特定の血液疾患を治療する革新的なアプローチです。
よるわかりやすくはコチラを参照下さい。
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