A2B530(A2 Biotherapeutics)
A2B530は、固形腫瘍に対する革新的なCAR T細胞療法です。
通常のCAR T細胞療法は、がん細胞を標的とする特定の抗原を持つT細胞を用いていますが、これらの抗原が正常な組織にも存在する場合、健康な細胞にも害を及ぼす可能性があります。
A2B530はこの問題を克服するために設計されており、固形腫瘍特有の課題に対処するための新しいアプローチをとっています。
具体的にはA2B530は新しいT細胞療法プラットフォームであるTmodを使用して設計されています。
Tmod CAR T細胞療法
Tmod CAR T細胞療法は、固形腫瘍を対象とした先進的な免疫療法です。
Tmod CAR T細胞療法は、特定の抗原を表面に持つ腫瘍細胞を認識する活性化受容体(CARまたはTCR)と、正常細胞を保護する抑制性受容体(ブロッカー)を備えたT細胞を使用します。
例えば、A2B530では、活性化受容体はCEA(癌胚性抗原)を標的とします。一方、ブロッカーはLIR-1タンパク質に基づいており、正常細胞の特定の抗原(HLA-A*02)に結合してT細胞の活性化を防ぎます。
このシステムにより、A2B530は正常細胞と腫瘍細胞を区別し、正常細胞への影響を最小限に抑えながら腫瘍細胞を効果的に破壊します。
この「ロジックゲート」機能により、Tmod CAR T細胞は正常細胞と腫瘍細胞を区別し、腫瘍細胞のみを標的とすることができます。
現在、HLA異型遺伝子欠失を持つ固形腫瘍患者を対象に、この新技術の有効性を調査する研究が進行中です。
臨床試験
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