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ソタテルセプト:Winrevair(MSD)

こんにちは!今回は、肺動脈性肺高血圧症(PAH)の新しい治療薬、ソタテルセプト(Sotatercept)と、それに関連するアクチビン(Activin)について、詳しく掘っていきます💪

ソタテ『ルセプト』って名前から受容体抗体ですね!エタネルセプトとかと同じです。

ちなみにブレイクスルーセラピー指定やオーファンドラッグ指定もFDAから受けています!

p3はnejmで発表ずみです!

ソタテルセプトとは?

ソタテセプトは、PAHという肺の血圧が異常に高くなる病気の治療薬です。この病気は、肺の血管が狭くなり、血液の流れが悪くなることで引き起こされます。ソタテセプトは、血管の壁が厚くなるのを防ぐ薬です。

ソタテルセプトの構造

ソタテルセプトは、人のIgGのFcドメインに結合したヒトアクチビン受容体IIAの細胞外ドメインから構成されています。

少しわかりにくいので補足すると

  1. IgGのFcドメイン:人間の抗体の一部です。抗体は、体が病原菌や異物を認識して攻撃するためのたんぱく質で、Fcドメインはその抗体の一部です。抗体のY字の下の部分です。この部分は、免疫システムとの相互作用に役立ちます。

  2. アクチビン受容体IIA(ActRIIA)の細胞外ドメイン:この部分は、特定のたんぱく質(リガンド)を捕まえる働きをします。PAHの患者さんでは、このリガンド=アクチビンが過剰に働いて血管の細胞が増えすぎてしまうので、ソタテルセプトがこのリガンドを捕まえて働かないようにします。

ソタテルセプトの働き方

ソタテルセプトは、体内の特定のタンパク質(アクチビン)に結合し、その働きを抑えることで効果を発揮します。これにより、肺の血管が正常な状態を保ちやすくなり、血圧が下がります。

要はアクチビンが肺の血管壁を厚くするので、そこを阻害する訳です。

アクチビンとは?

アクチビンは、細胞の成長や修復に関わるタンパク質です。体のさまざまな場所で作られており、いくつか役割がありますが、気になったのは以下2つ。

  • 細胞の成長と修復:アクチビンは、傷ついた皮膚や脳の修復を助けます 。なんだか副作用に関わりそうな機序🤔

  • 免疫と炎症の調節:体が病気やけがをしたときに、アクチビンは免疫反応を調節して炎症をコントロールします 。コチラの血管での異常活性が肺高血圧症につながるわけですね🤔

アクチビンと肺高血圧症

PAHでは、アクチビンが肺の血管壁を厚くし、血流を妨げる原因の一つとされています。これにより、肺の血圧が上がり、呼吸が苦しくなるわけですね!

もう少し詳しく背景&臨床試験チェック

PAHは、肺動脈の狭窄とリモデリング(再構築)によって引き起こされる進行性の病気です。

この病気により肺動脈の圧力が上昇し、最終的には右心室の負担が増し、右心不全や死に至ることがあります。

既存の治療法ではある程度の改善が見られますが、依然として高い死亡率と罹患率が課題となっています。そんな中ソタテルセプトの第3相試験が行われ、その結果が注目されています。

ここからは試験の詳細とその結果について見ていきます!

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