『ブルーヘロンのいる森で約束したこと』第11話
♡第10話続き♡
ハヤトたちはヤシムンの知り合いがいるという場所まで急いだ
すでに夕刻が迫っていたからだ
間もなくして、思っていたより早くヤシムンの知り合いがいるという森の場所までやってきた
「ヤシムンの知り合いってどこにいるの?」
「そやからここや」
そう言うと目の前の大木に挨拶した
「やあヤシムン久しぶり」
姿は見えないのに声だけ聞こえてくる
「樹木に宿る精霊や。この木だけやないで。あれにも
これにも そうあっちのにもや」
「。。声が聞こえたけど」
「私も。。」
ハヤトもサヤカも姿なき精霊に動揺を隠しきれなかった
「2人とも声が聞けたんやな。それやったら姿も見えるようになるかもしれんな」
「どういうこと?」
サヤカはそっと尋ねた
「心が正直で綺麗なもんにしか見えへんのや」
そう言うと再び木霊に声をかけた
「今日 俺とゴールド、それとなハヤトにサヤカや
お世話になってもええやろか」
「ああ君たちなら構わないよ。ゆっくりしてくれ」
声の主を頼りによく見てみると、木の根元に何やら小さい宇宙人のような。。いや愛くるしい妖精のような姿を見つけることができた
「あっ見えた」
サヤカが思わず声を上げた
「俺も。。」
ハヤトも答えた
「アハハ そうか見えたか 良かったのう」
ヤシムンはゴールドをそっとおろすと、また大きなヤシの葉のポケットから皮でできた敷物のようなものを取り出して広げた
「本当に何でもあるんだね」
サヤカは感心したようにつぶやいた
すると木霊たちが側まできてハヤトとサヤカを囲むようにちょこんと座った
「こんにちは。何て呼んだらいいの?」
サヤカは優しく聞いてみた
「何でもいいよ。。僕らには名前はないんだ」
「そうなの。。それじゃあ木の妖精さんだからトゥリーっていうのはどう?」
それを聞いていたヤシムンが声を上げて笑った
「サヤカ面白いわ。それええな。。トゥリーってまんまやないか」
「またヤシムン馬鹿にして。可愛いでしょトゥリー」
「っていうかトゥリーなんて英語知ってたんだな」
ハヤトが口を開いた
「何かのテレビで覚えた。。何だったっけ?忘れちゃったけど」
「サヤカちゃんっていうんだね。命名ありがとう 気に入ったよ」
トゥリーは小さく笑った
「本当に気に入ってるの?」
サヤカは心配になった
「。。気に入ってるよ。だけど初めてのことだからちょっと恥ずかしいんだ」
木霊たちは答えた
「可愛い」
サヤカはトゥリーが大好きになった
♡続く♡