『ブルーヘロンのいる森で約束したこと』第4話
♡第3話続き♡
「ヤシの木は花 葉 幹 実の全てを使うことができる数少ない植物の為 命をつなぐ植物として古代人にとっては必要不可欠な植物だったのじゃ。実は食べ物になり 木の繊維はロープなどにもなり 葉は屋根や壁に 幹は家具や船の材料に使われとった。よって命を守る植物として守護や家族愛の象徴として考えられてたわけじゃ。言わば俺はお前らの守護神ってことになるのう。わかったら大事にせい」
「自分で言うか!何が守護神。。」
ハヤトは途中で言葉を呑んだ
「あっいや。。ヤシムンありがとう。よろしく。。」
ヤシムンはハヤトの真っ直ぐな瞳を見てこう言った
「安心して任せろ。お前ら2人 ちゃんと帰してやるわ」
サヤカは思わずヤシムンに抱きついていた
少し肩が震えているようにもみえる。。
ヤシムンはそっとサヤカの頭を撫でるのだった
歩き始めて間もなくぬかるんだ場所にやってきた
「もう少しで沼地だ。そこはこの森で唯一の動植物たちの水場となる。。ここを渡るには この沼地の主でもある鳥の妖精ブルーヘロンに頼るしかない」
「ブルーヘロン?」
「別名アオサギとも言うんや。そしてな このブルーヘロンに会った者にはメッセージが宿るとも言われておる。自分に正直に 自分を信じて 自分で決めろというようなことやったと思うわ」
「思うわって。。でそのブルーヘロンにはどうやったら会えるんだ?」
ハヤトは少々苛立っていた
(何でこんなところに俺たちいるんだ?)
サヤカも心細くなって泣いてしまった
「まぁ待て じきに来るやろ。。」
ハヤトたちはヤシムンの言葉を信じて待つほかなかった
1時間ほど経ったその頃、天空から青い翼の鳥がこちらに向かってやってきた
「ブルーヘロンなのか。。」
ハヤトは待ちきれずに口を開いた
「お前か俺を呼んだのは。いかにも俺はブルーヘロンだ」
「俺が呼んだわけじゃなくて。。」
ハヤトが言いかけてすぐにブルーヘロンは言葉を遮った
「名は何と言う?」
「ハヤトだ。。妹はサヤカ。。」
ヤシムンのことは知っているに違いないと思い、端折った
「ハヤト 今ここにいることを受け入れられずにいるな。。」
ハヤトははっとした
(何で知ってるんだ。。)
ブルーヘロンは続けた
「自分に正直になれ 恐れは悪ではない。誰しも知らない場所 予想もしていなかった事態が起きれば不安にもなるだろう。その気持ちにまずは正直になれ。そこから始まる。。今この場で思いを口に出してみろ」
ハヤトは躊躇していた
親にも今まで自分の思いなど口にしたことがないからだ
ハヤトの気持ちとは裏腹にブルーヘロンはじっと待っていた
時が一刻一刻と経ち始め、ハヤトは焦り出した
「今一度 深呼吸してみろ」
そう言うとブルーヘロンはハヤトが話し出すのを再び待ち続けた
「俺。。」
とうとうハヤトは観念して話し始めた
「俺たち何でこんなところにいるんだ!何でこんなことになっちゃったんだ!そう思っているよ」
やっとの思いで本心を語った
「言えたな おめでとう。サヤカはどうだ?」
サヤカはびくっとしながらも真っ直ぐブルーヘロンを見て言った
「私もちょっと怖いけど、お兄ちゃんと違って 何でこんなことにとかは思ってないよ。ただこんな森に来たことなくてびびってる。。」
ブルーヘロンは高らかに笑った
「サヤカいいぞ。面白いな」
サヤカは少しブーたれた
♡続く♡