T字状支柱の源流をたずねよう。 9 兵頭二十八 2024年7月8日 17:50 インドシナ戦争で輸送に使われたという改造プッシュバイクの展示品。すでに「T字支柱」の萌芽が見られる。檣状垂直押し棒は、先がY字に分かれていて、しかも追加で横棒も取り付けてある。その仔細な機能は不明。車輪内に「つっぱり輻」が何本も嵌っている。 T字支柱付きの新型軍用自転車(仮称2018年型と仮称サイゴン型)は、2021年の新コロ対策時にホーチミン市に大量投入されたのをきっかけとして、以来、報道抑制が外されたように印象される。 わが国の東京都内にも、たとえば台東区の一部のように戦災で焼かれなかった、狭隘な路地のままの街区が残る。救急車両の進入し難いエリアだ。1台のプッシュバイクで2名の横臥病人を搬出できてしまう「仮称2018年型」は、見取りコピーして研究する価値があると私は信ずる。 おそらくベトナム大使館に問い合わせても、軍の名称非公開装備ゆえ、その詳細は教えてくれないだろう。だから、写真を参考にコピーするしかあるまい。1954年以来、数十万人もが使い、改善し洗練し続けた実用品の細部には、進化論的な叡智が凝集されているはずなので、まずは完コピして、咀嚼するべきだ。 ただし日本の現行法令では、自転車に横臥成人2名を吊るして公道を押し歩いたりしたらマズいかもしれない。そこで、当該コピー品は、ペダルもギアも除いた「荷車」姿とし、それをまず全国160箇所の自衛隊の駐屯地内で、一部リアカーの代用品としてテストしてもらうのがよかろうと私は考える。 能登半島地震や東京大空襲のような災害が、ある駐屯地の近傍で起きたとき、「リアカー」ではまず被災地まで前進もできまいが、「仮称2018年型・改」の無動力スクーターならば、物資の搬入にも患者の移送にも遺憾が無いであろう。 諸法令が、災害等の非常な緊急時に、プッシュバイク型「荷車」上に独歩不能者や交通弱者を縛り付けて運搬する行為について、きちんと「お墨付き」を与え、法環境を明朗化することが望まれる。これに関し、自転車活用推進議員連盟等に接触したいと思っているのだが、まだ「現物」すら無いのでは、早まれぬ。 1本竹棒担架を左右に吊るせるT字状支柱や、檣状垂直押し棒を後傾させることで後輪を制動できるメカニズムなどに、ベトナム軍は特許のようなものを取っているのだろうか? たぶんないと思うが、確認は必要だ。 T字状支柱に似てなくもない「工夫」は、各地にある。この「TekniQ」のユーチューブ動画は、125cc.くらいの自動二輪車で数百kgの丸太材を運搬している男たちをフィーチャーしている。 駆動用チェーンの古くなったものを、後輪の滑り止めや固縛用途に再利用している。 運搬する材木は、ハンドルバーよりも低いところに固縛される。 もちろん日本国内では自動二輪車にこんな作業をさせられない。 熱帯地方で「冬の乾燥」もないのだとすれば、この丸太、数百kgの重さだろう。ぜったいに「労災」があるはずだよね。 こんな画像を紹介する理由は、「担架」の積載法としてはこの流儀だとまずいんだということを直覚して欲しいためだ。このバイクがコケたり、樹木に接触したとき、積荷が丸太ではなくて生身の人だったら? ベトナム軍式の「自転車に担架を吊下して人が押す」方法がいかに適宜であるかが、想像できるはず。 エンジンがそれほど強力でないようで、登り勾配でエンストして、バックでずり下がるというひやひやするシーンもある。 いつでも両足を使って微速前進を安定化させる技倆も、求められるようである。 こんな用法だと、オートバイの寿命はどうなってしまうのか、後学のため、知りたい。 ついでなので、材木を横軸に寝かせて運搬するスタイルのキャプチャ画像も紹介しよう。 この流儀のメリットとして、横倒しにコケるときには、操縦者は比較的に安全かもしれない。 まるで「2輪のフォークリフト」のように見える。小規模林業作業用の専用「小特」として、研究してみたらどうかとも思う。 1台だけ運行させるならまだしも、これでは労災は不可避じゃないか……? おまけとして、比島の超簡易改造タクシーをご紹介する。自動二輪車の両脇に6席を固定し、そこに「お客」を座らせて運賃を取るのだ。頭上には、日除けの天蓋シェードあり。 比島名物は、サイドカー型タクシーだが、あれは車体を貸し出す業者が仕切っている。おそらくこの改造バイクは、操縦者兼オーナーの自費改造で、最低資本でスタートできる個人タクシー事業なのだろう。 複数の客が「乗降」するとき、左右が同時一斉でないと、まずい。サイドカー型タクシーより面倒で危険。そのかわりに、安価なのだろう。 いいなと思ったら応援しよう! チップで応援する #自転車 #ベトナム #バイク #フィリピン #林業 #兵頭二十八 9