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裏ひよこ日記 武士は喰わねど高楊枝

あーあ。帰っちゃた。
自分が帰れと言ったくせに今更後悔したりなんかして。

最終便で帰るといったフレッドは午後3時過ぎくらいにこの家を出た。近い内にまた来る。と何度も何度も同じ事をいって。

ちゃんと食べるんだぞ?と早朝から料理作りに入ってしまい、大量なおかずやスープを冷凍保存をし、わたしのアイロン掛けに違うそうじゃないと突っ込みを入れ、貸せ。オレがやる。おまえはあっちにいろ。とソファに追いやられ、なんかやらないととウロウロすると、だめだぞ。オレは今カッコいい何でもできる頼りがいがある旦那で奥さんが何でもひとりでやろうとするけど実は世話が焼きたくて仕方なかったからやっと俺のターンきた!みたいになっていて張り切っている。…っていうごっこ遊びをしているので邪魔すんな。とよくわからない事を言われた。

そしてお昼ごはんも作ってくれた。
黒パンのハムチーズホットサンドとカフェオレにプラムのコンポートのヨーグルトアイス添え。安定の美味しさで食べるのが楽しい。

冷蔵庫には今日食べるものが既に全部用意されていて、しかもカッコいい何でもできる旦那さんはスイーツまで作り上げていた。至れり尽くせりである。

今日はお風呂にゆっくり入って音楽でも聞いてのんびり過ごそう。作ったはいいがその後火も灯していないキャンドルを思い出した。
作りすぎて何個か持って帰ってもらったキャンドルやルームスプレーは使ってもらえるのかな?

そんな事を思いながら一人で大先生が用意してくれた夕ご飯を食べる。

…美味しいなあ。ほんとに美味しい。

にんじんのポタージュスープも鶏胸肉とキヌアとケールのサラダ、野菜のテリーヌ。プラムと桃のコンポート。

定期的に様子を見に来てくれるアルベルトが作ってくれた小分けにしてる冷凍したレモンチェッロのティラミスをコーヒーをいれて食べた。
何もかもパリの自宅を思い出す。

1人おセンチになっていたら電話がなった。

もしもし?

ひーよー。今何してんの?
ひとりぬけがけで可愛いに磨きかけようたってそうはいかないんだからねー。

ミシェルう。

あたし、あんたがいなくてさみしいすぎてつらたんすぎるの。だから明後日行くことにしたの。ちなみに泊めてね。

ガシャんと電話の向こう側で大きめな音がする。何かひっくり返した音っぽい

あっ?!もしもし!ひよっ!オレたちもミシェルといくからっ!!


ちょ何人でくるの?

返しなさいよっ!!
もしもーし!ごめん。とりあえず休みぶんどれたメンツだけ先に来るから。あたしとテオとカイね。メンズはさすがにひよの家に泊まれないから近くのホテル取ってるよ。えらいっしょ。オトナになったわーうちら。あとのメンツは休みが取れ次第、順番で巡礼に参るからよろしくねん。

ほんとに?

うん。

もしもっし!ひよー。元気にしてんの?
オレらも休みとれたらいくし!
わたしもよ!
ぎゃあぎゃあとミシェルの電話越しに親友達の声が聞こえてる。

そろそろメンタルダウンなころかなーてウキウキして休みぶんどってきたからなー。待ってろよー。お兄ちゃんが話きいてやるからなー!!
テオがなぜかテンション高い。システム部で完徹なシステム作業明けなのかもしれない。

もしもし?ひよ?体調くずしたりしてない?大丈夫?

マリちゃん!
お化粧品とかナプキンとか足りてる??そうそう。あのオーガニックシートのやつよ。なかなか置いてないからこっちで多めに買っとくよ?
ティザンヌはまだあるの?そっちにひよの好きな緑茶とかあるの?在庫確認して?今すぐよ。そしたらミシェルに預けとくからね?

うう。女友達はこういうのを頼みやすい。いくら身内といえども男性にこのメーカーのこのサイズのナプキン買ってきてなんてなかなかわたしは言い出しずらいのだった。

わたしは急いでバスルームに行き、化粧水と美容液がなくなりそうなのと
使いつけのナプキンがもうすぐなくなるていうのを確認してマリちゃんにそういった。
おけおけ。ナプキンはいつものヤツでいいのね。ミシェルに預けるから。

お代は?

あんた今ビンボー留学生でしょうが。
大丈夫よ。アルベルトさんかフレッドさんから巻き上げとくから。

ありがとうー。

また後で連絡するね!
とワチャワチャした電話が切れた。

…ふへへ。くるんだって。

わたしは元気を取り戻さないといけない。
私の大好きな人たちはいつもわたしを大切にしてくれる。

お風呂から上がったあとまたしても電話がかかってきた。フレッドからで無事にパリの家に着いた。と連絡してきてくれた。

ごはん美味しかった。ありがとう。
にんじんのポタージュはどうやって作るの?今度来た時また作って?

美味かった?そりゃよかった。
そりゃもちろん喜んで作りますよ

あ、まて、アルベルトが代わるって。

うん。

ひよこちゃん。
アルベルトの低い優しい甘い声。

アルベルト、レモンチェッロのティラミスがとっても美味しかった!

いつでも作るよ。
あぁマリちゃんからさっき自宅に電話が来てね、ひよこちゃんのお化粧品がもうなくなりそうだからお化粧品のストックはそっちにありますか?て聞かれたんだ。

そうなの?
マリちゃん仕事はやっ

それでね、僕のとこの基礎化粧品だったらすぐに用意できるからそれを預けても構わない?

もちろん

てかアルベルトのとこの会社が取り扱いしてるお化粧品てめちゃセレブなやつだけどいいの?

ははっ。嬉しいこといってくれるね。

ブローニュのサロンのバスグッズとか欲しいなら用意するよ?

…そりゃもちろんほしいに決まってる。でも荷物がすごくなるし…

先にマリちゃんにはさしあたり必要な物だけ預けておくから。残りの荷物は僕がもっていくよ。留学延ばすんでしょ?聞いたよ。なら、先生にもごあいさつしておきたいし、ひよこちゃんの日用品もあれだと足りないから買い足さないといけないし。いいよね?僕が行っても。
 
もちろんよ。

会えるの楽しみにしてるからね。

さみしい、不安ってフレッドに打ち明けたらどんどん人が集まってきた。

あのひとなんか言ったんかな。
ただの偶然かな?


しばらくして写真付きメッセージが届いた

火を灯されたキャンドルの写真とルームスプレーのブレンドが気に入ったから何入れたか教えてくれる?とフレッドからだった。

えっ何入れたか覚えてない…て、アロマオイルのカゴを出してきて1つずつ嗅いでいく。

たしかあれとそれとこれを多めにいれて
こっちはほんのちょっとで…あとなんだっけな
あ!わたしの香水を足した。

…わたしの香水ときたか(笑)

ローズのバスコロン。あれ非売品なの。たしかお店のノベルティでもらったやつなの

はー、それならまたぴよぴよのとこにいかないと作れないってわけだな。

そうなるね。

しかたない。いくしかないな(笑)

来たくないなら来なくていいけど?

今月内にもう一度顔出すわ。
(来たくないなら来なくていいとか冗談でも言うもんじゃない)

ウソです。ごめんなさい。またすぐに来てくれたらすごく安心します。待ってます。


よろしい。上出来。素晴らしい。
嬉しい。安心した。またすぐに行く。
楽しみにしてる。


今日はなんだか安心して寝れそう。
ウソです。来てくれた日から安心して寝れてます。

そうこなくっちゃな。

























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