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裏裏ひよこ日記。秋も深まる今日この頃

プラハでの生活のために物件探しをしていたが、なかなか条件に合うものがない。もとより物件数も少ないし、ツテやコネクションが薄すぎる。こっちの世界もあっちの世界も強いのはやっぱり人脈だったりする。

自分だけが住むのならホテル暮らしでも全然構わないのだが。なので今、ヨハン先生の知り合いの老夫婦が田舎に引っ込みたいからと売るか貸すか検討していて、なおかつキチンとした人たちに住んでもらいたいと言う話を持ち込んできてくれたのは僥倖だった。

身もとがはっきりしていて、この家に価値を感じて大事にしてくれそうな物件を探している人物がいいっていうの。そしたらちょうど居たから良かったわ。あなたたちは良い物件だろうし、あちらのご夫婦とも縁つなぎできるし、ウィンウィンだと思わない?

まあ。そうですね。

ね、ひよこ。わたしのアパートも良いけど
こっちの家の方がなんかあんたの運気が上がりそうな気がするんだけど?

ヨハン先生はひよこに話しかけてる。

わたし、ヨハン先生の貸してくれているアパート大好きですよ?あのおうちはわたしを成長させてくれましたよ?

…あんたほんと

やーだ?勘違いしないでー?

いや。ヨハン先生今日の夜は何か予定ありますか?

今日?ないわ。

良かったら夕食をご一緒しませんか?

ひよこがフレッドが今日作ってくれるんですよ。と被せてきた。

あら。お夕飯にご招待してくださるの?嬉しいわ。喜んでお伺いさせていただきます。


で、アジア食料品店に来たのはいいが、商売上手というべきか、これがこの値段?!みたいなオンパレードだった。
何度かひよこの母国に行ったときにスーパーマーケットや食料品店等をみるのが楽しくてだいたいの値段は知ってはいるけれど、優に3倍な価格がついていたりで、買えないわけではないけど、?!となっていたら、ひよこが食べたことはないけれど小説で読んだ中で読むだけで涎が出そうになった鍋があるからそれにしよう?と言い出した

食ったことがない、レシピがあるわけでもないのに想像でそれ作って客人に振る舞う?

だーいじょーぶよー。だいたい味の予想はつくから!

あとはなんかほら、冷蔵庫にあるもので映えそうなやつ作ったら良き。

大胆なやつ。

かくして本日の夕飯作りはオレはアシスタントとなり、ひよこ大先生の料理の手伝いをしている。にんじんと玉ねぎでかき揚げにするから揚げてと粉をふるってさっくり混ぜた野菜達のボウルを持たされて??となっていると

これをえっと、フリッターだと思えばいいのよ。天ぷら粉と和えて、これをスプーンで油の中にまあるく落として、バラバラにならないようにしていー感じにあがったら、引き上げてねー。と、見本を見せてくれた。

ふうん。こうするのか。

これ美味しいんだよー。ブロッコリーを揚げても美味しいよー。ホクホクでねー。と美味しい話をしだした。

ブロッコリー!茹でて冷蔵庫に保存してるのがあるじゃないか。

あー、それも揚げよっ!

ぴよぴよとこういう時間を過ごす事がほんとうに一番好きだ。前は当たり前のようなそんな事が今は滅多に訪れない時間で貴重だった。

あ、いま!今それ引き上げて!

お、おお。

一個味見しよ?と揚げたてのかき揚げを半分に切って熱いよー。と言いながらくれた。

玉ねぎとにんじんだけだぞ?と内心思いながら口にいれるとめっちゃ美味かった。
甘い玉ねぎとにんじんに天ぷら粉の少しの塩気。

美味い。

ね?


2人もぐもぐしながら小さなキッチンで取り止めのない会話をしながら料理をしてる。多分きっと幸福とはこういうことなのではないかと思ったりなんかして。

ぴよぴよの思いつき料理はヨハン先生の食べっぷりの良さで気に入っているというのが手に取るようにわかった。

夜も更けていく中3人であーだこーだと自分の思う美意識についての話なんかもしたりして普段の会話では出てこないであろう話題に新鮮味を感じていた。


夜も更けていく中、もう一回歩いて先程の物件まで再度確認にいく。

夜遅くにぴよぴよひとりで外を歩かせる状況なんて起こすつもりは毛頭ないが、でもやはり万が一だってあるわけで、二度とあんな事が起きないようにできるだけ最初から手を打てるものは打っておきたい。

夜も更けた住宅街は静まりかえっていて自分達の足音しか聞こえない。

おしゃべりに花を咲かせて気をそらせようとしているヨハン先生はやっぱりひよこをちゃーんとわかっている。

笑顔で話をしているクセに時々びくっとなっているぴよぴよの手は冷たくなっていた。


ヨハン先生と話しているひよこの手を勝手につないでそのまま自分の上着のポケットに一緒に突っ込んだ。

ヨハン先生はニヤニヤしてる。


ひよこは は?なにしてんの?みたいな顔したけど。ヨハン先生がなにか新しい話題に変えて話しだした時にちっちゃな声でありがとーと言った。

どう?気が済んだ?

周辺のチェックを終えたオレにヨハン先生はニコっとした。

ここにします。

あら。

借りるか買うかは持ち主と相談しないといけませんね。

え、だいじょーぶなの?と言いたげなひよこ

パリのおうちはどうするの?

心配いらない。
帰らないわけじゃないし、アルベルトもオレも行き来は頻繁にするだろうから

ああいった時間がオレには必要なの

ああいった?


今度はアレ作ろう。シュウマイだっけ?肉まんだったっけ?ホカホカしてるやつ

なにいきなり

寒そうな日に食ったらめっちゃ美味そうな気がしたんだよ。


まあ、うん。美味しいだろうねえ。


こっちに住むならぜひチェコの家庭料理も覚えてほしいわ。


もちろんですよ。


フレッドさん、手続きは早めがいいんでしょう?

ええ。早いに越したことはありません。

明日、先方に連絡してみるわ。

ありがとう御座います。いろいろ。


わたしもお役に立てて嬉しいわ。


さ、帰るとするか。

あの家に合う家具はどんなものがいいだろうなー。
























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