記憶の欠片の物語4
昨日のケンカでビリビリになったジャケットを見てた
これ修繕しないと。
彼が起きたことを執事のトマスに伝える。
「お客様、お目覚めですね。食事はいかがいたしましょう?」
「おまえ飯どうする?」
「え、ああ。お腹すいた」
「そうですか。では簡単な食事を用意いたしますので
少々お待ちを」
彼が身支度を整えるためにバスルームにいっている隙にトマスに聞いてみる
「これ直せる?」
破れたジャケットをみせる。
あちこちみてため息をつかれる。
「よくこんなになるまで‥これは…テーラーじゃないと難しいです。といいますか新しく買われたほうが」
「だよな。これも弁償だな。食事の後馬車まわしてくれないか。テーラーにいってくる。」
「かしこまりました。わたくしはお出かけされましたら昨日のパブにいって参ります。」
「よろしく頼む。トマス」
パンをがっついてる彼に尋ねる
「おまえ、ジャケットこれ一枚だけとかじゃないよな?」
「あいにくそれしか持ってない。服に興味なくて。服より本だろ。学費でいっぱいいっぱいだよ。それにジャケットなんて一枚あれば充分だろ?」
あー、やっぱり‥
頭がいたい。だの、身体が痛いだの。どこにいくんだ?とぶつぶつ言うあいつを無視して
馬車に押し込み連れていったのは馴染みのテーラー
店の前であいつはいきなり腕をひっつかんだ
「なんだよ、ここ。オレそんな金もってないぞ!」
「うるさい。黙ってろ」
「いらっしゃいませ。今日はどのようなお召し物をおさがしで」
「連れの服を。大至急で直せるかみてくれ。それか既製品で彼に合うものを見立てて。みたらわかるだろうが、これでは外出もままならない。」
ビリビリのジャケットを店主に渡す。唖然とした顔してる。
「修繕は大至急で?」
「今そういった。彼に今すぐ着れるジャケットある?」
「は?ちょっと待って?オレはこのままでいいから…」
「ジャケット一枚しかねえのにいいわけねえだろ。学校どうすんだよ。授業受けられないぞ」
「でも…払いはどうすんだよ?俺は金なんて持ってない」
「うるせえんだよ。ちょっと黙ってろ。」
「お客様サイズを確認しますのでこちらにどうぞ」
店の者に促され不安な表情の彼は試着室に連れていかれた。
あいつに聞こえないように店主に話す
「連れのサイズを図って残しておいてくれ。
これは急がないが、あとからブラックタイとシャツ、それとスーツを全部で3着ほど誂えてくれ。あとはコート。カフス?もちろんだ。希望の生地?とにかく彼に一番似合うものを。払いは私がする。ああ、靴も帽子も全て一揃えいる。とにかく全部揃えてくれ」
店主は驚いていたが、すぐにお針子を全員集合させ、扉のカードを「閉店」に変えた。
その破れた服では学校すらいけないだろ?
また馬鹿にされるぞ。
あんなモノいいをする奴らを思い切り見返してやろう
あんな奴らより目の前にいるお前のがずっと成功するやつだ。自力で成功を掴めるやつにオレはこれから投資していく。
そういう時代になったんだ。