ひよこ日記。プラハに戻る。
いろんな手続きとか話し合いとか書類揃えたり申請したりメディカルチェック受けたりとかしてたら始めは3日くらいの帰省のはずが5日位に延びてしまった。ヨハン先生から出された課題があるので、はじめから約束していた用事と必要な外出以外は家に籠もってずーっと課題に取り組んでいた。
現在アルベルトとフレッドのふたり暮らしになっているパリのおうちはキレイだけどやっぱり掃除が行き届いてないところとかもあるし、キッチンもあまり使われた形跡がない。冷蔵庫には食材はあるにはあるけどたぶんこれわたしが帰省するから買ったんだろうなー。な感じ。
普段ふたりには大変大変お世話になっているのでわたしがいる間はおうちの雑事は全部わたしが引き受けることにした(アイロン掛け以外)
朝ご飯、お昼のランチボックス、夕ご飯、作り置き、それからおにぎりが大好きなんだけどどうやってもお前みたいなのにならない!とぼやきまくるフレデリック大先生用に焼きおにぎり等をたくさん作って冷凍した。アルベルトはラザニアとか、ボロネーゼとか。
しばらくはこれでしのげるのではないだろうか。食べてくれたらいいけれど。
家中の窓という窓を開け、空気の入れ替えをする。朝早くに家をでて、夜遅くに帰ってくるふたりはきっと窓も閉めっぱなしだろう。わたしはできるだけ隅々まで掃除した。
今日は朝からアルベルトと歯医者の定期検診とクリーニング。それからブローニュのサロンに連れて行く。
今日はフレッドは仕事があるのでアルベルトが空港まで送ってくれることになっている。
朝早く、6時前に会社に行くフレッドの見送りをしようとガレージに降りていくと
またすぐそっちに行くから。それからボスが刻印したリングは肌身離さず持ち歩くように。とかいろいろいろいろお母さんモードになって言い始めたのでだいじょーぶっだよ!っといってらっしゃいのハグをするとなんとも言えないような顔したフレッドが車に乗り込んで仕事にいった。
サロンでは頭からつま先まで念入りにボディトリートメントをしてもらい、完全に寝落ちしていた。2人がかりで磨き上げてくれたわたしのからだはピカッとしていた。気分があがる。
アルベルトも髪を切ってもらっていた。いつもより短めにしていて男前がさらに上乗せされていた。
だいぶ切ったね、というと
ひよこちゃん気に入ってくれた?
うん。とってもカッコいいよ!と言うと
嬉しそうに笑ってくれた。
午後も遅めのもう夕方に近い時間に自宅に戻り空港に行く。
アルベルトはなぜかニコニコだった。
わたしがはじめてプラハに行く日のものすごい悲壮感を漂わせていたときとは打って変わって
機嫌がいい。
なんかいいことあったの?
ん?今日はひよこちゃんとずっと一緒だったからね。
エステ気持ちよかったねー。髪もさっぱりしたし。
そうだねえ。やっぱりカッコいい僕を見せときたいしねえ。
いつだってカッコいいよ?
ひよこちゃんもいつだって可愛くてキレイだよ?
まあ、ありがとう!
などとなぜかずっと空港までポジティブフィードバックをやっていた。
空港の駐車場に停めて車のトランクからアルベルトが荷物をおろすけどトランクの数が増えてる。
荷物こんなあったっけ?
ああ、それ僕の。
アルベルトどっかに出張?
いや。ひよこちゃんのとこに行くだけだよ?不動産巡りしないといけないし、ヨハン先生にもお礼も言いたいし、ちょっと行きたいところもあるし。
そうなの?
そうなの。良かったよ。ひよこちゃんのスケジュールが延びたからチケット振り替えしたでしょう?その時に僕も合わせてチケット取れたから。迷惑だった?
一緒に来てくれるの?ありがとう。
夜の便だから空港から一人でタクシーに乗せたくないなていうのもあるかな。
お昼ならいいの?
夜よりかは少しマシ。
どっちにしても心配てことね?
まあ、そうなるかな。
ということで帰りはアルベルトがプラハにくっついてきた。
飛行機は得意じゃない。
2時間ちょっとのフライトでも
足の下は地じゃなくて空というのが緊張を生む。飛行機酔いはしないけどからだが強張る。つい息も止めてしまうのをアルベルトはしっているんだろう。
隣の席でのんびりくつろいでワインを飲んでるアルベルトはわたしにもたれたらいいよと肩を貸してくれた。肩まですっぽり持参したブランケットをくるんでくれた。飛行機会社のブランケットじゃないリビングソファに置いてあるわたしがうたたねする時に掛けるお気に入りのソレを持ってくるなんて本当に気が利いてる。パリの自宅の大好きないい香りがするブランケットにくるまってぎゅっと目を閉じた。
深夜近い時間にプラハの家に帰り着いた。
ちょっとの移動のくせにグダグダに疲れてしまいざっとシャワーを浴びてすぐにベッドにもぐりこんだ。
もうわたし寝る。アルベルトは?
アルベルトはこっちの家についてからパソコンを立ち上げ仕事をはじめた。
僕は少しすることがあるからそれが終わったら寝るよ。
ごめんね、わたし先に寝るね。
全然構わないよ。ゆっくりお休み
めちゃくちゃタフだよねこの人もフレッドも。と思いながらわたしは眠りの世界に落ちた。
あさおきるとアルはもう起きていて朝食の準備をしていた。
朝日が差し込んでいてカーテンが綺麗だ。
ぼんやり見てた。
ベッドのマットもシーツも塩梅がよくて
こっちに来たばかりの頃の何度も何度も寝返りを打って寝たかどうかわからないようなのもすっかり収まっていた。
買い替えられた新しいマットレスも寝具もリネンもわたしにはマッチしていた
肌感覚て侮れない。
アルベルトも同じだったらしい。
わたし自分がお金持ってないて事実に大層凹んだわ。
と朝ご飯のときにいうと
アルベルトは笑い出した。
ひよこちゃん、自分がお金持ってないて思い込んでいるんだね。
事実じゃない。
本当にお金なかったら今ここにこうやっていないよ?
それはほらあなた達が援助してくれたから…
それも自分の財産の一つだよ?
…ん〜まだその境地に至ってないかも。
ひよこちゃんはいま頭の中にたくさんの財産を作っているときだから、それはいずれお金として変わる時がくるよ。そうしたければ。の話だけれどね?
わたしそんな勉強しにきてないよ?
でもキミの頭の中のソレを必要とする人と場所があるんだよ
マネタイズですか?
そうともいうね。したければの話だけどね。
まあ、うん。ひよこちゃんは生み出す人だから
ミダスタッチって知ってる?
うっすら
きちんと自分を知れば自分が何者かわかるようになるよ。
今日は僕の街歩きに付き合ってくれない?
新しい住まいを探さなきゃ。
住まいの前に街歩き?
そうだよ。地形や雰囲気を先に把握しとかなくちゃ。